[記事公開日]2016/01/05
[最終更新日]2016/04/09

ブラックホールの原理とワームホールを使ったタイムマシンのつくり方

ブラックホール撮影のためアルマ望遠鏡など世界各地の電波望遠鏡が協力

日米欧が共同運用する南米チリのアルマ望遠鏡など世界各地の電波望遠鏡が協力して、ブラックホールの姿を世界で初めてとらえようという計画が進んでいるといいます。

ブラックホールは従来の望遠鏡でとらえるのが難しいため、世界各地の電波望遠鏡が協力して、ブラックホールの姿を世界で初めてとらえようという計画が持ち上がったようです。

同じ天体を世界各地の電波望遠鏡で同時に観測することで、地球の直径に迫る口径9千キロの仮想の電波望遠鏡なみの解像度が期待できるようで、「超長基線電波干渉計(VLBI)」という技術が使われるそうです。

アルマ望遠鏡と、アメリカ、メキシコ、スペイン、南極にある電波望遠鏡がネットワークを組んで同時に観測する計画だとのことであり、解像度はハワイ島にある国立天文台すばる望遠鏡(口径8・2メートル)の3千倍にもなるといいます。

ブラックホールは、従来の望遠鏡でとらえるのは難しかったですが、この計画により、世界で初めてブラックホールの姿をとらえようということのようです。

撮影のために狙うのは、天の川銀河の中心部にあり、地球から最も近いとみられるブラックホールであり、約2万5千光年の距離にあります。

ブラックホールは重力が巨大で光を外に出さないため、直接は見えませんが、ブラックホールに落ちていくガスが強い光を放つため、光の中の「黒い影」として見えると期待されているとのことです。

この計画の関係者の中には、「ブラックホールの存在を疑う研究者はいないが、だれも見たことがない。撮影できれば意義は大きい。予測通りに見えなければ理論がおかしいことになり、それも大発見だ」と期待する研究者もあるようです。

アルマ望遠鏡など世界各地の電波望遠鏡の協力により、ぜひ、世界で初めてのブラックホールの撮影に成功してほしいところですが、そもそもブラックホールとはどのようなものなのでしょうか?

 

ブラックホールの原理

ブラックホールとは、文字どおり宇宙空間にポッカリと開いた時空の穴のことですが、元々はアインシュタインの一般相対性理論から予測され、実際に検証されたものだといいます。

アインシュタインの一般相対性理論では、質量やエネルギーがあると空間は曲がることになりますが、どんどん質量を増していき、物質・エネルギーの密度が限界よりも大きくなると、しまいには時空に穴が開いてしまい、ブラックホールが形成されるのだといいます。

例えば、何らかの方法により、地球をビー玉くらいにまで圧縮したとすると、小さなブラックホールになるそうです。

あるいは、太陽を半径3キロメートルの横丁くらいまで圧縮すると、ブラックホールになるのだといいます。

ブラックホールは、大きく分けると2種類あり、太陽質量の10倍程度の小質量のものと、銀河の中心にあるような超巨大なものとの2種類があります。

自然の状態では、太陽の何十倍も重い星が、最終的に燃え尽きて、自分の重力に耐えられずにブラックホールになると考えられており、これが「星の残骸」である小質量のブラックホールになります。

銀河の中心には、そういう「星の残骸」とは別種の超巨大なブラックホールが存在すると考えられているようです。

超巨大ブラックホールは、小さいものでも太陽質量の数十万倍以上あり、大きいものでは太陽質量の10億倍にもなるといいますから、本当にビックリです!

全てではないものの、銀河系(天の川銀河)を含むほとんどの銀河の中心には、超巨大ブラックホールが存在すると考えられています。

そして、ブラックホールには、「毛がない定理」という面白い定理があるといいます。

 

「ブラックホール脱毛定理」とは

ブラックホールには、「毛がない定理」という面白い定理があるといいますが、これは一般的には、「ブラックホール脱毛定理」または「ブラックホール無毛定理」とも呼ばれています。

「ブラックホール脱毛定理」は、宇宙物理学・一般相対性理論における概念の一つであり、「重力と電磁気力のみを考慮した、アインシュタイン・マクスウェル系でのブラックホール解における観測可能な量は、質量、電荷、角運動量の3つの物理量だけである」というものになります。

その他のあらゆる情報は、ブラックホールの「事象の地平面」に落ち込むと消滅し、外部から観測されないといいます。

ブラックホールの「毛がない定理」は、アメリカの物理学者のジョン・アーチボルト・ホイーラーが、1971年に「ブラックホールは毛がないので、互いに異なるブラックホールを区別できない」と述べたことが言葉の由来とされていますが、ブラックホールになると質量・電荷・角運動量以外の性質が消えてしまうことを、「毛がない」と表現しているようです。

例えば、太陽の30倍の質量を持った星が燃え尽き、超新星爆発を起こしてブラックホールになったとします。

星の姿の時は、様々な化学物質からできており、山あり谷あり海ありの複雑な地形をしていて、磁場もあった訳ですが、それは、例えて言うならば、「髪がふさふさ」で個性が際立っていたということができます。

ところが、その星が燃え尽きてブラックホールになってしまうと、その星の過去の個性は消えてしまいますので、「毛がなくなって」個性が消えてしまったということなのです。

★ブラックホール脱毛定理

ブラックホールには、質量、電荷、角運動量(回転速度)以外の性質はない。

「髪がふさふさ」で個性が際立っていた星が、燃え尽きてブラックホールになってしまうと、その星の過去の個性は消えてしまい、質量、電荷、角運動量(回転速度)以外の性質はなくなってしまうことを、「毛がなくなって」個性が消えてしまったと表現しています。

ブラックホールの周囲の空間は大きく凹んでいるので、宇宙で最も速いとされている光速でも、窪みから脱出することはできないといいます。

光が出て来ないということは「見えない」ということであり、そこから、「ブラックホール(黒い穴)」という名前が付いたといいます。

また、SFなどには、ワームホールと呼ばれるものが登場しますが、これは、イメージ的には、遠く離れたブラックホールどうしが「底」で繋がっているような感じだといいます。

 

ワームホールとは

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SFなどには、ワームホールと呼ばれるものが登場しますが、これは、イメージ的には、遠く離れたブラックホールどうしが「底」で繋がっているような感じになるようです。

★ワームホール

ワームホールは、時空構造の位相幾何学として考えうる構造の一つで、時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道のこと。

ワームホールが通過可能な構造であれば、そこを通ると光よりも速く時空を移動できることになります。

ワームホールは直訳すると「虫食い穴」のことですが、ワームホールという名前は、リンゴの「虫食い穴」に由来するそうです。

リンゴの表面のある一点から裏側に行くには円周の半分を移動する必要がありますが、虫が中を掘り進むと短い距離の移動で済む、というものであり、1957年にアメリカの物理学者ジョン・アーチボルト・ホイーラーが命名したとされています。

ワームホールは、イメージ的には遠く離れたブラックホールどうしが「底」で繋がっているような感じだといいますが、正確には、ブラックホールと正反対のホワイトホールというものを想定して、ブラックホールとホワイトホールをくっつけるのだといいます。

ワームホールは、アインシュタイン‐ローゼンブリッジとも呼ばれますが、現在のところは、数学的な可能性の一つに過ぎないようです。

シュヴァルツシルトの解で表されるブラックホール解は、周りの物質を何でも呑み込む領域を表しますが、数学的にはその状況を反転したホワイトホールも存在することになります。

ただ、今のところは、観測的には、ホワイトホールのような領域の存在を示唆する事実は全く無いといいます。

また、ブラックホールとホワイトホールを単純に結んでワームホールと考えてもよいものの、単純に結んだだけでは、通過不可能だといいます。

ワームホールは、現在のところ、数学的な可能性の一つにしか過ぎず、通行可能なワームホールとなると、さらに複雑な問題が出てくるようです。

ワームホールは、現在のところ、数学的な可能性の一つにしか過ぎず、天文観測では発見されていませんが、アメリカの物理学者であるキップ・ソーンは、「ワームホールがあればタイムマシンをつくることができる」と主張しています。

キップ・ソーンが主張する、ワームホールによるタイムマシンのつくり方とは、どのようなものなのでしょうか?

 

ワームホールによるタイムマシンのつくり方

キップ・ソーンが考えた、ワームホールを使ってタイムマシンをつくるやり方は、いたって簡単です。

まず、ワームホールの入口を動かしてから元の位置まで戻します。

すると、相対性理論により、ワームホールの入口の時計は遅れることになりますので、その時間の遅れた入口から中に入って出口から出ます。

すると、ワームホールの中では時間が経たないと仮定して、入口の時間のまま出口から出たことになるので、つまり、過去に戻った計算になるというのです。

これは、何だかバカみたいな話ではありますが、れっきとした学術誌に発表されて、理論的には実現可能ともされているタイムマシンのつくり方だといいます。

キップ・ソーンは、「通過可能であるワームホール」を物理的に定義し、アインシュタイン方程式の解としてそれが可能かどうかを調べたようです。

そして、「もし負のエネルギーをもつ物質が存在するならば、通過可能なワームホールはアインシュタイン方程式の解として存在しうる」と結論し、さらに、時空間のワープやタイムトラベルをも可能にすることを示したといいます。

ただ、色々と問題点もあり、実用化となると、難しい面があるようです。

 

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