[記事公開日]2016/05/15
[最終更新日]2016/05/16

アインシュタインの一般相対性理論の宇宙項は膨張を加速させる力(ダークエネルギー)

アインシュタインが一般相対性理論で考えていたのは静止した宇宙モデル

『アインシュタインの相対性理論は宇宙をニュートン力学の絶対空間から「変化する時空」へと一変』、こちらの記事の中でも書きましたが、1916年に発表された、アインシュタインの一般相対性理論は、これまでの古典物理学が持っていた、宇宙における時間と空間についての概念を一変させたようです。

そして、近代物理学の基礎を築いたアイザック・ニュートンが考えていた宇宙モデルである、絶対時間と絶対空間という概念を一変させることになります。

ニュートンが考えていた絶対時間と絶対空間という宇宙モデルではなく、時間が延び、空間が縮む、「変化する時空」へと一変させることになります。

ただ、アインシュタインが考えていた宇宙モデルというのは、静止した宇宙であり、永遠不変の宇宙という考え方でしたが、これは当時の多くの科学者たちと同じ考え方でした。

『宇宙の始まり(誕生・起源・年齢)はビッグバンからという理論について考察してみる』、こちらの記事の中でも書きましたが、20世紀初頭においては、ほとんどの人々は、宇宙は定常的なものだと考えていたようで、天文学者たちの中にも「宇宙には始まりがなければならない」などという考えを口にするような者はいなかったようです。

アインシュタインですらも、「宇宙に始まりがあった」などという考えはまるっきり馬鹿げていると考えていたようです。

その当時は、宇宙は永遠に不変であり、永遠不滅のものだと考えられていたのです。

アインシュタインは、宇宙は一様等方であり、大きく見れば宇宙はどの空間もどの時間も同じとする「宇宙原理」と、宇宙は時間が経っても変化しないという前提に立って宇宙を考え、宇宙は永遠不変なものであり、静止した宇宙モデルを導きだそうとしたようです。

ところが、アインシュタイン自身が1916年に発表した一般相対性理論を、一様等方な宇宙という見方に当てはめて考えると、おかしなことが起きてしまいました。

 

「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたことをアインシュタインは人生最大の失敗と後悔

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アインシュタインの一般相対性理論によると、質量が大きく重い物体が存在すると、その重力によって時空は歪んで曲がることになりますので、そのため、無数の星々が存在する宇宙の時空は、最終的には自分自身の重力によってくるりと閉じてしまい、”4次元の球の表面”のように丸まってしまうのだと言います。

さらには、こうして丸く閉じてしまった時空には強い重力が働くことになるため、この4次元の球は内側に向かって縮んでいき、最後には完全に潰れてしまう(ブラックホール)ということになります。

しかし、私たちが見ている現実の宇宙は潰れてなどいませんので、アインシュタインは、宇宙を静止させておくために、無理やり余分なものを一般相対性理論に後から付け加えました。

これが、「宇宙項(宇宙定数)」と呼ばれるものであり、1916年に発表されたオリジナルな一般相対性理論には含まれておらず、1917年に新たに「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えて書き換えられたようです。

これは、「宇宙項(宇宙定数)」と呼ばれるものであり、宇宙には普遍的に反発しあう力(万有斥力)が存在することを意味します。

「宇宙項(宇宙定数)」は、正負の符号によっては、重力に対する反重力(万有斥力)として機能するものであり、万有引力をちょうど相殺する万有斥力ということになるようです。

1917年当時は、宇宙が膨張していることはまだ知られていませんでしたので、アインシュタインは、彼自身が信じる静止した宇宙モデルを実現させるために、この「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたのだとされています。

もしも宇宙に物質だけしか存在しないと、宇宙は重力によって収縮して潰れてしまうことになります。

アインシュタインは、宇宙は膨張も収縮もしないと考えていたので、物質と反対の働きを持つ定数を自分の方程式に挿入し、万有引力を相殺する万有斥力を付け加えたようです。

しかし、後になって、アインシュタインはこの「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたことを、「人生最大の失敗」だったと後悔したそうです。

というのも、『宇宙が膨張しているのを発見したハッブルの法則がビッグバン理論に繋がった』、こちらの記事の中でも書きましたが、1929年に天文学者エドゥイン・ハッブルによって「ハッブルの法則」が発表され、宇宙が膨張していることが明らかになったからです。

宇宙は静止も収縮もしておらず、膨張し続けており、膨らみ続けていることが分かったのです。

静止した宇宙モデルを実現するために自分が付け加えた「宇宙項(宇宙定数)」は余計なものだったと考え、アインシュタインは深く後悔したと言います。

アインシュタインが1917年に一般相対性理論に付け加えた「宇宙項(宇宙定数)」は、1931年にはアインシュタイン自身により「人生最大の過ち」として消去されたようです。

 

宇宙の膨張を加速させる力(ダークエネルギー)として蘇った「宇宙項(宇宙定数)」

『ブラックホールとホワイトホールという宇宙の謎・不思議・神秘に迫ってみる』、こちらの記事の中でも書きましたが、現代的なブラックホール理論は、ドイツの物理学者カール・シュヴァルツシルトが、アインシュタイン方程式を特殊解として導いたことから始まったとされています。

シュヴァルツシルトは、「ブラックホールが存在する」ということを、理論的に示したようです。

アインシュタイン自身は、シュヴァルツシルトが自分の方程式を解いてくれたこと自体は喜んだものの、現実にブラックホールが存在するとは信じていなかったそうです。

ブラックホールは、光すらも飲み込んでしまうとても奇妙な天体なので、科学者たちは、長い間、ブラックホールが本当に存在するのか否かで、激しい論争を繰り返してきたようです。

ブラックホールは長い間、想像の産物とも考えられていたようですが、1971年になって、「はくちょう座X-1」で最初のブラックホールが発見されたことにより、ブラックホールが本当に存在することが分かりました。

これにより、アインシュタインの理論の正しさが、証明されることになりました。

そして、最近では、アインシュタインが「人生最大の失敗」だったと後悔した「宇宙項(宇宙定数)」は、「真空のエネルギー」であり、「ダークエネルギー」のことではないかと考えられてきているようです。

現在の標準的な宇宙論では、宇宙は約137億年前、時間も空間も物質エネルギーもない”無”の状態から突然誕生したと考えられています。

宇宙が誕生した瞬間に実際に何が起きたのかは、まだ正確には分かっていないようですが、生まれたばかりの宇宙には物質は存在しておらず、このミクロの宇宙はわずかな「真空のエネルギー」に満たされていたようです。

アインシュタインの一般相対性理論に基づくと、「真空のエネルギー」は互いに反発する力、すなわち斥力が強く働きますので、この斥力によって宇宙は一気に加速度的に膨らみはじめ、急激な大膨張(インフレーション)を引き起こしたと考えられています。

そして、急激な大膨張(インフレーション)が終わる頃「真空のエネルギー」は消滅し、熱エネルギーに変わりましたが、これによって宇宙は一気に加熱され、超高温・高圧の”火の玉”状態になったようです。

これがいわゆるビッグバンと呼ばれるものであり、この時、現在の宇宙を満たしている物質(正確にはその質量分のエネルギー)も生まれたのだと考えられています。

約137億年前に起きたとされるビッグバンによって、宇宙は膨張を続けているということなのですが、1998年には、2つの国際的な超新星観測グループの発見により、宇宙の膨張は加速していることが分かったと言います。

1990年代末には、宇宙の膨張を加速させる未知の存在は、「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれるようになりました。

『宇宙空間の約95%は謎の暗黒物質ダークマターとダークエネルギーが占めるという不思議』、こちらの記事の中でも書きましたが、宇宙の構成要素のうち、星や銀河など観測できる物質は約4.9%にしか過ぎず、残り約95.1%のうち、ダークマター(暗黒物質)が約26.8%、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)が約68.3%になると言われています。

アインシュタインは、一般相対性理論に「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたことを、「人生最大の失敗」と後悔して後から取り消しましたが、現在の宇宙論研究者たちの間では、この「宇宙項(宇宙定数)」は実在しており、宇宙初期の急激な大膨張(インフレーション)を引き起こした「真空のエネルギー」だと考えられているようです。

「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」の候補には、「宇宙項(宇宙定数)」の他にも、重力などの4つの基本的な力に加わる第5の力「クインテッセンス(第5元素)」とする見方もあるようですが、もしかしたら、アインシュタインが一度は捨てた「宇宙項(宇宙定数)」が、実は正しかったという可能性もあるようです。

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