[記事公開日]2016/05/16

アインシュタインの重力場方程式を解明したフリードマンは膨張する宇宙モデルを定義

 ロシアの宇宙物理学者アレクサンドル・フリードマン

アインシュタインが考えた”静止した宇宙”からフリードマンの”膨張する宇宙”へ

『アインシュタインの一般相対性理論の宇宙項は膨張を加速させる力(ダークエネルギー)』、こちらの記事の中でも書きましたが、アインシュタインが考えていた宇宙モデルというのは、”静止した宇宙”であり、彼は”静止した宇宙モデル”を実現させるために、一般相対性理論に後から「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えています。

アインシュタインが考えていた宇宙モデルというのは、”静止した宇宙”であり、永遠不変の宇宙という考え方でしたが、これは当時の多くの科学者たちと同じ考え方でした。

『宇宙の始まり(誕生・起源・年齢)はビッグバンからという理論について考察してみる』、こちらの記事の中でも書きましたが、20世紀初頭においては、ほとんどの人々は、宇宙は定常的なものだと考えていたようで、天文学者たちの中にも「宇宙には始まりがなければならない」などという考えを口にするような者はいなかったようです。

アインシュタインですらも、「宇宙に始まりがあった」などという考えはまるっきり馬鹿げていると考えていたようですが、その当時は、宇宙は永遠に不変であり、永遠不滅のものだと考えられていたのです。

アインシュタインは、宇宙を静止させておくために、無理やり余分なものを一般相対性理論に後から付け加えましたが、これが「宇宙項(宇宙定数)」と呼ばれるものになります。

「宇宙項(宇宙定数)」は、1916年に発表されたオリジナルな一般相対性理論には含まれておらず、1917年に新たに「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えて書き換えられたようです。

1917年当時は、宇宙が膨張していることはまだ知られていませんでしたので、アインシュタインは、彼自身が信じる”静止した宇宙モデル”を実現させるために、この「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたのだとされています。

「宇宙項(宇宙定数)」は、正負の符号によっては、重力に対する反重力(万有斥力)として機能するものであり、万有引力をちょうど相殺する万有斥力ということであり、宇宙には普遍的に反発しあう力(万有斥力)が存在することを意味します。

もしも宇宙に物質だけしか存在しないと、宇宙は重力によって収縮して潰れてしまうことになりますが、アインシュタインは、宇宙は膨張も収縮もしないと考えていたので、物質と反対の働きを持つ定数を自分の方程式に挿入し、万有引力を相殺する万有斥力を付け加えたようです。

しかし、後になって、アインシュタインはこの「宇宙項(宇宙定数)」を付け加えたことを、「人生最大の失敗」だったと後悔したそうです。

というのも、『宇宙が膨張しているのを発見したハッブルの法則がビッグバン理論に繋がった』、こちらの記事の中でも書きましたが、1929年に天文学者エドゥイン・ハッブルによって「ハッブルの法則」が発表され、宇宙が膨張していることが明らかになったからです。

宇宙は静止も収縮もしておらず、膨張し続けており、膨らみ続けていることが分かったので、”静止した宇宙モデル”を実現するために自分が付け加えた「宇宙項(宇宙定数)」は余計なものだったと考え、アインシュタインは深く後悔したと言われています。

アインシュタインが1917年に一般相対性理論に付け加えた「宇宙項(宇宙定数)」は、1931年にはアインシュタイン自身により「人生最大の過ち」として消去されたようです。

アインシュタインは、1929年に天文学者エドゥイン・ハッブルによって「ハッブルの法則」が発表され、宇宙が膨張していることが観測結果として明らかになってからようやく、宇宙が膨張していることを認めたようですが、「ハッブルの法則」が発表される以前に、アインシュタインの重力場方程式を解明して”膨張した宇宙モデル”を定義していた科学者がいました。

それが、オランドの天文学者ウィレム・ド・ジッターと、ロシアの宇宙物理学者アレクサンドル・フリードマンでした。

 

オランドの天文学者ド・ジッターの解明によると宇宙はひたすら膨張し続ける

スポンサーリンク

アインシュタインが発表した一般相対性理論は、当時の科学者たちの好奇心を刺激し、彼らはアインシュタインの重力場方程式が意味するものを解明しようと試みたようです。

その中の1人が、オランドの天文学者ウィレム・ド・ジッターでした。

ド・ジッターは、1917年に宇宙に物質が存在しなかった場合について、「宇宙項(宇宙定数)」を残したままのアインシュタインの重力場方程式を解いてみたようです。

そこから得られた解答は、なんと、宇宙はひたすら膨張していくということであり、”膨張する宇宙モデル”でした。

ド・ジッターは、1917年に、アインシュタインの重力場方程式の解の1つとして「ド・ジッター宇宙モデル」(密度と圧力がゼロ、しかし「宇宙項(宇宙定数)」は正の値をとる)を発表しました。

「ド・ジッター宇宙モデル」は、アインシュタインの重力場方程式の3つの解のうちの1つの解であり、密度と圧力がともにゼロで、「宇宙項(宇宙定数)」が正の値をとる宇宙のことを意味します。

★「ド・ジッター宇宙モデル」
* 宇宙はある有限の最小半径を持っており、その大きさ以下には決してなれない。
* 宇宙の半径が段々小さくなり、ある値(ポテンシャルの壁)まで来ると再び増加していく。

「ド・ジッター宇宙モデル」では、宇宙は空間的に平坦であり、普通の物質を無視し、そして宇宙の力学は「宇宙項(宇宙定数)」により支配されていますが、この「宇宙項(宇宙定数)」は「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」に相当すると考えられているようです。

オランダの天文学者ド・ジッターは、アインシュタインの重力場方程式を解いて”膨張する宇宙”という解答を導き出した訳ですが、アインシュタインは1929年に天文学者ハッブルの観測結果によって宇宙の膨張が確認されるまでは、宇宙の膨張を受け入れなかったようです。

 

フリードマンは「宇宙項(宇宙定数)」を取り除いて”膨張する宇宙モデル”を定義

ロシアの宇宙物理学者アレクサンドル・フリードマンは、オランダの天文学者ド・ジッターよりもさらに現実的な宇宙について考察したようです。

ド・ジッターが宇宙に物質が存在しなかった場合について、1917年に「宇宙項(宇宙定数)」を残したままのアインシュタインの重力場方程式を解いたのに対して、フリードマンは、アインシュタインの重力場方程式から「宇宙項(宇宙定数)」を取り除いて、宇宙には物質が存在するとして方程式を解いたようです。

ロシアの宇宙物理学者アレクサンドル・フリードマンは、1922年に一般相対性理論の重力場の方程式に従う”膨張する宇宙モデル”をフリードマン方程式の解として定式化したことで知られています。

フリードマンがアインシュタインの重力場方程式から「宇宙項(宇宙定数)」を取り除いて、宇宙には物質が存在するとして方程式を解いたところ、そこからは2つの解答が導き出されたようです。

1つは、永遠に膨張し続ける宇宙であり、もう1つは、いつか膨張がストップして逆に収縮に転じる宇宙というものでした。

☆フリードマンが導き出した2つの宇宙モデル
1.永遠に膨張する宇宙
2.膨張からやがて収縮に転じる宇宙

フリードマンがこの解答を導き出したことにより、宇宙はもはや、アインシュタインが考えたような”静止した宇宙”ではなくなりました。

その後の科学者たちが考える宇宙論では、基本的にフリードマンが導き出した宇宙モデルをもとに発展することになります。

フリードマンが1922年に発表した宇宙モデルは、1929年に天文学者のエドゥイン・ハッブルが「ハッブルの法則」を発表して宇宙が膨張していることを観測的に裏付けたことで、高く評価されることになりました。

フリードマンがアインシュタインの重力場方程式から「宇宙項(宇宙定数)」を取り除いて導き出した2つの解答のうち、”永遠に膨張する宇宙”という考え方が最新の考えのようです。

つまり、最新の宇宙論では、”膨張から収縮に転じる宇宙モデル”よりも”永遠に膨張する宇宙モデル”の方が有力な見方となっているようです。

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ