[記事公開日]2016/02/20
[最終更新日]2016/04/09

「アインシュタイン・リング」という光の輪の天体は重力レンズ効果で歪められた銀河の姿

重力レンズ

「アインシュタイン・リング」とは何か?

「アインシュタイン・リング」と呼ばれる、不思議な光の輪の天体が観測されることがあります。

これは何かと言えば、本来の天体の姿ではなく、重力レンズ効果によって歪められた銀河の姿だと言います。

天体の重力は、光を曲げますので、それにより、遠方の天体からの光が、途中に存在する天体の重力によって曲げられ、像が歪んでしまうことがありますが、これを重力レンズ効果と言います。

この重力レンズ効果により、遠方の天体、途中にある天体、地球が一直線上に並ぶと、リング状の歪んだ像である「アインシュタイン・リング」が見えることがあります。

重力レンズ効果とは

重力レンズとは、恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力によって曲げられたり、その結果として複数の経絡を通過する光が集まるために明るく見えたりする現象であり、光源と重力源との位置関係によっては、複数の像が見えたり、弓状に変形した像が見えたりするものであり、重力レンズ効果とも呼ばれます。

重力レンズは、強い重力レンズ、弱い重力レンズ、マイクロレンズの3つの種類に分類されます。

★重力レンズの3つの分類

*強い重力レンズ
レンズ源の影響が強く、「アインシュタイン・リング」、弓状に変形した像、複数の像など、光の曲げられる現象が明らかに観測されるもの。
「アインシュタイン・リング」は強い重力レンズだということになります。
*弱い重力レンズ 
レンズ源の影響が比較的弱く、多くの天体の光線データを集計することによって、統計的にレンズ効果と判定される現象のことであり、宇宙初期の「宇宙マイクロ波背景放射」が地球に届くまでに銀河形成によって揺らぐ統計などの研究がなされていると言います。
*マイクロレンズ 
非常に小さいレンズ源のため、光の曲がりではなく、光の明るさの時間変化によってレンズ現象だと推定される現象のことであり、銀河内のダークハローを形成する小天体が、地球から遠方の天体との視線方向を横切るときなどに発生する例が知られていると言います。

重力レンズ効果のうち、強い重力レンズによって、リング状の像のものがごくたまに観測されることがありますが、これが「アインシュタイン・リング」と呼ばれるものになります。

これは、アインシュタインが1936年にその存在を理論的に予言していたことから付けられた名前だと言います。

 

アインシュタインが1936年にその存在を予言

重力レンズ効果により、銀河の手前にある別の天体が、銀河の像を歪めてしまうことになるのですが、特にリング状に歪められた天体像のものは、アインシュタインが1936年にその存在を予言していたそうです。

このことから、「アインシュタイン・リング」という名前が付けられたと言います。

アインシュタインの一般相対性理論によると、天体の重力は、光の進行方向を曲げてしまいますので、遠方の銀河からの光が、途中にある天体の重力によって歪められてしまうことがあります。

特に遠方の銀河、手前の銀河、そして地球がほぼ一直線に並ぶと、「アインシュタイン・リング」と呼ばれる、リング状の像が見られることがあります。

ただ、「アインシュタイン・リング」はごくたまにしか観測されていないようですので、今のところは、まだ数十個程度しか観測されていないようです。

また、重力レンズ効果は、天体の像がリング状や円弧状に曲がって見えるだけでなく、像が分裂して複数に見えたり、明るさが増して見えたりすることもあると言います。

 

アインシュタインが重力レンズ効果を発表するについての風変わりな逸話

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アインシュタインが重力レンズ効果を発表するについては、風変わりな逸話があるようです。

1936年に、チェコの電気技師ルディ・マンドルが、自分が考え出した重力レンズのアイデアを、アインシュタインに伝えたと言います。

「重力が光を曲げるなら、私たちと遠くの星を結ぶ直線上に星があると、遠方の星からの光が曲げられて複数の像になって見えるのではないだろうか?」

アインシュタインの答えはこうでした。

「そのとおり。しかし現実の宇宙では、一直線上に星が並ぶ確率はあまりに低いため、そんなことは起こらないだろう。」

アインシュタインは、マンドルのアイディアを論文にして1936年12月4日号の『サイエンス』に投稿しましたが、その論文の冒頭に次のように書いているようです。

「しばらく前に、ルディ・マンドルが訪ねてきて、ちょっとした計算結果を出版して欲しいと私に依頼した。このノート(論文のこと)は彼の希望に応じたものである。」

アインシュタインは論文発表後に『サイエンス』の編集者に宛てた手紙の中で、「あの論文はマンドル氏をなだめるために書いたのです。マンドル氏が私に強いたあの小論を雑誌に載せていただいて感謝しています。ほとんど価値のない論文ですが、あのあわれな男は喜んでいるでしょう。」と書いているそうです。

ところが、それから44年後に、実際に重力レンズ効果が発見されることになりました。

天球上の座標で「おおぐま座」にある、地球から約100億光年彼方の「Q0957+561」というクエーサーで、重力レンズが確認されたようです。

アインシュタインが、理論的には正しいが現実には起こらないだろうと言ったことが、起こっていたのです。

「Q0957+561」というクエーサーの場合は、約40億光年彼方にある楕円銀河がレンズの役割をしていることも、すぐに確かめられたと言います。

この現象の後、続々と重力レンズ現象が発見されています。

また、重力レンズ効果を使って、直接は見えない暗い天体を探す試みも行われていると言います。

 

重力レンズ効果で、直接は見えない暗い天体を探す試み

重力レンズ効果を使って、暗くて直接は観測できない「系外惑星」(太陽系外の惑星)や「褐色矮星」、ブラックホールなどを探す試みも行われているようです。

「褐色矮星」とは、質量が小さいために通常の恒星で起きているような核融合反応を起こしていない、暗いガス状の天体のことなので、「系外惑星」(太陽系外の惑星)やブラックホールなどと同じように、暗くて直接は見えない天体になります。

これらの暗い天体が星の前を通過すると、重力レンズ効果により星が一時的に増光し、明るく見えますので、この現象から、暗くて見えない天体の存在を間接的に知ることができるのだと言います。

小さな天体でも、わずかな重力レンズ効果を起こし、遠方の天体が明るく見えたりしますので、これを利用して、「系外惑星」(太陽系外の惑星)や「褐色矮星」、ブラックホールなどの直接は見えない暗い天体を探そうという試みが行われているそうです。

 

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