[記事公開日]2016/05/25

衛星「ひとみ」分解トラブルの事故原因はプログラム操作の人為ミスだとJAXAが報告

   X線天文衛星「ひとみ」の想像図(JAXA・池下章裕氏提供)

衛星「ひとみ」はプログラム操作の人為ミスで分解したとJAXAが報告

X線天文衛星「ひとみ」が分解トラブルを起こし、4月末に運用断念に追い込ましたが、その事故原因は、プログラム操作の人為ミスであることが判明しました。

『衛星「ひとみ」は太陽電池パネル分解によるトラブルからの復旧は不可能なため運用断念』、こちらの記事の中でも書きましたが、3月26日にトラブルが発生して通信不能になったX線天文衛星「ひとみ」は、4月28日にJAXA(宇宙航空研究開発機構)が運用を断念すると発表しました。

電力供給に不可欠な太陽電池パネルが全て脱落してしまい、X線天文衛星「ひとみ」の復旧は困難と判断されたためです。

そして、4月末に運用を断念したX線天文衛星「ひとみ」の事故原因を検証する、文部科学省小委員会が24日開かれ、JAXAが事故原因についての報告を行いました。

それによると、プログラム操作において、人為的ミスが重なり、衛星「ひとみ」は分解トラブルを起こして、運用断念せざるを得なくなったようです。

JAXAの報告では、異常回転を始めた衛星「ひとみ」を立て直すプログラムの設定に人為ミスがあり、正常に作動しなかったとのことであり、もし設定が適切に行われていれば、衛星「ひとみ」の運用を続けられた可能性があったと言います。

 

プログラム操作においてメーカー側とJAXA側の人為的ミスが重なった結果

スポンサーリンク

JAXAの報告によると、プログラム操作における人為的なミスとは、次のようなものだったようです。

『X線観測衛星「ひとみ」は地球を回る軌道からの電波が通信不能でトラブルや分解した可能性』、こちらの記事の中でも書きましたが、「ひとみ」が通信不能になったのは3月26日であり、この時、「ひとみ」は姿勢制御装置の故障で回転を開始していたようです。

そして、小型エンジン4台を噴射して回転を止めようとしましたが、地上から送った作動指示データ(数字)に誤りがあり正しい秒数や方向で噴射されなかったため、回転が加速してしまい、太陽電池パネルなどが遠心力で分離したとのことです。

「ひとみ」が打ち上げられたのは2月ですが、打ち上げ後の2月までに、異常時に作動する「セーフホールドモード」のプログラム設定を手入力で変更し、衛星「ひとみ」に送信しました。

ところが、この際に、「ひとみ」を運用する委託業者(メーカー)の担当者が、本来プラスの値を入力する項目に、なんと、マイナスの値を入れてしまっていたようです!

しかも、そのことを、委託業者(メーカー)やJAXAも確認していなかったと言いますから、驚きです!

「ひとみ」が異常回転して分解するトラブルが起こった原因は、衛星の製造元である委託業者(メーカー)の担当者が、打ち上げ後に姿勢制御用の小型エンジンの噴射データを誤って入力したのが直接の原因だったのですが、そのことを、JAXAも確認していなかったと言いますから、本当に驚きです!

衛星「ひとみ」が分解トラブルを起こして運用断念に追い込まれることになった原因は、送信前にデータが正しいか委託業者(メーカー)が確認せず、さらには、JAXAも委託業者(メーカー)がチェックしたか確かめなかったという人為的ミスが重なったことが明らかになった訳です。

また「ひとみ」が異常回転したのは、設計時の検討が足りず、姿勢制御システムが想定外の動作をしたことも関係しているようです。

 

「ひとみ」は開発費310億円の国際的な巨大プロジェクト

『衛星「ひとみ」の製造費用は300億円投入されておりJAXAの運用に文部科学省も問題視』、こちらの記事の中でも書きましたが、衛星「ひとみ」の開発には310億円もの費用が投じられており、日本だけではなく、アメリカやヨーロッパ諸国との協力による国際ミッションであり、X線天文衛星「ひとみ」には、「宇宙の天文台」としての期待が世界から掛けられていました。

アメリカとヨーロッパは、設計寿命を超えたX線天文衛星をそれぞれ運用中であり、日本の衛星「ひとみ」は、ヨーロッパが2028年以降に次世代衛星を打ち上げるまで国際的な観測を担う筈になっていただけに、今回の「ひとみ」運用断念は、責任重大だと言わざるを得ません。

JAXAは、「初期運用のリスクを過小評価していた。人的ミスや検証漏れを見逃してしまった仕組みの問題だ」と結論付けています。

JAXAのある関係者は「運用のためのマニュアルや訓練が不十分で、今後の大きな課題だと考えている」と話していますが、本当に大きな課題を抱えていると思います。

JAXAでは、再発防止策をまとめて30日予定の次回会合で調査委員会に報告することになっていますが、ぜひ、今後の為にも、きちんとした再発防止策が求められるところです。

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ