[記事公開日]2016/04/30

イーロン・マスクのスペースX社が無人宇宙船「レッド・ドラゴン」で2018年に火星探査

   火星に着陸する無人宇宙船「レッド・ドラゴン」の想像図 (C) SpaceX

スぺ―スX社が2018年に無人宇宙船「レッド・ドラゴン」で火星探査

アメリカの宇宙開発企業スペースX社とNASA(アメリカ航空宇宙局)は4月27日(現地時間)、火星に向けて無人宇宙船「レッド・ドラゴン」を打ち上げる計画を発表しました。

宇宙船の火星までの飛行や、火星地表への着陸を試験する計画で、早ければ2018年にも打ち上げたいとしています。

アメリカの宇宙開発企業スペースX社は、天才的な起業家として世界的に注目されているイーロン・マスク氏がCEOを務めていますが、イーロン・マスク氏は人類の火星移住計画を長期目標に掲げています。

今回発表された、初の無人宇宙船「レッド・ドラゴン」を火星に送る計画が成功すれば、将来の火星移住計画の実現に一歩近づくことになりそうです。

無人宇宙船「レッド・ドラゴン」は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶために運用中の補給船「ドラゴン」の後継機となる「ドラゴン2」を、火星の飛行に合わせて改良したものであり、「ドラゴン2」の火星版だと言います。

「ドラゴン2」は元々、地球以外の天体への飛行も可能なように造られているそうです。

スペースX社のイーロン・マスクCEOは「ドラゴン2は、太陽系のどこにでも着陸することができる能力をもっています。このレッド・ドラゴンの飛行は、その最初の試験飛行となります」と述べています。

有人宇宙飛行も可能ですが、最初の試験飛行は無人で火星着陸を目指すと言います。

そして、無人宇宙船「レッド・ドラゴン」の打ち上げは、自社で開発中の新型の超大型ロケット「ファルコン・ヘビー」で打ち上げる予定だとのこと。

 

スペースX社の新型ロケット「ファルコン・ヘビー」で打ち上げ、NASAも技術協力

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火星探査のための無人宇宙船「レッド・ドラゴン」は、スペースX社で開発中の新型の超大型ロケット「ファルコン・ヘビー」で打ち上げられることになります。

詳しい計画は明らかにされていませんが、「ドラゴン2」は、着陸時に姿勢制御用のエンジンを噴射して軟着陸できるとのことなので、火星着陸時にもこうした技術を活用するとみられます。

火星への着陸は、NASAが、比較的小型で軽量な無人探査機をエアバッグで包んだり、パラシュートで減速させたりして行っていますが、6トンもある大型の宇宙船を着陸させる試みは初めてになります。

火星に大量のペイロード(積載物)を着陸させることは決して簡単ではないと言います。

宇宙船の質量だけでなく、大気が薄いため、下降中のパラシュートによる減速ができないのだとのこと。

今回の、スペースX社の無人宇宙船「レッド・ドラゴン」による試みは、将来の火星入植を目指し、物資や人の輸送を見据えた実験となります。

「レッド・ドラゴン」に搭載した8基の噴射機「スーパードラコ」を逆噴射させて、火星に着陸することになるようです。

とてつもなく高額な積載物(人間を含む)を安全に着陸させるための技術を検証するために、スペースX社の無人宇宙船「レッド・ドラゴン」による試みは、とても重要なミッションとなります。

NASAも着陸データの共有などを条件に技術協力を申し入れていると言います。

この無人宇宙船「レッド・ドラゴン」は火星に到着した後、様々な火星環境を調査して、地球に送信することになります。

そして、火星の地形などの詳細な情報を集め、将来の有人火星着陸につなげるものとみられます。

スペースX社は無人宇宙船「レッド・ドラゴン」が火星に着陸する際に得られるデータを提供し、NASAはその見返りとして、同社に対して技術的な支援を行うようです。

火星への大気圏突入、下降、着陸に関するデータをスペースX社から提供してもらう代わりに、NASAからは無人宇宙船「レッド・ドラゴン」を火星に着陸させる計画への技術サポートを行うことになります。

また、「レッド・ドラゴン」にNASAの観測機器などを搭載する計画もあると言います。

スペースX社は以前から火星への有人飛行を行う構想をもっており、またNASAも2030年代に有人火星探査を行う計画をもっていることから、両者の利害が一致した形となったようです。

 

イーロン・マスク氏を始め、オランダの「マーズワン」計画やNASAでも火星移住計画

アメリカの宇宙開発企業スペースX社とNASA(アメリカ航空宇宙局)が4月27日(現地時間)に行った、火星に向けて無人宇宙船「レッド・ドラゴン」を打ち上げる計画については、まだ詳しい内容は発表されていません。

しかし、イーロン・マスク氏は、今年9月にメキシコで開催される第67回国際宇宙会議(IAC)において、火星への有人飛行に関する検討について明らかにすると予告しています。

今回の発表では、この将来の火星への有人飛行計画についても触れ、「2018年のレッド・ドラゴンのミッションは、今年の後半に明らかにする有人火星探査計画の、実現に向けた第一歩になります。火星に大きく重い物資を送り込むためには、レッド・ドラゴンのような着陸方法が必要であり、その技術の実証を行いたいと考えています」と語っています。

有人火星探査をめぐっては、NASAも現在、2030年代の実現を目指して、超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム」と宇宙船「オライオン」の開発を進めていますが、スペースX社との協力が進むことで、計画の変更や、より早い時期に人類が火星に降り立つ日がやってくる可能性もあります。

なお、現在スペースX社はボーイングとともにNASAと契約して、国際宇宙ステーション(ISS)への物資の運搬業務を行なっていますが、この調子で同社が無人や有人による火星探査に成功すれば、将来は民間企業が国家による宇宙開発のスピードを追い越してしまう可能性も十分に考えられます。

『「マーズワン」プロジェクトにおける2023年4月人類初の火星移住計画は実現可能か?』、こちらの記事の中でも書きましたが、オランダのNPOによる民間プロジェクト「マーズワン」計画では、2023年4月に最初の4人を火星に永住させる予定になっています。

もし、オランダのNPOによる民間プロジェクト「マーズワン」計画が、予定通りに2023年4月に最初の4人を火星に永住させることになれば、アメリカ(NASA)やヨーロッパ(欧州宇宙機関ESA)、中国などの、宇宙大国を上回るスピードで人類の火星移住を実現させることになります。

また、イーロン・マスク氏のスペースX社による2018年の無人火星探査計画というのも、かなりスピードが速いと言えます。

『中国が2020年頃に火星着陸を目指した探査機を打ち上げる宇宙開発計画を発表』、こちらの記事の中でも書きましたが、つい数日前の4月22日、宇宙大国の一つである中国が、2020年の無人火星探査計画を発表したばかりです。

そして、『火星の生命を探査する「エクソマーズ計画」のロケットがバイコヌール宇宙基地から打ち上げ成功』、こちらの記事の中でも書きましたが、今年の3月14日、欧州宇宙機関(ESA)とロシアが共同で進めている火星探査プロジェクト「エクソマーズ計画」で、無人探査機が火星に向けて打ち上げられたばかりです。

イーロン・マスク氏のスペースX社の宇宙開発事業は、将来的には、国家を上回るようなスピードで、世界をけん引していくのかも知れません。

『イーロン・マスクのスペースX社の宇宙ロケット「ファルコン9」が無人船への着地に成功』、こちらの記事の中でも書きましたが、今月の4月9日、スペースX社が打ち上げた無人のロケットが、高度およそ70キロまで上昇したあと、大西洋に浮かぶ無人船まで戻ってきて、無事着地することに初めて成功し、ロケットの再利用への道を切り開きました。

そして、『「宇宙ホテル」の試験機打ち上げにNASAとビゲロー社が成功し山崎直子飛行士も期待』、こちらの記事の中でも書きましたが、その時に打ち上げられたスペースX社の「ファルコン9」ロケットは2段式であり、もう1段の方で国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングするための「宇宙ホテル」の試験機が無人宇宙船で運ばれました。

「宇宙ホテル」の試験機はラスベガスのホテル王として知られるロバート・ビゲロー氏が代表を務める、アメリカの民間企業、ビゲロー・エアロスペース社が開発したものですが、ロケットの打ち上げはイーロン・マスク氏のスペースX社が行いました。

イーロン・マスク氏のスペースX社は、「宇宙ホテル」という人類の夢の実現の一翼も担っています。

イーロン・マスク氏は、スペースX社のCEOであるだけでなく、決済サービス会社PayPalの創業者であり、電気自動車のテスラモーターズの経営者としても知られています。

天才的起業家として世界から注目されているイーロン・マスク氏とスペースX社には、今後もますます目が離せなくなりそうです。

 

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