[記事公開日]2016/02/21
[最終更新日]2016/04/09

月震(月で起きる地震)はアポロ計画で設置した地震計のデータから発生のメカニズムを解析

                 アポロ11号が設置した月震計

月震とは月で起きる地震

私たちの地球だけではなく、月においても地震が起きると言いますが、月で起きる地震は、「月震」と呼ばれます。

地球で起きるのが地震 (earthquake) なので、研究者の間で俗称としてmoonquakeという言葉ができ、それを日本語訳した呼称だと言います。

月でも地殻変動が起きており、地震が発生することは、1969年にアポロ11号が月面に地震計を設置したことによって、発見されたようです。

 

アポロ計画で月に地震計が設置され観測が行われた

アメリカが行ったアポロ計画の中で、月面に地震計が設置され、観測が行われたと言います。

1969年にアポロ11号が月面に地震計を設置したことによって、地震波が記録され、月においても地殻変動が起きていることが発見されたと言います。

ただ、この時の地震計は太陽電池を動力源としており、保温カバー等が無かったため、1ヶ月程度で運用を終了してしまいました。

その後月面に着陸したアポロ12号、14号、15号、16号が地震計を月面へと設置していますが、この時は保温カバーが付けられ、長期間の観測が可能となりました(なお、アポロ17号も地震計に準じた重力測定装置を搭載している)。

アポロ計画により月面に設置された地震計から、キャッチした地震波は地球へ送られ、解析が行われました。

これらの地震計による観測は1977年まで行われ、観測時間は通算8年10ヶ月に及び、12558回の地震が記録されたようですが、これが現在のところ月震に関する観測データの全てだと言います。

月面でキャッチされた地震波は地球へ送られ、解析されましたが、その結果、月震(月の地震)には4つのタイプがあることが確認されました。

 

月震(月の地震)には4つのタイプがある

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アポロ計画で月面に設置された地震計がキャッチした地震波は地球へ送られ、解析されましたが、その結果、月震(月の地震)には4つのタイプがあることが確認されたようです。

その4つのタイプとは、①深部月震、②浅部月震、③隕石衝突による震動、④熱月震、の4つのタイプです。

これらの4つのタイプの月震(月の地震)は、地球の地震の原因であるプレートテクトニクスとは、全く異なったメカニズムで発生していると言います。

☆月震(月の地震)の4つのタイプ

①深部月震
深部月震は、地下700~1000km位の深部で発生しますが、その深さは、地球の地震に比べると、あまりにも深い所で発生しています。

地球の地震の場合、震源の深さはせいぜい50kmまでであり、ほとんど地表での現象であるのに対して、深部月震の場合は、月の半径(1700km)の中間くらいの深さで発生しています。

その発生頻度や規模の変動が月の公転周期や秤動の周期に従っていることから地球や太陽からの潮汐力が原因で起こっていると考えられています。

アポロ計画で観測された地震のうち3145回が深部月震に分類されていると言います。

②浅部月震
浅部月震は、深さ20・30~300km程度の地下を震源とする月震です。

震源が浅いだけに揺れは大きく、マグニチュード3~4程度になるようです。

アポロ計画で観測された地震のうちでは28回と非常に少なく、発生数が少ないためそのメカニズムについては不明な点が多いと言います。

③隕石衝突による震動
隕石の衝突に伴う地面の振動が地震計で感知されたものであり、アポロ計画では179回観測されていると言いますが、その地震の規模から月面に衝突している隕石の質量は500gから50kg程度と推定されています。

④熱月震
熱月震は、昼夜の気温差によって生じる月震であり、月の昼夜の温度差が大きいために岩石が熱膨張と熱収縮を繰り返し、破壊される際の振動が地震計で感知されたものになります。

月面には水も大気も無いため、昼夜の気温差は250度にもなると言いますが、地殻は気温に応じて伸縮するため、気温差が大きければ伸縮の幅も大きくなり、地殻に加わる圧力も高くなります。

そして、この圧力に耐え切れずに、月震が発生すると考えられています。

熱月震は、上記の月震の発生数にはカウントされていませんが、実際には記録された月震の大部分を占めるそうです。

これまでに記録された月震は、上記のように大きく4つのタイプに分類されていますが、記録された月震のうち半分以上の7633回は分類されていないと言います。

また、上記の4つの月震とは別に、アポロ計画の際に爆薬や不要になったロケットのブースターや着陸船を月面に衝突させることによって、人工的に月震を起こす実験が11回行われています。

観測データから得られた月震の特徴には、次のような点があるようです。

 

月震の大きな特徴の一つは揺れが収まらないこと

これまで得られた観測データは、あくまでも限られたものになりますが、これまでに判明している月震の特徴には、次のような点があると言います。

まず、月震は揺れのピークに達するまでの時間が長く、時に数十分もかかることがあるだけでなく、揺れがおさまるまでの時間も長く、数時間も揺れが続くこともあるようです。

地球の地震の場合、揺れの持続時間はおよそ1分ほどですが、月震の揺れは10分から1時間ほど継続します。

地球の場合、地殻が水分を含んでいるため、それがクッションになって地震の揺れを減衰させますので、揺れの持続時間は短いものになります。

これに対して、月の場合は、揺れを減衰させる水分が無いので、一度月震が発生すると、その震動がいつまでも継続してしまうのだと言います。

また、震動波形を見ても、浅発月震を除けば実体波(P波、S波)、表面波(レイリー波、ラブ波)の区別がはっきりせず、上下動・東西動・南北動といった揺れの方向別の震動波形を見ても、3つの要素で振幅が大きく違い、関連性も薄いと言います。

このことから、月の地殻は地球のように明確な層に分かれておらずバラバラであるため、地震波が散乱されてしまうこと、地震波の減衰が地球に比べてかなり少ないことなどが分かったようです。

そして、月震においては、周波数が1Hz程度の長い周期の波が強いようです。

また、最大規模の月震でもエネルギーは地球の最大規模の地震の100万分の1以下であり、マグニチュード4程度だとされています。

地球の地震の解析によって地球の内部構造を知ることができるのと同様に、月震によって月の内部構造を知ることが可能となりますが、 アポロ計画で得られたデータは月の表側での観測に限られており充分ではないと言います。

このように、限られた観測データから判明している月震の特徴は、上記のようなものになりますが、月震の最大の特徴は、何と言っても、揺れが収まらず揺れの継続時間が長いということになります。

そのため、将来、月に観測基地を作る時には、月震の大きさよりも揺れの継続時間が懸念されます。

持続時間の長い月震に対応するためには、特殊な免震構造を持った建築物が必要になると考えられます。

 

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