[記事公開日]2016/02/25
[最終更新日]2016/04/09

ジャイアント・インパクトによって誕生した直後の月はマグマオーシャンだった

         ジャイアント・インパクトの想像画。NASA作成

誕生直後の月はマグマオーシャン

『月は1ヶ月で作られたというスーパーコンピューターによるシュミレーションがある』、こちらの記事の中でも書きましたが、約45億年前、出来たばかりの地球に、火星サイズ(地球質量の1/10程度)の天体が斜めに衝突して、月が出来たと考えられています。

これが、ジャイアント・インパクトと呼ばれるものなのですが、ジャイアント・インパクトで飛び散った溶けた破片やガスが冷え固まり、無数の固体粒子となって、それが約1ヶ月間に衝突・集積して、月が出来たと言います。

衝突によって発生する熱によって、月の表層部は厚さ300km以上に亘ってドロドロに融けて、マグマオーシャンが出来たようです。

つまり、誕生直後の月には、かつてマグマの大洋、すなわち、マグマオーシャンがあったことが明らかになってきたようです。

ただ、理論的な計算を行うと、月のような小さな惑星では、よほど急速に集積が起こらない限り微惑星の集積により解放される重力エネルギーは、熱放射として宇宙空間に効率よく逃げていってしまい、表面が全球的に溶融することは非常に難しいことも分かってきたと言います。

この問題を回避するために、月のマグマオーシャンは全球的な溶融ではなく、部分的で一時的な溶融の積み重ねだったとする仮説もあるようですが、その仮説にも問題点はあるので、全体としては全球溶融説の方が有力視されているようです。

そして、月のマグマオーシャン仮設を巡る理論と観測事実の矛盾は非常に重要で、現在の月の科学の最先端の問題となっているのだと言います。

そして、月が出来てから2億年後くらいで、月表層部に厚さ数百kmの層状構造が出来たようです。

 

月が出来て2億年後、月表層部には厚さ数百kmの層状構造

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月が誕生した直後には、マグマオーシャン(マグマの大洋)が出来ましたが、マグマオーシャンは冷えるに従って、様々な鉱物が晶出します。

最初に晶出するのは、かんらん石ですが、かんらん石は周囲のマグマよりも重いので沈みます。

次に晶出するのは輝石ですが、輝石も周囲のマグマよりも重いので、かんらん石とともに沈むことになります。

そして、この頃になると斜長石が晶出し始めますが、斜長石は周囲のマグマよりも軽いので、マグマの海に浮かんで表面を覆うようになります。

さらにマグマの温度が下がると斜長石が浮上する一方で、チタン鉄鉱の結晶は沈み、最後に残ったマグマもやがて固結しますが、最後に残って固まったマグマは、色々な鉱物が抜けた残留物なので、最初のマグマとは大きく異なっていたようです。

このようにして、月が誕生してから2億年後くらいには、月の表層部に厚さ数百kmの層状構造ができたのだと言います。

月の高地は、主に斜長石からなる岩石(斜長岩)で出来た平原であり、その後、小天体の衝突によって多数のクレーターに覆われた地域になっていると言います。

また、月では深さ約60kmを境界線として、「月の地殻」と「月のマントル」に分かれるようです。

 

深さ約60kmで「月の地殻」と「月のマントル」に分かれる

『月震(月で起きる地震)はアポロ計画で設置した地震計のデータから発生のメカニズムを解析』、こちらの記事の中でも書きましたが、アメリカが行ったアポロ計画によって、月面に地震計が設置され、月の地震波が地球へ送られ、観測されました。

アポロ計画で設置された地震計によって、月の内部構造が調べられましたが、それによると、深さ約60km以深では地震波が急に速くなることが分かったようです。

そして、この変化の様子は地球の地殻/マントル境界での地震波の変化によく似ているので、月でもこの境界の上下の層を、それぞれ「月の地殻」、「月のマントル」と呼んでいます。

そして、「月の地殻」は主に斜長岩から出来ていると考えられているようです。

 

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