[記事公開日]2016/03/26
[最終更新日]2016/04/11

重力波望遠鏡「かぐら」がアインシュタインの予言と宇宙の成り立ち解明に向けて初運転

報道陣に公開された試験運転が始まった重力波望遠鏡「かぐら」の制御室=岐阜県飛騨市神岡町で25日午前、共同(毎日新聞)

重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」が3月25日に試験運転を開始

さあ、いよいよ、日本が世界に誇る重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」が初運転開始です!

『重力波望遠鏡「かぐら」の25日の試運転開始を東京大宇宙線研究所の梶田隆章所長が発表』、こちらの記事の中でも書きましたが、今月18日、東京大宇宙線研究所は、宇宙から届く重力波を観測するため、岐阜県飛騨市の地下に建設した重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」を、3月25日に試運転を開始する予定であることを明らかにしていました。

このプロジェクトを率いるノーベル賞受賞者の梶田隆章同研究所長が、18日に自民党の会合での講演の中で発表されておりました。

当初は、15日に試運転を開始する計画だったものの、前日になって装置にトラブルが発生し、調整に時間がかかったため、25日に試運転を開始することになったとのことでした。

そして、岐阜県飛騨市神岡町の地下に建設された重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」が、25日午前9時頃、試験運転を開始しました!

「かぐら(KAGRA)」の試験運転は3月31日17時まで行われ、その後4月11日から25日まで再度行う予定だとのことです。

このプロジェクトを率いるノーベル賞受賞者の梶田隆章同研究所長は、「かぐら(KAGRA)」の試験運転が開始されたことについて、次のようなコメントをされています。
「基線長3kmという大規模なレーザー干渉計が動き始めたことで、ひと安心しました。今後は、本格的な低温重力波望遠鏡の構築を進め、一刻も早く国際的な重力波観測ネットワークに参加したいと思います。

試験運転で装置の性能を確認した後に改良工事を行い、2017年度の本格観測を予定しているとのことです。

重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」は、ブラックホールの合体などで放出される「重力波」を観測するためのものですが、この「重力波」というのは、何なのでしょうか?

 

重力波とはアインシュタインが100年前に存在を予言した「時空の揺れ」

「重力波」とは、アインシュタインが100年前に存在を予言していた「時空の揺れ」のことであり、時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象のことです。

アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量をもった物体が存在すると、それだけで「時空にゆがみ」ができると言います。

さらにその物体が(軸対称ではない)運動をすると、 この「時空のゆがみ」が光速で伝わっていきますが、これが重力波と呼ばれるものであり、重力波はすべてを貫通し、減衰しないと考えられています。

 

「重力波」はブラックホールの合体や超新星爆発など、重い天体が激しく動いた時に生じる現象

「重力波」は、物体が加速度運動をすることにより放出されますが、完全な球対称な運動(星の崩壊など)や円筒対称な運動(円盤状物体の回転など)からは放出されないと言います。

「重力波」を人工的に作り出して観測することは不可能なので、波源は宇宙の天体現象に期待されます。

そして、「重力波」は、巨大質量をもつ天体が光速に近い速度で運動するときに強く発生するようです。

例えば、ブラックホール、中性子星、白色矮星などのコンパクトで大きな質量を持つ天体が連星系を形成すると、重力波によってエネルギーを放出することで最終的に合体すると考えられています。

 

「かぐら(KAGRA)」は地下200mにある1辺3kmのL字型巨大実験装置

「かぐら(KAGRA)」は、素粒子観測施設「スーパーカミオカンデ」と同じ旧神岡鉱山の地下にあり、計画が始まった10年度から、約160億円の国費が投じられました。

1辺3キロメートルのL字型巨大実験装置であり、1本3キロメートルの真空パイプ2本をL字に組み合わせ、パイプ内に発射したレーザー光を同時に往復させて重力波を測ります。

中央部からレーザー光を出して、両端までの距離を精密に計測し続け、「重力波」がやって来た時に生じる「空間のゆがみ」を検出します。

極めて小さい距離の変化を検出する必要があるため、振動の少ない地下200メートルより深いトンネルに設置されています。

 

宇宙の成り立ち解明に向けて日本が誇る「かぐら(KAGRA)」に期待

私たち人類は、19世紀に入ってから、電波やX線、赤外線・紫外線やガンマ線などの電磁波を発見し、「波動現象」を利用してきました。

電磁波と同じ「波動現象」である「重力波」も、人類に未知なる世界を垣間見ることを可能にする新しい観測手段となることが期待されていると言います。

そして、「重力波」はその名が示すとおり、「重力」を発生する起源である「質量」が運動することで発生しますが、その「質量」というものは、「時空」の構造という物理学の一大テーマを決定するために非常に重要な要素となります。

従って、同じ「波動現象」と言っても、人類が今まで発見し道具としてきた「電磁波」の仲間とは大きく異なる特徴を持つのが「重力波」だということになります。

「重力波」を観測することによって、科学者たちが期待しているのは、主に次のようなものになるようです。

★「重力波」の観測によって今後期待されること

* アインシュタインの一般相対性理論の検証

* 宇宙誕生のより初期の情報の取得、および宇宙重力波背景放射の検出

* 非常に強い重力場での物理現象の観察

 

日本の「かぐら(KAGRA)」と米・欧の国際観測ネットワークが大切

スポンサーリンク

日本が誇る重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」は、3月25日に試験運転が開始されましたが、当面31日までとなります。

4月に再び運転した後、感度を数十倍に上げるため、熱によるぶれの少ない鏡に交換するなど改良を加えると言います。

「重力波」に関しては、アメリカの実験チーム「LIGO」が、今年2月にブラックホール連星からの「重力波」を初めて捉えることに成功したと発表したばかりです。

しかし、レーザー干渉計による測定では、少なくとも3台以上の干渉計の同時観測がないと、どの位置から「重力波」が来たのかは特定できないと言います。

日本が誇る重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」は、世界最高精度の重力波望遠鏡ですが、世界の主な重力波望遠鏡としては、「かぐら(KAGRA)」の他に、アメリカの「LIGO(ライゴ)」グループと、イタリアの「VIRGO(バーゴ)」グループにもあります。

これら複数の設備が協調すれば、到達時間の差から重力波源天体の方向を割り出すことができると言います。

日本が誇る重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」が2017年度に本格稼働すれば、米・欧にある同様の装置との国際観測ネットワークが完成することになります。

日・米・欧の複数の装置で精度良く観測することで、ブラックホールの発生や宇宙の成り立ちなどの解明が進むと期待されています!

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ