[記事公開日]2016/05/26

火星に古代の海があり隕石の衝突で大津波が発生したという説に異論を唱える科学者も

NASAの探査衛星がとらえた、火星のアラビア大陸の地形。大昔にあったとされる津波の痕跡を調べた場所の1つ。(Photograph by NASA/JPL, University of Arizona)

火星に隕石の衝突があり古代の海で大津波が起きたとする研究成果

火星の北部には、かつて30億年以上前に古代の海があり、隕石の衝突によって大津波が起きたとする研究結果があります。

『火星にクレーターを発生させた30億年前の隕石が津波を引き起こして古代の海岸線が変形』、こちらの記事の中でも書きましたが、火星で30億年以上前に120メートルもの巨大津波が発生した痕跡が発見されました。

今からおよそ34億年前の火星で、隕石(いんせき)の衝突によって表面に直径約30kmのクレーターが発生し、巨大津波が引き起こされて、古代の海の海岸線を完全に変形させたようです。

これはアメリカやドイツ、スペインなどの国際研究チームが19日付けのイギリスの科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表したものであり、火星のかつての姿を理解するうえで重要な成果として注目されています。

火星の巨大津波は、34億年ほど前に発生したとされており、その頃、2つの巨大隕石が火星北部の冷たい海に落下したようです。

そして、1度目の衝突では120メートル近い巨大な津波が発生し、巨岩が内陸部に運ばれたようですが、津波による洪水で、フランスとドイツの国土を合わせた面積に匹敵する程の広大な一帯を冠水させた後、火星の原初の海に退いたと考えられています。

今回、火星の地質図をマッピングしたことにより、巨岩を数百キロ運ぶほどの威力を持つ、巨大津波のような上昇流が存在したことが、堆積物の形状により明らかとなったようです。

火星にかつて水があったということは、ほぼ定説として認められるようになっており、火星にはかつて広大な海が広がっていたと考えられています。

ただ、海があったと考えられる火星の地表面に海のなごりである海岸線の痕跡が見られないという疑問がありましたが、火星にかつて海があったことを示す重要な研究成果として注目されていました。

ところが、この研究結果に対して、異論を唱える科学者もいるようです。

 

火星の海で大津波が発生したことを既成事実化するにはさらなる精査が必要

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アメリカやドイツ、スペインなどの国際研究チームが19日付けのイギリスの科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表した研究成果は、火星軌道を周回する探査衛星が集めた観測結果とも一致するものだと言いますが、その説を既成事実化する前にもう少し精査する必要があるとする立場の科学者もあるようです。

まず、海がなければ大津波が発生する筈はありませんが、大津波が発生したとされる時期(約34億年前のへスペリア代)、火星の北部に海があったかどうかははっきりしていないのだという立場の科学者たちです。

火星に、かつて水が流れていた強力な証拠はあり、火星表面には、網目状に刻まれた渓谷や川の痕跡がありますが、そうした地形ができたのはノアキス代で、約38億年前のことであり、火星から、大気が大幅に失われたとされる時代より前のことだと言います。

大気が薄くなるにつれ、火星は寒冷化し、地表には液体の水を蓄えておけなくなったようです。

火星の古い時代の気候については不明な点が多いので、ある時期に海があったとしても、ヘスペリア代を通じてずっと大量の水が残っていたかははっきりしないということなのです。

保存状態のよい海岸線が見つかれば、古代の火星にあったとされる海の謎を解明するのに役立ちますが、その種の痕跡は特定するのも難しいようです。

火星の北部にある低地の地形のほとんどは、後世の地形によって覆い隠されていますので、海があったという直接的な証拠を探すのは難しいのが現状のようです。

火星に巨大な津波があったとする立場の科学者は、海があったとすれば、大津波があったからこそ海岸線がほとんど見つからないという説明ができると考えるようですが、大津波が火星の地形を形作ったことについて証明するためには、海洋堆積物が移動した跡を特定するなど、調査研究を重ねていく他に道はないようです。

今から約34億年前、火星に古代の海があり、隕石の衝突による衝撃で巨大な大津波が発生した可能性は高いものの、その説を既成事実化するためには、さらなる調査研究を行って精査する必要があるということのようです。 

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