[記事公開日]2016/01/04
[最終更新日]2016/04/09

火星に生命が存在する可能性を探る為に生物や水の痕跡を求めた探査が続けられてきた

              NASAの火星無人探査機ローバー

火星は有人宇宙探査や人類の移住先として有力な候補となる惑星

火星という惑星は、地球の隣の惑星であるだけではなく、地球と似た性質を持っているため、将来、火星への有人宇宙探査や人類の火星移住も計画されています。

『「マーズワン」プロジェクトにおける2023年4月人類初の火星移住計画は実現可能か?』、こちらの記事の中でも書きましたが、オランダの民間プロジェクト「マーズワン」計画では、2023年4月に、最初の4人を火星に永住させる予定だとのことです。

また、『テラフォーミングという「惑星地球化計画」で火星は人類が住める星になる?』、こちらの記事の中でも書きましたが、「火星テラフォーミング」といって、火星という惑星そのものに大気を作り、人類が住めるような惑星に作り替えてしまおうという、「地球化」「惑星化」のプロジェクトまで取りざたされるような時代を迎えています。

そして、火星の生命については、火星が地球と似た性質を持っているため、火星と地球の類似性から、科学者によって長い間その可能性が推測されていたといいます。

火星に生命は存在するのでしょうか、あるいは、かつて火星には生命が存在したのでしょうか?

火星に生命は存在するのか?

火星という惑星は、地球の隣の惑星であるだけではなく、地球と似た性質を持っているため、火星に何らかの生命が存在する可能性については、19世紀の半ば頃には、自然に受け入れられるようになっていたようです。

17世紀中盤には、既に火星の極冠が確認されており、18世紀後半には、ウィリアム・ハーシェルによって、夏と冬で成長したり縮んだりすることが観測されたようです。

そして、19世紀中盤までには、火星の1日が地球とほぼ同じ長さであるなど、火星が地球と様々な似た面を持つことが知られるようになったといいます。

また、赤道傾斜角が地球と近く、これは火星に四季があることを示していますが、一年の長さが長いため、その期間は地球の倍近くになるようです。

これらの観測から、アルベドの小さい部分は水であり、大きい部分は陸であるという推測が強くなっていったといいます。

アルベドとは、天体の外部からの入射光に対する、反射光の比であり、反射能とも呼ばれるものになります。

このように、19世紀半ばにおいては、既に、火星に何らかの生命が存在するというのは自然に受け入れられていたようです。

ただ、人工衛星を打ち上げて本格的な火星探査ができるような時代ではなかったので、様々な仮説や推測が行われたようです。

たとえば、ウィリアム・ハーシェルは、火星には海と陸があり、生命が存在するという仮説を立てたといいます(ただし、ハーシェルは、全ての惑星には生命が存在すると考えており、太陽にさえ生命と文明が存在すると考えたようです)。

火星に生命がいるという推測は、19世紀後半に望遠鏡による観測で、「火星の運河」が観測されると、一躍脚光を浴びることになりましたが、すぐに光の錯覚であったことが判明したそうです。

火星の大気の分光法による分析が1894年初頭から始まり、アメリカの天文学者ウィリアム・キャンベルは、火星の大気には水も酸素も存在しないと発表しました。

さらには、1909年には、望遠鏡による精度の良い観測が可能になり、「火星の運河説」には終止符が打たれたといいます。

その後、人工衛星が打ち上げられ、本格的な宇宙探査ができるようになると、火星についてのもっと詳細なデータが得られるようになりました。

 

火星で生命の痕跡を探る探査が続けられている

人工衛星が打ち上げられ、本格的な宇宙探査ができるようになると、火星に生命が存在する可能性についての、もっと詳細なデータが得られるようになってきました。

★1965年にNASAが行なった「マリナー4号」による観測

1965年にNASAが打ち上げた人工衛星「マリナー4号」が火星をフライバイした際に撮影した写真は、火星は乾燥しており、川も海も生命の痕跡も無いことを示したといいます。

さらには、少なくとも写真に写っている範囲の火星の表面はクレーターで覆われており、そのことはこの40億年の間にプレートテクトニクスや風化の作用が働かなかったことを示していたとのことです。

また探査機による観測により、火星には地球のように生物を宇宙線から守る磁気圏も存在しないことや、大気圧が地球の150分の1に満たず、地表に液体の水が存在し得ないことも明らかになったようです。

「マリナー4号」による観測後、火星の環境が想像以上に厳しいことが分かったため、火星の生物探索は多細胞生物の探索から微生物のような探索に変わっていったといいます。

★1970年代に火星探査計画としてNASAが行なった「バイキング計画」

アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)は、1970年代中盤に火星探査計画として、「バイキング計画」を行いました。

そして、「バイキング1号」と「バイキング2号」の2機の火星探査機が、火星への着陸に成功しています。

「バイキング計画」の主要な目的は、火星の土壌中の微生物を検出する実験を行うことでした。

4つの実験が行われたうち、放射性同位体で標識した元素を用いた実験だけが有意な結果を出したといいます。

科学者たちは、この「バイキング」の実験から2つの事実について合意を得たものの、これらの事実をどう解釈するかについては、大きな違いがあったようです。

実験の結果を火星の生命の確定的な証拠だと信じる科学者もあったものの、それに異議を唱える科学者も多くあり、この実験のデータは生命の証拠として合意を得ることはなかったといいます。

火星の生命に関する「バイキング」のミッションの結果は、専門家からはせいぜい決定的ではないものと評価されているとのことです。

火星は約40億年前に磁気圏を失ってしまったため、火星の電離層は太陽風や放射を遮ることができず、これらは表面の土壌と直接反応するため、生物は存在できないと考えられているようです。

また、低い気圧と温度のせいで、一部で極僅かな期間を除いては、生命や代謝に不可欠な液体の水が火星の表面に存在できず、表面から見つかっていません。

しかし、NASAは2004年3月に、火星に「水」の痕跡があるという重大ニュースを発表することになります。

 

2004年3月、NASAは火星に「水」の痕跡があることを発表

生命の痕跡を求めて火星のレゴリス(固体の岩石の表面を覆う軟らかい堆積層)を初めて試験したのは、NASAが打ち上げた人工衛星「バイキング」です。

NASAの最近のミッションは、火星の表面には過去に湖や海など、液体の水が存在したことがあったのかということに焦点が絞られているようですが、2004年3月、NASAは重大なニュースを発表することになります。

2004年3月、NASAは探査機「オポチュニティー」が、火星は過去に濡れた惑星であった証拠を発見したと発表しました。

この発見により、火星の過去の生命の存在に希望が生まれることになり、かつて火星に生命が存在した可能性が出てきました。

また、同じ2004年1月には、欧州宇宙機関(ESA)が火星探査機「マーズ・エクスプレス」を用い、火星の南極付近で大量の氷の蓄積を直接的に検出しています。

残念ながら2004年には火星に生命の証拠は見つかりませんでしたが、少なくとも太古の火星に水が存在したことは、ほぼ定説として認められるようになったようです。

水が存在したのであれば、生命が花開いた可能性も高いということになります。

2005年7月28日、欧州宇宙機関(ESA)は火星の北極付近で地表面の氷を撮影することに成功したと発表しました。

2006年12月、NASAは、火星の表面で洪水が起きていたことを示唆する、火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」からの写真を公開しました。

写真では水自体は直接見えなかったものの、クレーターや堆積物が変化し、数年前まで水の流れがあり、もしかすると今もあるかもしれないことを示す、これまでで最も強力な証拠となったといいます。

ただ、地形の変化は水が原因だとする説に懐疑的な科学者もいて、彼らは砂や泥など別の物質の流れでも似たような地形が形成できると主張したようです

軌道上の望遠鏡から得られたデータを用いた、最近の火星の砂岩の分析からは、かつて火星の表面に存在した水は塩分が高く、地球で見られるような生命は存在できないことを示唆したようで、火星の水の水分活性は地球のほとんどの生命であれば死に絶えるほどのレベルであるものの、高度好塩菌であれば、生きることも可能なようです。

2008年5月に火星の北極の平原に着陸したNASAの探査機「フェニックス」は、地表面近くに氷の存在を確認しました。

これは、探査機の掘削アームに付着した明るい色の物質が3、4日で蒸発し、無くなったことで確認されたものですが、掘削によって露出した表面付近の氷が、大気への露出によって昇華したためと考えられています。

このように、火星に水が存在したことは定説として認められてきているようですので、火星に生命が存在した可能性はあるということにもなります。

また、火星には間欠泉があるようですので、そこに生命が存在した可能性も取り沙汰されているようです。

 

火星の間欠泉には生命が存在する可能性

スポンサーリンク

火星には間欠泉があり、そこに生命が存在した可能性も取り沙汰されています。

南極の氷床が季節ごとに凍結と融解を繰り返すことで、1mの厚さの蜘蛛の巣のような放射状の溝が作られたようで、その後、二酸化炭素が昇華し、地表内部で水の圧力が高まって、冷たい液体と玄武岩質の砂や泥の混合物の間欠泉のような噴出が生じるようになったといいます。

この過程は、数日、数週間、数ヶ月の間隔で急速に進行し、火星の地質の中では異常な現象であるといいます。

ハンガリーの科学者チームは、間欠泉の最も目立つ特徴である、暗いスポットや蜘蛛の巣状の溝は火星の光合成微生物の群集であり、冬の間は氷床の下に隠れ、春になると氷が解けて光合成が始まり、すぐに周囲の温度を上昇させるという説を提唱したといいます。

また、ヨーロッパの多国籍の科学者からなるチームは、春季に蜘蛛の巣状の溝に液体の水が存在すると仮定すると、ある種の微生物が太陽の放射から隠れることのできる裂け目が生じるはずであると示唆したようです。

またイギリスのチームも、このような地形が液体の水と地温勾配のエネルギーにより生じるのであれば、有機物や微生物、あるいは簡単な植物さえ生存できる可能性があると考えたようです。

火星の間欠泉には、生命の可能性があるということになります。

 

「人間の目線で火星を探査する」無人探査機「ローバー」が大活躍

火星探査では、火星無人探査機「ローバー」が大活躍したとされています。

「ローバー」には「オポチュニティー号」と「スピリット号」の双子がいて、この双子には「人間の目線で火星を探査する」という面白いコンセプトがあるといいます。

将来の有人探査が念頭にあるのか、あるいは、人間の背丈のカメラで撮影した映像により「リアル」な臨場感を演出したかったのかは定かではないものの、「ローバー」には、ほぼ人間の目線での撮影が可能なカメラが搭載されているようです。

火星に生命が存在しているのか、または、かつて存在した可能性があるのかについては、無人あるいは将来的に有人でも探査が続けられていくことになると思います。

結論としては、火星には、水の痕跡があることや、間欠泉があることなどから、生命が存在している、または、かつて存在した可能性もあるものの、今のところは、まだ解明されておらず、謎のままのようです。

今後の無人・有人でのさらなる探査が期待されるところではあります。

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ