[記事公開日]2016/04/22

ループ量子重力理論はスピンネットワークという数学的構造から時空が生まれるとする概念

GLAST(フェルミガンマ線宇宙望遠鏡)などが「ガンマ線バースト」を観測して「ループ量子重力理論」が証明される日が来るかも知れない

「ループ量子重力理論」は量子重力理論の中の1つの仮説

「ループ量子重力理論」と呼ばれるものがあり、量子重力理論の中の1つの仮説となっているようです。

『宇宙の始まりの謎に挑む超弦理論やループ量子重力理論やブレーン宇宙論(膜宇宙論)』、こちらの記事の中でも書きましたが、宇宙がどのように始まったのかということは元より、そもそも宇宙に始まりがあったのかということさえ、まだ分かってはいないようです。

宇宙の本当の起源は何かという疑問は、物理学の究極の問題になりますが、それを扱うためには、「マクロの世界(物理学)」と「ミクロの世界(量子力学)」を統合した理論が必要になります。

宇宙の始まりを扱うのに必要な理論は、ビッグバン理論の基礎である一般相対性理論と、素粒子論の基礎である量子力学とを融合した理論であり、「量子重力理論」と呼ばれています。

まだ私たち人類は、この量子重力理論を完成させていないので、宇宙の本当の起源は何かという疑問、すなわち物理学の究極の問題は、解明されていないということになります。

宇宙がどのようして始まったのかは元より、そもそも宇宙に始まりがあったのか、さらには、私たちの宇宙がたった1つの唯一の宇宙なのか、それとも、複数あるいは無数の宇宙が存在しているのか、ということなど、分からないことだらけなのが実情のようです。

そうした中にあって、宇宙の本当の始まりを探す挑戦としての量子重力理論の中で、有力な候補たちがいくつかあり、超弦理論(超ひも理論)、ループ量子重力理論、ブレーン宇宙論(膜宇宙論)などがあるようです。

『超弦理論では宇宙を「超ヒモ」が振動するカラビヤウ空間で11次元だと数学的に計算』、こちらの記事の中でも書きましたが、超弦理論(超ひも理論)は、量子重力理論の中の有力な仮説の1つとされています。

そして、『ブレーン宇宙論は4次元時空を高次元のバルクに埋め込まれた膜と捉える宇宙モデル』、こちらの記事の中でも書きましたが、超弦理論(超ひも理論)は、「ブレーン(膜)」と呼ばれる特殊な構造を予測することになり、その「ブレーン(膜)」からミクロの「超ヒモ」が生えていると考えることにより、ブレーンワールドとも呼ばれる、ブレーン宇宙論(膜宇宙論)が登場することになります。

量子重力理論の中の1つの有力な仮説とされている「ループ量子重力理論」では、「スピンネットワーク」と呼ばれる数学的な構造を想定することにより、時空という概念そのものが消滅してしまうようです。

 

数学的な「スピンネットワーク」により、時空という概念そのものが消滅?

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ループ量子重力理論は、イギリスの数学者・物理学者であるロジャー・ペンローズという人が唱えた、「スピンネットワーク」という数学的な概念から発展したもののようです。

ロジャー・ペンローズは、スティーヴン・ホーキング博士と共にブラックホールの特異点定理(重力崩壊を起こしている物体は最後には全て特異点を形成する)を証明し、「事象の地平線」の存在を唱えたことでも知られています。

また、回転するブラックホールから理論的にはエネルギーを取り出せる方法として、ペンローズ過程を考案したことでも知られています。

ロジャー・ペンローズが提唱した、量子的な「スピン」を組み合わせ論的につなぎ合わせると、時空が構成できるという「スピンネットワーク」という概念が、ループ量子重力理論の中に取り込まれたようです。

ループ量子重力理論の世界観は、超弦理論(超ひも理論)よりもさらに徹底していて、そこでは時空そのものが消滅するといいます。

ループ量子重力理論の元になっているのは、「ループ(輪)」と呼ばれるものであり、ループ状のエネルギーの塊を基本的な量として重力を扱います。

ループ状のエネルギーの塊は、イメージとしては、電磁気学の電気力線のようなものだと言います。

ループ量子重力理論は、ループ状のエネルギーの塊が時空の「原子」であると考えて、時空を不連続なものとして扱う理論であり、極微の空間の量子状態は「スピンネットワーク」(不連続な時空)という図で表現しています。

 

「スピンネットワーク」が生み出すデジタルで格子状の時空という概念

ループ量子重力理論では、理論の始めに時空を仮定せず、仮定するのは「スピン」という量子論的な属性のつながり、すなわち「ネットワーク」という数学的な構造だけだといいます。

そして、そこから二次的に時空という概念が派生してくるようです。

ループ量子重力理論の元になっているループは、たくさんつながって「ネットワーク」になりますが、「ネットワーク」というのは、インターネットの場合でも人間の脳でもそうですが、拠点となる「ノード(点)」があって、「ノード(点)」同士を「リンク(線)」がつないでいる構造になります。

空間は「ノード(点)」と「ノード同士(点)」同士を繋ぐ「リンク(線)」から成るグラフで表されますが、ループ量子重力理論で使うグラフは「スピンネットワーク」と呼ばれます。

この「スピンネットワーク」で表される空間のつながりの変化が重力などの力の媒介、電子などの素粒子の存在を示していると考えられています。

そして、この「スピンネットワーク」から時空が生まれるということであり、「スピンネットワーク」から二次的に「面積」と「体積」という概念が派生するそうです。

そして、この「スピンネットワーク」に時間を加えたものを「スピンフォーム」と呼びますが、「スピンフォーム」は時計の秒針が動くように離散的に変化するようです。

つながりの変化前と変化後の時間の差は1プランク秒(10-43秒)で、これが積もり積もって人が感じる時間となるのだと言います。

ループ量子重力理論が予言する時空は、通常のアインシュタインの重力理論が仮定している時空とは違い、デジタルで飛び飛びになっています。

言い換えると、ループ量子重力理論では、時空が格子のようになっていると考えるようです。

素粒子には、「スピン」と呼ばれる、量子的な属性があると言います。

これはミクロの世界における自転のようなものなのですが、量子論に支配される自転なので、デジタルになっており、飛び飛びなのだと言います。

そして、ループ量子重力理論の「リンク(線)」には、この「スピン」の値が割り振られていますので、ループ量子重力理論が予言する時空は、通常のアインシュタインの重力理論が仮定している時空とは違い、デジタルで飛び飛びになった格子状の時空なのだと言います。

このループ量子重力理論は重力と他の力との統一という観点には欠けているものの、超弦理論(超ひも理論)のように余分な次元を考える必要はなく、さらに4次元時空にあらかじめ平坦であるなどの特定の構造を仮定する必要もないので、特異点近傍の様子を調べることができるといいます。

ループ量子重力理論は、純粋に理論的な研究の成果ですが、決して空理空論という訳ではなく、実際に検証できる可能性があります。

例えば、空間の構造が格子状で離散的だとすると、そこを伝わる光のスピードは波長によってわずかに異なることになります。

はるか遠くの宇宙で発生した「ガンマ線バースト」の光が、波長によってわずかな時間差をもって地球に届くことが検出されれば、理論を実証したことになります。

GLAST「フェルミガンマ線宇宙望遠鏡」は、何十億年も彼方の遠い宇宙からやって来る「ガンマ線バースト」を精密に観測することが可能だといいます。

これを観測することが可能な天文衛星により、時空の離散的構造から生まれる効果が近い将来に確かめられる日が来るかも知れません。

ループ量子重力理論は、私たち一般の人からは、なかなかイメージしにくい面もありますが、デジタルで飛び飛びになった格子状の時空という概念は、かなり面白いという感じがします。

 

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