[記事公開日]2016/09/02

日本初の月面探査を目指す民間チーム「HAKUTO」が「フライトモデル」を公開

         提供=KDDI株式会社・株式会社ispace

月面探査を目指す「HAKUTO(ハクト)」チームが、「フライトモデル」を公開。

日本で初めての月面探査を目指している民間チーム「HAKUTO(ハクト)」が、8月29日に「フライトモデル」を公開しました!

「HAKUTO」は、宇宙関連企業の関係者や東北大学の研究者などおよそ100人で作る民間のチームであり、世界初の月面探査レースに参加している、日本で唯一のチームになります。

「HAKUTO」は2010年9月に設立され、ベンチャー企業「ispace」(東京)が運営する、産学連携による民間の宇宙開発チームになりますが、今回のレースにおいて、KDDI(au)とパートナー契約を結んだとのことです。

KDDI(au)は資金面と併せ、月面探査ロボット(ローバー)の無線操作やデータ送信を技術面で支えることになります。

「HAKUTO」チームは、9月下旬には鳥取県の鳥取砂丘で月面を想定した走行テストを行うなどの準備を進め、来年中の月面探査の実現を目指していますが、この度、実際に月面で走らせる探査車の設計が固まったということで、試作した「フライトモデル」を29日に公開するに至ったようです。

日本初の月面探査を目指す「HAKUTO」チームが参加しているのは、世界初の月面探査レース「Google Lunar Xprize」と呼ばれるものになります。

 

世界初の月面探査レース「Google Lunar Xprize」とは

「Google Lunar Xprize」は、アメリカのIT企業グーグルがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営される世界初の月面探査レースであり、賞金総額は3000万ドルで、優勝チームには賞金2000万ドル(現時点で約20億円)が贈られることになります。

ただ、その目的は単なる賞金レースではなく、このミッションの本当の目的は、起業家の挑戦心を刺激して、低コストによる新しい宇宙ビジネスの育成や月の資源の効率的な開発と利用を実現することにあるのだと言います。

また、このレースに参加した各国チームの月への困難な挑戦を世界中の人々に公開することで、次世代のテクノロジーやイノベーションに関わる人々を、更なる宇宙への挑戦へと駆り立てることも、このミッションの重要な目的だとされているようです。

「Google Lunar Xprize」における具体的なミッションは次の3点になります。

☆「Google Lunar Xprize」のミッション

1.月面に純民間開発ロボット探査機を着陸させること
2.着陸地点から500メートル以上移動すること
3.高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること

このレースの具体的なミッションは上記3点であり、月面に無人のロボット探査車を送り込んでから、500メートル以上走行させて鮮明な画像データを地球に送信することを競うことになりますが、民間資金のみで挑戦することが条件となっています。

そして、2017年末までに最初に達成したチームに賞金2000万ドル(現時点で約20億円)が贈られることになっているとのことであり、世界10カ国以上から16チームが参戦しますが、日本からの参戦は「HAKUTO」チームだけになります。

 

月面に似た鳥取砂丘で9月下旬に走行テスト

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今回公開された「フライトモデル」は、全長がおよそ60センチ、重さはおよそ4キロで、月面のどんな複雑な地形でも走行できるように、羽根車のような形をした車輪が大きな特徴となっています。

そして、今回、発表された「フライトモデル」では、大幅な軽量化が図られているようであり、去年10月に発表された探査車の試作機は、重さがおよそ7キロありましたが、今回の「フライトモデル」では、およそ4キロと半分近くになっています。

全長58センチ、高さ約36センチで、最新の航空機などに使われる炭素繊維を使って重さを4キロに抑えられており、4輪それぞれの中にモーターをつけ、月面の凸凹もスムーズに乗り越えられると言います。

今回の大きな改良点は、本体に使用している素材の変更で、全体の3割を占めていたアルミニウムのほとんどを、より軽く、より強度がある、航空機などにも採用されている「炭素繊維強化プラスチック」に変えたようです。

また、羽根車の形をした車輪の刃の数もこれまでの23枚から15枚に減らしています。

大幅に軽量化した大きな理由は、輸送コストを減らすことにあったようです。

チーム「HAKUTO」では、アメリカの企業が開発する月着陸船に載せて探査車を月に送り込む計画ですが、探査車が1キロ重くなるごとに、アメリカの企業に支払う費用がおよそ1億2000万円ずつ増えるため、探査車を軽くした分だけ費用を抑えられるということです。

探査機を月に送るには重さ1キロにつき約1億2000万円かかるため、車輪の滑り止めの突起を減らすことなどで、7キロあった以前の試作機から、約半分の4キロまで大幅に軽量化したということのようです。

「HAKUTO」の袴田武史代表は「日本の得意な小型化で、世界の探査機に比べて軽量にできた」と話しており、パートナー契約しているKDDIを始め、スズキ、日本航空などが通信技術や車両造り、整備などの分野で支援しているのだと言います。

『宇宙開発チーム「HAKUTO」が月面探査レース参戦に向けてローバーの走行実験計画』、こちらの記事の中でも書きましたが、「HAKUTO」では、9月下旬から、鳥取砂丘での「フライトモデル」の走行テストを行う予定になっています。

鳥取砂丘で実験を行うのは、鳥取砂丘の砂の粒子が細かく、月面に似ているからだと言います。

ただ、理由はそれだけではなく、月面は目印となる構造物がないのに、ローバー(無人探査車)に搭載するカメラの映像だけを頼りに地球から遠隔操作しなければならないのですが、鳥取砂丘は搭載するカメラに構造物が映り込まず、月面と同じ環境になる上、起伏に富んでいるため操縦訓練に適しているのだそうです。

地形が月面に似ていることに加え広いエリアを確保できるので、鳥取砂丘は実験に適しているようです。

「HAKUTO」が行う鳥取砂丘での走行実験は9月下旬からの数日を予定しており、滑らないかなど車輪の性能を確認し、操作に習熟することになります。

「HAKUTO」のローバー(無人探査車)は昨年の2015年1月、走行技術の面で参加チーム中、トップ5に入っているとして、競技を主催するXPRIZE財団(アメリカ)が設けた中間賞を受賞しています。

「HAKUTO」のローバー(無人探査車)が宇宙空間でも機能する性能を持つことを証明して、「Google Lunar Xprize」による「モビリティサブシステム中間賞」を2015年1月に受賞し、賞金50万ドルを獲得したとのことです。

チーム「HAKUTO」の袴田武史代表は、「ようやく設計が固まり、月に向かえる態勢が整ってきた。月面探査の目標をしっかりと達成できるよう着実に準備を進めたい」と話しています。

ぜひ、チーム「HAKUTO」が来年2017年に日本初の月面探査に成功し、さらには、見事優勝してくれることに期待したいと思います。

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