[記事公開日]2016/01/01
[最終更新日]2016/04/09

太陽から吹くプラズマの風は太陽圏(ヘリオスフェア)の宇宙空間まで広がっている

太陽風と呼ばれるプラズマの風が吹いている

太陽からは、極めて高温で電離した粒子(プラズマ)が吹き出しており、プラズマの風が吹いているようで、太陽風と呼ばれています。

太陽からは、様々な波長の光・電磁波が放射されているだけでなく、太陽の大気も宇宙空間に向かって常に流れ出しているということなのです。

太陽の大気は、ほとんどがプラズマと呼ばれる電離したガスになっていて、その流れが太陽風と呼ばれています。

太陽の表面には、コロナと呼ばれる100万度以上の密度の低い薄い大気がありますが、このような超高温では、気体が電子とイオンに電離したプラズマ状態になっており、太陽の重力でも、このコロナガスを繋ぎ止めることができないので、陽子や電子が放出されるようです。

こうして電気を帯びた粒子(プラズマ)が放出されたものが太陽風と呼ばれるものになります。

太陽風は、彗星の「プラズマの尾」が常に太陽と反対方向に伸びていることから、ドイツのビアマンという科学者が太陽から吹くプラズマの風の存在を予言していたようですが、1962年にNASA(アメリカ航空宇宙局)の金星探査機「マリナー2号」によって実際に発見されることになりました。

毎秒100万トンもの質量が太陽から放射されているといいますが、この太陽風が地球の公転軌道に達するときの速さは約300~900 km/s、平均約450 km/sであり、温度は106 Kに達することもあり、地球磁場に影響を与え、オーロラ発生の原因の一つとなっているようです。

太陽風のプラズマの密度は、地球の近くでは普段1立方センチメートル当たり数個程度で、非常に希薄だといいますが、それに対して速度は、秒速で300~900キロメートル程度と速く、超音速の流れになっていて、太陽から地球まで2~5日で到達することができるそうです。

秒速500キロメートルを超える速さの太陽風は「高速太陽風」と呼ばれており、コロナホールや太陽フレアに伴って放出されていると考えられています。

 

「高速太陽風」はコロナホールや太陽フレアに伴って放出される

太陽風の密度、速度、磁場の強さは、太陽活動の状態によって変化をしますが、だいたい地球から見た太陽の自転周期(27.3日)ごとに同じようなタイミングで「高速太陽風」が1~数回程度吹いてくることが知られています。

この性質が明らかになった頃、「高速太陽風」が太陽面のどういった領域から吹いてくるのかについて、研究者たちが色々と調べた結果、コロナホールから吹き出していることが突き止められたようです。

宇宙空間から軟X線を使って太陽コロナを観測できるようになってから、コロナホールが発見され、そして、コロナホールから「高速太陽風」が吹き出していることが分かったということなのです。

コロナホールが太陽面の中低緯度まで広がっている時、地球に向かって「高速太陽風」が吹いてくるといいます。

また、この他にも、太陽フレアやコロナ質量放出(CME)に伴って、突発的に「高速太陽風」が吹き出すこともあるといいます。

コロナ質量放出(CME)とは、太陽活動に伴い、太陽から惑星間空間内へ突発的にプラズマの塊が放出される現象であり、宇宙飛行士や飛行機パイロットの人体に与える影響も大きいと言われています。

また、太陽フレアとは、太陽で発生している爆発現象のことであり、太陽系で最大の爆発現象で、しばしば観測されています。

例えば、2003年の10月から11月にかけての太陽フレアに伴うコロナ質量放出(CME)の到来の際には、速度が秒速1200キロメートル以上、密度が1立方センチメートルあたり20個以上、磁場の強さが40nT(ナノテスラ)以上の太陽風が地球の近くで観測されたといいます。

 

太陽風は太陽圏(ヘリオスフェア)の宇宙空間にまで広がっている

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太陽から吹き出した太陽風は、太陽系の中を海王星の軌道を越えてさらに外側まで広がっていきますが、いったいどこまで広がっていくのでしょうか?

太陽風は、太陽圏と宇宙圏との境部分にある、太陽系の外縁から内部周辺環境にあるヘリオスフェアと呼ばれるあたりまで広がっているようです。

太陽系の外側には星間空間起源のガスや磁場が存在していて、その中を太陽を含む太陽系の天体は動いているといいます。

そして、太陽から遠く離れた太陽風は、この星間空間ガスの流れの影響を受けて減速し、速度が音速以下に下がるところで衝撃波(終端衝撃波)を形成します。

太陽風はそれより更に外側にまで広がっていきますが、ついには星間空間のガスや磁場に遮られてしまうことになります。

その境界より内側の領域が、ヘリオスフェア(太陽圏)と呼ばれる領域になります。

太陽から太陽圏(ヘリオスフェア)の境界までの距離は、星間空間のガスの濃さや磁場の強さなどの状態によって変わるものの、だいたい太陽から地球までの距離の約50~160倍程度だと考えられているようです。

太陽から地球までの距離の約1億5000万キロメートルのことを1天文単位と呼びますから、太陽から太陽圏(ヘリオスフェア)の境界までの距離は、約50~160天文単位ということになります。

実際に、NASA(アメリカ航空宇宙局)の探査衛星「ボイジャー1号」が2004年12月16日に94天文単位で、終端衝撃波を通過したとされています。

これは、太陽から海王星までの距離の約3倍の所だといいます。

ちなみに、太陽系は太陽圏(ヘリオスフェア)の境界まででおしまいという訳ではなく、この外側にも太陽系外縁天体であるセドナ(近日点距離76天文単位、遠日点距離893天文単位)があります。

さらには、長周期彗星の起源とされている「オールトの雲」は、さらに遠方(1万~10万天文単位)に存在していると考えられており、「オールトの雲」は太陽系外縁天体とも考えられていますので、太陽系はとても広大だということが言えます。

 

太陽風は強大なエネルギーを持つ銀河宇宙線から地球の生命を守っている

太陽風と同様の現象はほとんどの恒星に見られるとのことであり、「恒星風」と呼ばれるそうです。

なお、太陽系外からの銀河宇宙放射線の流入量は、太陽風を伴う太陽活動と相関があり、太陽活動極大期に銀河宇宙線量は最小になり、太陽活動極小期に銀河宇宙線量は最大になるようですが、これは、太陽風が、太陽系外から流入する銀河宇宙線をブロックするためと考えられているようです。

銀河宇宙線のエネルギーは強大であり、ほぼ真空の宇宙空間を飛翔する岩石結晶には、銀河宇宙線による細かい傷が見られるといいます。

もし、それほど強大なエネルギーを持つ銀河宇宙線が生物の細胞に直接当たれば、細胞はひとたまりもなく破壊されてしまいます。

実は、一般的にはあまり知られていませんが、太陽風がこうした強大なエネルギーを持つ銀河宇宙線から、地球の生命を守っているのだといいます。

実際、NASAの探査機「ボイジャー」においては、太陽系を離れるにつれて、次第に強い銀河宇宙線が検出されているようです。

太陽に接近して尾ができた彗星において、尾が常に太陽と反対方向に延びるのも、彗星表面から蒸発した物質が太陽風によって吹き流されるのがその一因だとされています。

また、太陽風には太陽内の水素・ヘリウムおよびそれらの同位体が含まれており、月などの大気のない天体表面にはそれらが堆積しているといいます。

特に核融合燃料として有望なヘリウム3が月面に豊富に堆積していることが確認されており、その利用が月開発の目標の一つとなっているそうです。

 

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