[記事公開日]2015/12/14
[最終更新日]2016/04/09

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)と光子ロケットは夢の恒星間旅行船

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)と光子ロケットは夢の宇宙旅行船

古代エジプトでは、太陽神ラーが「太陽の船」に乗って、昼には天空を東から西に、夜には東に戻って、毎日地上を照らしてくれているとされていたようで、夢とロマンが感じられる話ではありますが、未来においては、私たちが、太陽の光を風のように帆いっぱいに受けて、太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)によって、宇宙を旅行する時代も来るかも知れません。

さらには、物質と反物質の対消滅反応で光を積極的に生み出し、その圧力で推進する光子ロケットという計画もあるそうです。

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)と、光子ロケットとは、それそれどのようなものなのかを見てみたいと思います。

 

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)とは

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)とは、太陽などからの光の圧力を帆で受けて航行する宇宙船のことです。

太陽からは光(光子)と高エネルギー粒子(太陽風)とが放出されていますが、太陽風は希薄であり、推進力としては微小です。

そこで、光の圧力を使って、宇宙帆船を推進しようとするものであり、太陽帆(ソーラーセイル、ソーラー帆)と呼ばれる帆が使用されることになります。

太陽帆(ソーラーセイル、ソーラー帆)とは、薄膜鏡を巨大な帆として、太陽などの恒星から発せられる光やイオンなどを反射することで宇宙船の推力に変える器具のことになります。

これを主な推進装置として用いる宇宙機は、太陽光帆船、ソーラーセイル、宇宙ヨットなどと呼ばれています。

ピンと張り詰めた帆に光が当たれば、わずかながら力を及ぼすことができ、宇宙空間で船を進めることができますが、その場合、巨大でしかも超軽量にすべき帆をどのような材質で作るかが課題となるようです。

当初はアルミニウムが用いられていましたが、現在、炭素繊維やポリミドフィルムでの帆の試作が続けられているようです。

走行の方向はヨットと同じように、帆の向きで制御することになりますが、地上のヨットと異なり、流体力学的な揚力を期待することはできないと言います。

また、化学ロケットや電気推進と比べて発生する推力は小さいものの、燃料を浪費せずに加速が得られるという利点があります。

推進剤が不要なので、惑星探査などでの能力の発揮が期待されており、実用化すれば、惑星間などの超長距離の移動が容易になるようです。

また、将来的な構想として、地球や宇宙ステーションから発射された強力なレーザー光を帆に当てて、推進力として利用する方式も考案されているとのことです。

 

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)の歴史

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)の最初のアイデアは、17世紀にドイツの天文学者のヨハネス・ケプラーーにより、もたらされたともいわれています。

そして、1873年にジェームズ・クラーク・マックスウェルが放射圧の仮説を発表し、1899年にピョートル・レベーデフが光が鏡に当たり反射すると鏡に圧力が加わることを実験により証明したことにより、実現性がでてきたとのことです。

そして、これを惑星間移動の宇宙船の推力に使用するというアイデアが発表されたのは、1919年のことであり、ロシアの科学者のコンスタンティン・ツィオルコフスキーやフリードリッヒ・ツァインダーらによるものであり、1924年には、より具体的な太陽帆の理論が発表されたとのことです。

また、イギリスの物理学者ジョン・D・バナールは、1929年に発表した著作『宇宙・肉体・悪魔』において、太陽光の光圧を帆で受けて宇宙へと旅立つ宇宙帆船を構想しています。

20世紀初頭の起想より、長らく「SFに描かれる未来の技術」という存在であった太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)ですが、2010年7月9日、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」において、史上初の太陽帆航行が確認されました!

 

JAXAが打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」とは

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「イカロス」とは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機になります。

名称は「太陽放射で加速する惑星間凧宇宙船」を意味する英語の「interplanetary kite-craft accelerated by radiation of the Sun」にちなむものであり、ギリシャ神話の登場人物の一人「イカロス」にちなんでつけられたそうです。

金星探査機「あかつき」と共に、2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。

計画では「イカロス」の帆は一辺約14mの正方形で、厚さ7.5μmのポリイミド樹脂膜にアルミを蒸着したものだったようです。

そして、約200m2の10%に薄膜太陽電池が貼られていました。

直径1.6m、長さ1m、重さ300kgの本体を中心にX字形に畳んでおき、打ち上げ後、船体を一時的に高速回転させ、帆を遠心力で展開させ、その後ゆっくり回転させて帆の形を維持させるというものだったそうです。

「イカロス」は、6月3日からセイルの展開を開始し、6月10日に地球からの距離約770万kmにて、セイルの展張、及びセイルに配置されている薄膜太陽電池からの発電を確認したとのことです。

7月初頭からは光子加速実証フェーズへと移行し、7月9日にはついに、太陽光(太陽風ではない)による光子加速の実証が確認されたとのことです。

2010年7月9日、太陽光(太陽風ではない)による光子加速の実証が「イカロス」により確認された訳ですが、これは、史上初の太陽帆航行になります!

2010年12月8日には、「イカロス」は金星から80800kmの地点を通過し、金星スイングバイを成功させました。

「イカロス」は、ソーラーセイルによる光子加速を実証し、ソーラーセイルで他の惑星まで飛行しましたが、これらはいずれも世界初になります。

「イカロス」は、当初予定していたミッションはすべて完了したとのことであり、「イカロス」の成功によって、日本の科学技術力の高さが証明された形になりました。

太陽光帆船(ソーラーセイル、宇宙ヨット)は、日本の高い科学技術力により、JAXAが打ち上げた「イカロス」によって実現しましたが、光子ロケットとなると、さらに実現が難しくなるようです。

物質と反物質の対消滅反応で光を積極的に生み出し、その圧力で推進する光子ロケット計画というものがあるようです。

 

物質と反物質の対消滅エネルギーを利用する光子ロケットとは

光子ロケット計画とは、物質と反物質の対消滅反応で光を積極的に生み出し、その圧力で推進する光子ロケットを実現させようとする計画になります。

物質の静止質量エネルギーのほぼ100%の割合で光子(ガンマ線)を生成して、それをロケットの鏡に反射させ、その反作用でロケット推進を行おうとする計画のようです。

光子ロケットは、物質と反物質を反応させ、光に変えて、それを噴射して進みます。

対消滅反応とは、粒子と反粒子が衝突し、光子2個に変換される反応のことであり、その逆の過程は対生成と呼ばれるそうです。

例えば、粒子、反粒子、それぞれ1gずつ、合計2gの粒子、反粒子を消滅させると、約180兆ジュールのエネルギーが放出されますが、これは、広島型原爆の2.4倍ものエネルギーに相当すると言います。

光子ロケットは、この物質と反物質の対消滅反応によるエネルギーでロケット推進するというものになります。

光子ロケットは、1935年にドイツのゼンガーによって提案されたシステムであり、SF(科学小説)にもよく登場するようです。

光子ロケットは、化学ロケットや原子力・核融合ロケットに比して燃料効率の良い夢のロケットと呼べるものです。

ただ、光子を完全に100%反射させる反射鏡の開発や、強い光を発する発光体を作るための対消滅反応の生成・制御技術の開発など、技術的にはむずかしい問題が多く、実現の可能性は、今のところはきわめて低いとされています。

しかし、将来において、日本の高い科学技術により、この光子ロケットが実現する日が来ることを期待したいと思います。

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