[記事公開日]2016/04/02
[最終更新日]2016/04/05

太陽熱発電は光を集めて熱エネルギーに変換する高効率なシステムだがメリットと問題点がある

アメリカのモハベ砂漠に設置されたサンディア・スターリングエネルギーシステム社のSolar Stirling engines。1基あたり150kwの発電能力を持つ。

太陽熱は様々に利用されている

太古の昔から、暗闇と寒さから人類を守るために、太陽の光と熱はなくてはならないエネルギーでした。

そして、太陽熱の利用は、今日でも、給湯、冷暖房、発電、そして海水淡水化など、身近なところに様々に使われています。

太陽放射のエネルギー分布は、0.3~2ミクロンの波長領域にあり、可視光領域に集中しているようです。

大気中の水素や炭酸ガスによる吸収で、地表では1平方メートルあたり1キロワットとなりますが、熱の利用には主に赤外線領域の光が利用されています。

そして、太陽エネルギーの利用は、まず第一に給湯や冷暖房へ利用されています。

集熱器で水などの熱媒を暖めて蓄熱槽に熱エネルギーを蓄えます。

一般家庭用にはやや低温の50~60℃が経済的であり、補助的なボイラーを介して、浴室や洗面所、台所へ温湯を送ります。

また、太陽熱は冷房用としても利用されており、特に真夏の午後の電力のピーク時には太陽照度も高く効果的だと言います。

熱駆動の冷凍機を用いて冷房が行われますが、この場合には、やや高温(~90℃)の熱湯が必要となります。

太陽熱を利用する方法としては、太陽熱発電システム、太陽冷房システム、太陽暖房給湯システム、太陽熱電子発電システムなどがあるようです。

太陽エネルギーを吸収させて熱に変えるという点では同じであり、太陽熱コレクタに太陽光を集光して、熱源として利用する仕組みになります。

太陽熱を利用する方法としての太陽熱発電システムは、近年、日本でも改めて注目されてきているようです。

 

太陽熱発電とは太陽光を太陽炉で集光して熱源として利用する方法

太陽熱発電とは、太陽光をレンズや反射鏡を用いた太陽炉で集光し、その熱で水を蒸発させることで蒸気タービンを回転させて、汽力発電やスターリングエンジンの熱源として利用する発電方法です。

発電の原理は古典的な火力発電や原子力発電と同じものだと言いますが、熱の発生に燃料の燃焼ではなく太陽熱を利用することになります。

太陽光をエネルギー源として利用するため、今後数十億年に渡り資源の枯渇のおそれがない、再生可能エネルギー利用の発電方法となります。

太陽光をエネルギー源として利用する再生可能エネルギーとしては、他にも太陽光発電がありますが、太陽熱発電は太陽光発電よりも導入費用が安いほか、蓄熱により24時間の発電が可能になります。

また、燃料を用いないため二酸化炭素などの温室効果ガスを排出することがなく、燃料費が不要であるため運転にかかる費用を低く抑えられ、有毒ガスの発生や燃料費高騰によるコスト上昇のリスクもないと言います。

太陽熱発電は、燃料を用いないため燃料費がかからないほか、二酸化炭素を排出しないので、エコでクリーンな発電方法のようです。

太陽光を得られない夜間には溶解塩等を用いた蓄熱による熱を利用するほかに、燃料を燃焼させて発電するハイブリッド方式とすることも可能だと言います。

そして、太陽熱発電には、大きく分けると、集中タワー型、分散型、スターリング型の3つのタイプがあります。

 

太陽熱発電は、集中タワー型、分散型、スターリング型の3つのタイプ

太陽エネルギーを、太陽熱として利用して発電する場合は、集熱器に太陽光を集め、熱エネルギーを蓄熱装置に貯蔵し、蒸気を利用してタービンを回して発電します。

そして、太陽エネルギーを集光・集熱する方法として、タワーを用いた高効率集中型のタワー式太陽熱発電、円筒鏡を用いた商業実績の高い分散型のトラフ式太陽熱発電、高効率のスターリングエンジンで発電を行う小規模システムのディッシュ(皿)型の3つのタイプがあるようです。

★タワーを用いた高効率集中型のタワー式太陽熱発電

タワー式太陽熱発電とは、平面鏡を用いて、中央部に設置されたタワーにある集熱器に太陽光を集中させることで集光し、その熱で発電する発電方式であり、中央タワー方式、集中方式などとも呼ばれます。

数メートル四方の鏡、数百枚から数千枚を用いて集められた太陽光を一箇所に集中させることが出来るため、1000℃程度まで加熱することも可能である一方、正確に太陽光を集中させるためには、太陽の動きに合わせて鏡を正確に動かさなければならないと言います。

また、より多くの太陽光を集めるためには、タワーや鏡の設置場所を高くすることが必要となり、設備費も高くなるようです。

★円筒鏡を用いた分散型であるトラフ式太陽熱発電

トラフ式太陽熱発電(雨樋型)とは、円筒鏡(曲面鏡)を用いて、鏡の前に設置されたパイプに太陽光を集中させ、パイプ内を流れる液体(オイルなど)を加熱し、その熱で発電する発電方式であり、パラボリック・トラフ方式、分散方式などとも呼ばれます。

タワー式太陽光発電と比較すると、高温の液体が移動する距離が長くなるため熱損失が大きくなりがちですが、タワーの一点に光を集中させる必要が無く、鏡を単純に並べることが出来るため大規模な施設の建設が容易だと言います。

各円筒鏡(曲面鏡)において線状に集光し、パイプを流れる液体で集めた熱エネルギーを運搬するという形をとるので、温度は400℃程度となり、そのためより低い温度でも効率的に発電できるタービンの開発なども求められているようです。
 
★ 高効率のスターリングエンジンで発電を行う小規模システムのディッシュ式太陽熱発電

ディッシュ式太陽熱発電(皿型)とは、放物曲面状の鏡を用いて、鏡の前に設置されたスターリングエンジンなどに太陽光を集中させ、発電する発電方式になります。

パラボラアンテナと同様の形状であり、ディッシュ/スターリング方式などとも呼ばれます。

タワー式太陽熱発電やトラフ式太陽熱発電に比べると、単体で機能する小規模システムとなります。

このため、移動用の発電装置や送電が商業的に困難な離島や山間部といった地域での電力供給方法としても期待されているようです。

ただ、導入コストは高くなりますが、高いエネルギー効率が期待できると言います。

2008年にアメリカのサンディア・スターリングエネルギーシステム社は総合発電効率31.25%を達成したと発表しましたが、理論上はさらに高い発電効率も期待でき、現在開発が進められているようです。

一方、日本においては、太陽熱発電は日本に適さないとしてあまり注目されてきませんでしたが、近年、また注目の兆しが見えてきたようです。

 

日本における太陽熱発電の課題は、日射量豊富な地点の選択と建設費の削減

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太陽熱発電は、太陽光発電に比べて高コストな太陽電池を使う必要がなく、また、二酸化炭素も発生しないので、エコでクリーンな発電システムと言えるようです。

蓄熱で夜間でも稼働できる上、発電以外にも熱自体を利用することもでき、火力発電との共用も可能だと言いますから、種々の利点があり、太陽エネルギーを利用するにもかかわらず、再生可能エネルギー特有の欠点をある程度克服することが可能だとされています。

ただ、太陽熱発電の弱点もあります。

☆太陽熱発電の弱点

* 夜間でも稼働できる反面、昼間の曇天や雨天には効率が悪くなる。

* 夏至と冬至の昼間の差が大きい高緯度地域には向かないため、低緯度の乾燥地域が望まれる。

* 太陽光発電と異なりスケールメリットが効くため、施設を大規模にすることが望ましい。

上記のような理由により、太陽熱発電に対する注目は、砂漠を持ち広大な面積を有する国で高く、陸地が限られている日本にはあまり適さない発電方式とされてきたようです。

香川県三豊郡仁尾町(現・三豊市)では、タワー型太陽熱発電の開発が進められ、1981年8月6日に、世界で初めて太陽熱による千キロワットの発電に成功しました。

しかし、日本では散乱光が多く日射量が少なすぎて実用化はできず、実験は1985年に中止されました。

1981年に香川県三豊郡仁尾町(現・三豊市)で実験が行われて以来、日本では30年ほど大規模太陽熱発電の実験は実施されていませんでした。

ただ、近年では太陽光発電によるメガワット級のソーラー発電所の導入推進が見込まれる中で、規模的には類似しており、なおかつ発電効率・発電コストの点で同等以上の可能性を持つ太陽熱発電の事業性について、改めて検討する動きが出てきているようです。

2010年には東京工業大学玉浦裕教授の研究チームが山梨県に実験設備を建設する計画を発表しましたが、1981年の香川県での実験以来、日本では30年ぶりとなります。

今後、エコでクリーンな太陽熱発電のシステムが、日本でもっと研究されて、実用化につながるかも知れません。

 

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