[記事公開日]2016/04/11

月の誕生・起源としての巨大衝突説が正しければ地球進化の謎を解明する鍵となる

       ジャイアント・インパクトの想像画(NASA作成)

地球と月の関係が分かれば、地球誕生直後の情報が入手できる

私たちが住む地球と、その衛星である月は、ともに45億年ほど前に誕生したと考えられています。

『月は1ヶ月で作られたというスーパーコンピューターによるシュミレーションがある』、こちらの記事の中でも書きましたが、スーパーコンピューターが計算したシュミレーションによると、約45億年前に、出来たばかりの地球に火星サイズ(地球質量の1/10程度)の天体が斜めに衝突してから、わずか1ヶ月後に現在の月とほぼ同じ大きさの月ができたと考えられています。

約45億年ほど前、出来たばかりの地球に火星サイズ(地球質量の1/10程度)の天体が斜めに衝突して、これが月の起源となったとする説は、「ジャイアント・インパクト(巨大衝突)説」と呼ばれ、1970年代半ばにアリゾナ大学のハートマンらによって提唱されました。

火星サイズ(地球質量の1/10程度)の天体が斜めに地球に衝突すると、たくさんの溶けた状態の破片が飛び散るだけではなく、衝突の加熱によって蒸発したガスも地球の周りを回るようになります。

溶けた破片やガスがやがて冷え固まり、固体粒子となって円盤状に地球の周りを回るようになるのですが、この固体粒子が互いに衝突合体して月になったと考えられています。

そして、東京工業大学の研究グループが行った、スーパーコンピューターによるシュミレーションでの計算によると、何と、地球に衝突してからわずか1ヶ月後に現在とほぼ同じ大きさの月になったということのようです。

つまり、月はたった1ヶ月でできたということになります。

地球誕生直後に月がわずか1ヶ月で形成されたということのようです。

そして、地球上には40億年以上前の岩石がごくわずかしかなく、そのため、地球誕生から数億年間の情報は、ほとんど存在しないのだと言います。

その一方で、月は40億年以上前の情報を保ちながら地球の周囲を回る唯一の衛星です。

地球が誕生したのは、同じ頃形成された月の岩石や隕石の年代測定から45億年前と言われています。

ですから、その当時の地球と月との関係が分かれば、40億年より前の地球についての失われた多くの情報が得られるとも考えられています。

現在の地球は、核やマントル、地殻、大気、海洋、磁気圏など、それぞれの層が積み重なった構造をしています。

たくさんの微惑星が寄り集まって地球が誕生した時に解放された熱エネルギーにより、このような層構造がわずか数億年の間に形成されたと考えられています。

そして、地球誕生直後から数億年後の間の、失われた情報を入手するためには、地球と月との関係が分かれば、謎の解明ができるかも知れないということになります。

 

「プレートテクトニクス理論」とは

地球の表層は、十数枚の「プレート」で覆われていることが知られています。

「プレート」とは、厚さ100キロほどの板状の固い岩石のことになります。

そして、1960~70年代には、地球表層の数百キロで起きる地学現象を統一的に説明する理論として、「プレートテクトニクス理論」というものが登場しました。

「プレートテクトニクス理論」は、「プレート」理論ともいい、地球の表面が、十数枚の固い岩盤(「プレート」と呼ぶ)で構成されており、この「プレート」が、海溝に沈み込むことが重みが移動する主な力になり、対流するマントルに乗って互いに動いていると説明するものになります。

そして、「プレート」が移動し、互いに衝突したり遠ざかったりすることが、山脈や海溝などの地形や火山活動、地震などを生じさせていると考えます。

「プレート」には、太平洋プレートのように海の底にある海洋プレートと、陸地を覆う大陸プレートがありますが、それぞれの運動サイクルは違います。

海洋プレートは、約2億年のサイクルで生成と消滅を繰り返し、一方、大陸プレートは、生成してからずっと表層を漂うようです。

こうした「プレート」の運動サイクルは、約40億年前までさかのぼると言いますから、地球の歴史の大部分を占めてきたと考えられています。

そして、それ以前の情報を得るためには、やはり、地球と月との関係を知ることが大切となるようです。

 

「プルーム・テクトニクス理論」とは

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1980年代に入ると、「プレート」より深いところにあるマントルの構造に注目が集まり、「プルーム・テクトニクス理論」というものが1990年代以降の地球物理学の新しい学説として登場することになります。

「プルーム」とは、マントル内の大規模な対流運動のことであり、この変動を検討するために、「プルーム・テクトニクス理論」と命名されています。

「プレート・テクトニクス理論」が地球の表面に存在する「プレート」(厚さ約100km)の変動(テクトニクス)を扱うのに対し、「プルーム・テクトニクス理論」では深さ2900kmに達するマントル全体の動きを検討するものになります。

マントルの構造や対流運動を解明することは、表層の「プレート」が何によって動いているのかを明らかにすることにつながります。

マントルは約80%と、地球内部で最も大きな体積を占めていますので、巨大な「プルーム」の活動が、地球全体に与える影響は計り知れません。

マントルを知ること、巨大な「プルーム」の活動を知ることは、45億年の地球の進化を知るためにも大切になりますが、地球と月の関係が分かれば、そのあたりのことも解明されていくのかも知れません。

 

月の誕生・起源としての「ジャイアントインパクト説(巨大衝突説)」は地球進化の謎を解く鍵

『月の誕生・起源としてジャイアント・インパクト説が有力だが宇宙人が創造したUFOという説も』、こちらの記事の中でも書きましたが、月の誕生にまつわる仮説として、「ジャイアント・インパクト説(衝突起源説・巨大衝突説)」、「捕獲説」、「親子説」、「双子説」の4つの仮説がありますが、この中では「ジャイアント・インパクト説(衝突起源説・巨大衝突説)」が最も有力とされています。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機「ルナープロスペクター」による重力場の観測では、鉄を主成分とする月の核の大きさは全質量の約2%と小さいものでした。

一方、地球の核は、全質量の約30%を占めています。

月の核が小さいという事実は、「巨大衝突」によって飛び出した岩石質のマントルから月の大部分ができたとする「ジャイアント・インパクト説(巨大衝突説)」を裏付けるものだと言います。

もしそうだとするならば、月の誕生・起源そのものが、地球の進化と関係しているということになります。

誕生直後の地球に火星サイズ(地球質量の1/10程度)の天体が斜めに衝突して月ができたのだとすれば、この時の「巨大衝突」で地球のマントル物質の一部は蒸発し、ドロドロに溶けたマグマの海が地球全体に及んだものと考えられます。

もしその当時既に大気や海洋が地球を覆っていたとすれば、それらは完全に蒸発してしまったと考えられますが、大気と海洋の形成は生物が存在するための必要条件です。

誕生直後の地球を襲った「巨大衝突」は、その後の環境と生命の進化に重大な影響を与えた筈ですので、月をさらに詳しく探査して、40億年より前の地球の失われた情報を入手する必要があります。

月をさらに詳しく探査していくと共に、地球深部の構造を調べたりしていくことで、地球の起源と進化の謎を解く鍵が得られるかも知れません。

 

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10 Responses to “月の誕生・起源としての巨大衝突説が正しければ地球進化の謎を解明する鍵となる”

  1. 星野 illudion より:

    新仮説「マルチインパクト仮説」が日本地球惑星科学連合大会で発表されています,それは月の起源や,月の軌道(60・Re,Re=6400km地球半径)のエネルギーの理論計算が可能です.,
    そして,月形成時期は約40億年前です.更に,小惑星帯と分化した隕石の起源や,プレートテクトニクスの境界(マントル衝突亀裂)の起源と駆動力,環太平洋弧状列島と海盆凹プレートの起源,更には凹プレートの下に凸海洋プレートが潜り込むメカニズム,ウェゲナー氏が指摘していた高度二山頻度曲線の謎の解明,深海洋底:-5kmが地球表面積の70%のピーリンク(剥離)の起源等,月の隕石重爆撃期(約40億年前)の起源,月の表裏半球の質の違いの謎の解明,木星大赤斑の起源,分化した原始惑星CERRAの木星摂動による潮汐断裂と地球へのマントル断裂片の複数の順次衝突による生物種大絶滅の起源,水星のコア割合の多い謎の解明,冥王星の軌道傾角と密度の理由など統一的に解明されています.この新仮説の評価を皆さんで行なって下さい. 月形成を偶然に頼るジャイアントインパクト仮説と,必然のメカニズムとしてアブダクションで説明するマルチインパクト仮説では,どちらが説得力があるのでしょうか?
     2016 5/22~5/26で幕張メッセで追加の発表5件を予定しています. ご自分の考えで評価して下さい.

    • kamusabia88 より:

      星野 illudion さんへ

      情報ありがとうございます。

      マルチインパクト仮説、面白そうですね。

  2. 星野 illudion より:

    二年前から順次提案されていますが,小惑星セラ位置に形成された分化した原始惑星CERRA(火星サイズと想定)が,木星近点側に275年の会合周期の度に約六億年間かけて軌道エネルギー(長半径)一定のままで偏平化し,木星衝突する直前に太陽と木星の引力により引っ張り断裂して,シューメーカーレビ第九彗星の様にトレーン軌道となり,地球軌道と交差する地点で,マントル断裂片が地球と衝突した.その時の相対速度は12.3km/sと第二次宇宙速度より若干早いが,反発係数を考慮すると月軌道エネルギーは現在の月の距離とほぼ一致する、衝突角度は36.4度の必然衝突であり,フィーデングゾーンも火星から木星の範囲として納得できる.地球が冷えており,ニュートンの揺り篭の様に地球マントルが射出された.マントルも亀裂が入り,割れ部分は減圧溶融して,偏芯慣性モーメントのアンバランスを最少にするトルクが駆動力と成り,凹プレートの下に凸プレートが押されて潜り込む.同じ密度のプレートが相互に重なるメカニズムはプレートテクトニクスでは説明されていない.何故環太平洋孤状列島が形成されたかの理由が示されていなかった.テーチス海も衝突起源(ジャワ島海盆やヒマラヤ山脈etc)と推定されています.

  3. 星野 illudion より:

    原始惑星セラが複数のマントル片に分裂して,シューメーカーレビ第九水星の様に同一軌道を巡って,地球と数億年間隔で順次衝突し,生物種大絶滅が起きた.最初のマントル断裂片の衝突で月と太平洋のマントル欠損が生じて,アイソスタシーで一定の深さ約5kmの深海洋底が形成された.更に複数の衝突でも5kmの深海洋底が追加されて海の面積が広がった.高緯度に有るドレイク海峡への衝突は地球回転軸の公転面から傾けて,其れによりプレート移動方向も変わり,天王介山列とハワイ諸島へ向かう屈曲が形成された.プレートの屈曲は熱対流仮説での駆動力の説明の困難を,マルチインパクト仮説(MIH)では明快にに解決できる. 月の軌道も,現在の月(60・Re)を実現できるMIHと,3・Reの位置にしかできないジャイアントインパクト仮説(GIH)とを比べた時に, あなたはどちらを信じますか?

  4. 星野 illudion より:

    発表が終わりました. 口答発表は参加者が地質や考古学者(HOW)の分野の専門家なので,プレートテクトニクスの起源(WHY)の発表では質問もでませんでした。 この現実は非常に悲しい.
    てもポスター発表では,平均して拾数人の人に説明できて数人を除いて理解や賛同を得ました. 高校生の二人連れは素直に理解してくれて,これは仮説だから自分の頭で考えて証明できるように勉強してほしてと云ってしまいました.先生や一般の人にもすこぶる好評で,他の友人の先生を連れてきて,日本でもこんな発想する人が居たと云ってくれた地震関係の大家(引退しているので)がおられました.今の学者は専門に籠りすぎてオーラルな科学者が少ないと云ってました. ウェゲナーの深海洋底の縮題の件は,面白がられて,ウェゲナー100周年のコラムに,100年前にも専門バカの事を嘆いていたが現代も同じですと云ってくれました. 特に月の起源,深海洋底の起源,プレートテクトニクスの起源,駆動力の新提案,小惑星帯と分化した隕石の起源,凹の下に凸地のブレートが潜り込む仮説,キンバーライトパイプの起源(反対側へのマントル片衝突仮説),高緯度への衝突による地軸の傾きと移動方向の変更等 統一的に起源や謎の解明ができる仮説メカニズムが良いと云っていただきました. とても嬉しかったです.

  5. 星野 illudion より:

    大学生や院生等は概ね理解して頂けましたが,二人連れの二グループは反論(ジャイアントインパクト仮説の養護?)してくる人がいました. 根拠は広く知られていて複数の論文が引用されていて信頼性が高い.これでは先行引用文献も述べられていないし,仮説だけだし実験もしていないので根拠に乏しい. 別の人はあなたは断定しすぎる.(内容への指摘でない)だから信じれないとのことです. 内容がおかしい(物理法則に有ってない,自己矛盾している等)してきでなく,方法論の違いや自分の知識と違うからという理由には一寸残念でした.実験できない一回しか起きない起源を探究するので仮説で現状を説明しようとしているのに,仮説がおかしいならもっと良い仮説を考えてこちらの方が良いというプラス思考の意見なら大歓迎ですが. 相手のお名前を呼んであなたのアイデアは何ですかと聴くと答えられずに時間が無くなってしまいました. 一日ズット此処に居ますので時間を作ってきてお話しましようと云ってしまいました.一人で自説を述べられずに受け売りで知っている事に価値を求めている,知識崇拝が他の人の様ですが,研究者の卵らしいがコピペ+銅鉄主義の研究者の増産が心配です.殆どの人が右を向いてる時でも左が正しいと思ったら左に走れる探究者が一人でもほしいと思う.(年寄りのボヤキです.)ドンキホーテみたいな新仮説で左に走っているつもりの息切れかな? 

  6. 星野 illudion より:

    先生(退官した地震学の大家)へ巨大衝突仮説の説明をキャメロンとベンツの英語論文を見せながら説明しました.そこで41例の衝突条件の衝突相対速度(0km/s[13例]~7km/s[12例] ) ですが,チャンピオンデーターはDE11の0km/s定常であり,次の例はDE13の0km/s非定常です.これは衝突というより合体です. つまり衝突の計算しているが,月が出来るには速度ゼロの合体でしかない.しかも月が射出されるという不合理な計算です.スーパーコンピューターで計算しても,衝突が殆ど起きなければ意味がなく,物性値が正しく入力されていないと正しくありません.マントルの反発係数や破壊強度,更に温度条件やコアの割合やコア強度など物性値も議論される必要があります.合体条件で月が射出されるという不合理は特に矛盾です.完全合体なら射出されません.反発係数が0~1でも同じ?
    計算では地球もインパクターも球体2593(鉄と岩)と415個(鉄と岩)で近似しています.月は37個の岩です. 先生も元の論文を読まないと衝突と思っていたが合体条件なら変ですネ.(笑い)
     ということで,巨大合体仮説と呼ぶべきでした.
    論文のタイトルは「The Origin of the Moon and the Single Impact Hypothesis IV」 Cameron and Benz (1991)」

  7. 星野 illudion より:

    地球の表面積の七割を占める海の深さは約5kmですが,地球半径6400kmに対するピーリングのメカニズムは「マルチインパクト仮説」での複数マントル断裂片の地球衝突によるマントル欠損とアイソスタシーによる平衡5km深さの形成による起源であり,他の提案は述べられていない.
     この地球高度の二山ピークの問題は100年前のウェゲナー氏が指摘しており,しかし誰もこの問題への答えを示していなかった.

  8. 星野 illudion より:

    Multi-Impact Hypothesis では,セレス位置に形成された火星サイズの原始惑星CERRAが,太陽系最大の惑星,木星の近点側に摂動により楕円
    軌道が偏平化し,太陽と木星の引力により断裂
    いた複数マントル断裂片の地球への時間差衝突
    が,生物種大絶滅の起源であり,月射出と太平洋
    位置でのマントル欠損と,周囲のプレート亀裂と,
    アイソスタシーによるプレート陥没と凹海盆と環太
    平洋弧状列島の形成と,マントル亀裂がプレート
    境界の起源も示せた.

  9. 星野 illudion より:

    Multi-Impact HypothesisとGiant-Impact Hypothesis との比較や,小惑星帯の起源や地球深海洋底の起源を文章で説明しても,相当の知識と興味が無いと理解が不可能だと思います.
     でも,図と説明が併記されていれば,正しいかどうかは別としても云おうとしている事は一目了然となるでしょう.下記の知恵ノートには図と説明があります. G.I.H.でのベスト条件での衝突(合体)速度は0.0km/sなそうです. (キャメロン氏)
    異議のある方もコメントして下さい.
    >>http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n386443
    >>http://m.chiebukuro.yahoo.co.jp/note/n387108

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