[記事公開日]2015/12/05
[最終更新日]2016/04/09

宇宙の暗黒時代はビッグバンから38万年後の晴れ上がりから10億年続いた謎の時代

「宇宙の暗黒時代」とは何か

「宇宙の暗黒時代」と呼ばれる時代があります。

今から約138億年前、宇宙誕生時に起きたとされるビッグバンから約38万年後に、「宇宙の晴れ上がり」を迎えましたが、そこから約10億年くらいが「宇宙の暗黒時代」と呼ばれています。

「宇宙の暗黒時代」は、観測ができない謎の時代とされているようです。

では、「宇宙の暗黒時代」の始まりにあった「宇宙の晴れ上がり」とは何を表しているのでしょうか?

 

ビッグバンから38万年後の「宇宙の晴れ上がり」とは何か

「宇宙の晴れ上がり」とは、ビッグバン理論において、宇宙の始まり以来初めて、光子が長距離を進めるようになった時期を指し、ビッグバンからおよそ38万年後のこととされています。

ビッグバンからおよそ38万年後、宇宙の温度の低下にともない電子と原子核が結合して原子を生成するようになると、光子は電子との相互作用をまぬがれ長距離を進めるようになった。

これを宇宙が放射に対して「透明になった」、あるいは宇宙が「晴れ上がった」と表現します。

同様に、「宇宙の晴れ上がり」以前の状態は、宇宙が放射に対して「不透明である」、あるいは宇宙が「霧がかかっている」と表現するようです。

宇宙が誕生した直後、宇宙は非常に超高温・超過密で、物質の元になる素粒子と光がスープのような状態だったようです。

そのため、光は素粒子に拡散され、真っ直ぐ進むことは出来ませんでした。

しかし、38万年ほど経つと、宇宙の温度は3000度くらいまで下がり、大部分の電子と陽子が結び付いて水素原子が生まれ、光の行く手を阻むものが無くなったので、宇宙は透明になったということになります。

ビッグバンから約38万年後、光が直進出来るようになったのですが、これが、「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれるものになります。

この「宇宙の晴れ上がり」の時期のマイクロ波は「最後の散乱面」あるいは「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれ、ビッグバン理論について現在得られる最も良い証拠であると考えられています。

「宇宙の晴れ上がり」の時の「宇宙マイクロ波背景放射」が観測されたのは、1965年のことになります。

 

「宇宙の晴れ上がり」の時の「宇宙マイクロ波背景放射」は1965年に観測された

1965年、アメリカのベル研究所の研究者ベンジアスとウィルソンは、人工衛星との交信研究をしているうちに、宇宙のあらゆる方向から電波がやって来るのに気付きました。

その電波は、絶対零度(マイナス273度)に対して3度の物質が放つ電波と同じであり、そのことは、宇宙の温度はマイナス270度だということを表しています。

ベル研究所の研究者ベンジアスとウィルソンは、最初、それが何の電波か分からなかったようですが、後にそれが世紀の大発見とされたのは、この電波、即ち、「宇宙マイクロ波背景放射」がビッグバンの証拠だったことが分かったからだということです。

宇宙が透明になると、光は宇宙の中を真っ直ぐ進めるようになりましたが、「宇宙マイクロ波背景放射」は、この「宇宙の晴れ上がり」の時に解放された3000度の光が、ドップラー効果で引き伸ばされて、3k(絶対温度3度)のマイクロ波として観測されたものだったということになります。

また、「宇宙マイクロ波背景放射」を観測し、私たちの宇宙の形状を理解する助けとなるような測定データを得る目的のために、宇宙背景放射探査機COBE(コービー)という人工衛星やWMAPという宇宙探査機などが打ち上げられています。

そして、宇宙誕生後38万年の「宇宙の晴れ上がり」の時の姿は、COBE(コービー)やWMAPによって捉えられています。

 

宇宙誕生後38万年、「宇宙の晴れ上がり」の時の姿

宇宙誕生後38万年では、宇宙の温度は3000kだったと推測されているようです。

この3000kの宇宙は、赤外線の波長の光を発しているとのことです。

また、こうした波長の長い電磁波は、ちりなどにあまり吸収されることなく、遠くまで届くという特徴を持っており、物質に対してある程度の透過性を持っているようです。

宇宙誕生後38万年頃の赤外線は宇宙膨張によって引き伸ばされ、約1000倍のマイクロ波(1mm程度)として観測されるそうです。

このマイクロ波の値は、ちょうど現在の宇宙の温度である約3kの熱放射と一致するようであり、マイクロ波とは、電子レンジで使用される電磁波で、可視光の赤色よりやや波長が長いものになります。

理論的にも、観測的にも実態がよく分からない宇宙誕生後38万年~10億年後の「宇宙の暗黒時代」ですが、この時代に起きたと考えられている、いくつかの出来事があるようです。

 

「宇宙暗黒時代」に起きたいくつかの出来事

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理論的にも、観測的にも実態がよく分からない「宇宙暗黒時代」ですが、この時代に起きたとされる出来事は、いくつかあるようです。

★水素が再びイオン化

「宇宙の暗黒時代」に水素が再びイオン化したようです。

即ち、原子核から電子が離れ、自由に飛びまわるようになったようです。

★宇宙再電離(宇宙再イオン化)

宇宙誕生後38万年の「宇宙の晴れ上がり」の時に、宇宙の温度は下がり、電子は原子核と結びつき、いったん水素は原子として存在できるようになりました。

ところが、「宇宙暗黒時代」に再び電離したそうで、この出来事は「宇宙再電離(宇宙再イオン化)」と呼ばれるそうです。

そして、現在の銀河間でも、水素は電子が分離したイオン化した状態にありますが、それは、この「宇宙暗黒時代」に起きたということになります。

★宇宙が膨張するに従って、温度が3000kから1万kに上昇した

宇宙は膨張するに従って、温度は低下すると考えられます。

ところが、この「宇宙暗黒時代」には、宇宙は膨張するに従って、3000kから1万kまで温度が再び上昇したようです。

「宇宙暗黒時代」に起きた全ての出来事は、宇宙の第一世代に原始銀河の中で誕生し、大爆発を遂げた重い星々のしわざだと考えられているようです。

そして、「宇宙暗黒時代」を捉えない限り、銀河の一生を描くことは出来ないとのことです。

 

「宇宙暗黒時代」を捉えない限り、銀河の一生を描くことは出来ない

銀河の一生を描くことができない原因の一つは、銀河の年齢が分かりにくいためだと言います。

銀河系でも、星形成が起きている場所や、球状星団にある星のように宇宙の年齢に達するようなものまで、その構成員の年齢は様々だと言います。

また、銀河形成の鍵を握る肝心の時代には、「宇宙暗黒時代」が横たわっているので、「宇宙暗黒時代」を捉えない限りは、銀河のことはなかなか分からないようです。

銀河の多くは、宇宙の年齢に匹敵するような歳取ったものだという観測結果もあり、現在の宇宙で銀河がたくさん生まれている様子はないことから、典型的な生まれたての銀河を決めることも難しいと言います。

こうして考えると、宇宙誕生後10億年間の姿を捉えない限りは、銀河形成の様子はよく分からないようです。

「宇宙暗黒時代」を捉えない限りは、銀河の一生を描くことは出来ないということのようです。

そして、「宇宙暗黒時代」を捉える方法として、宇宙最初の星々によって暖められた銀河の中のちりの赤外線を捉えるものがあるとのことです。

宇宙膨張によって延ばされた赤外線はミリ波・サブミリ波(0.3~10mm)になり、それらを観測するALMA計画など、いくつかの計画が進められているようです。

 

ALMA計画とは

ALMA計画とは、チリ・アタカマ、標高5000mの高地にひろがる砂漠で、日米欧が協力して高精度なアンテナを66台建設する国際協力プロジェクトです。

ハワイのすばる望遠鏡や地上600kmにあるハッブル宇宙望遠鏡が可視光や赤外線を使って観測しているのに対し、ALMAではミリ波やサブミリ波(0.3~10mm)という電波を使い、可視光や赤外線では見ることが出来ない星間物質を観測することが出来ます。
太陽系外の惑星や銀河の誕生など天文学の解明だけでなく、有機分子の宇宙での存在解明や生命の誕生に係る新たな発見など、宇宙生命科学の分野でも、大きな期待が寄せられているとのことです。

 

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