[記事公開日]2015/12/02
[最終更新日]2016/04/09

宇宙は膨張(インフレーション)してビッグバンが始まったとする量子論的ミクロの解釈が必要

宇宙はインフレーション(膨張)して始まった?

今ある宇宙は、約138億年前に、ビッグバンと呼ばれる、大爆発によって広がったというのが、一般的な説になっています。

ただ、ビッグバンが起きる前には、宇宙は急激にインフレーション(膨張)したという理論もあります。

『宇宙の始まり(誕生・起源)はビッグバンからという理論的背景と問題点・矛盾点』、この記事の中でも書きましたが、古典的なビッグバン理論だけでは、解決出来ない、大きな問題があるようです。

古典的なビッグバン理論では、特異点というものを想定しなければなりません。

ビッグバンによって広がったとされる宇宙を逆回転して時間を遡ると、全ての物質が凝縮した特異点というものを想定しなければなりませんが、特異点は物理学のどの法則も成り立たない大問題となってしまうようです。

マクロな世界を語る物理法則では、宇宙の始まりのようなミクロの世界を解き明かすのは不十分なようです。

マクロな世界を語る物理法則と、ミクロな世界を語る量子論を合体させる必要があるようです。

そして、そこで登場してきたのが、インフレーション理論になります。

インフレーション理論では、ビッグバン理論のいくつかの問題を一挙に解決するとされているようです。

インフレーション理論、あるいは、インフレーション宇宙論というのはどのようなものなのでしょうか?

 

インフレーション宇宙論では、宇宙の初期に急激な加速膨張があったとする

インフレーション理論、あるいはインフレーション宇宙論は、初期宇宙の進化モデルであり、初期の宇宙が指数関数的な急膨張(インフレーション)を引き起こしたという理論になります。

そして、インフレーション宇宙論は、ビッグバン理論のいくつかの問題を一挙に解決するとされているようです。

インフレーション理論を提唱したのは、佐藤勝彦氏、次いでアラン・グースによって提唱されたものであり、インフレーションという命名は、宇宙の急膨張を物価の急上昇になぞらえたものだそうです。

インフレーション理論では、宇宙は誕生直後の10-36秒後から10-34秒後までの間にエネルギーの高い真空(偽の真空)から低い真空(真の真空)に相転移し、この過程で負の圧力を持つ偽の真空のエネルギー密度によって引き起こされた指数関数的な膨張(インフレーション)の時期を経たとするようです。

相転移とは、水から氷のように「相」が変わる現象だとのことです。

真空のエネルギーによってインフレーション(膨張)を起こした宇宙は、誕生直後の10-36秒後から10-34秒後までの間に様変わりし、相転移したということのようです。

宇宙の相転移で真空のエネルギーの一部が熱エネルギーへと変わったのだそうです。

そして、そこがビッグバンの始まりであり、超高温なのは、その熱エネルギーのためだということです。

この膨張(インフレーション)の時間発展は正の宇宙定数を持つド・ジッター宇宙と同様のものであり、この急激な膨張(インフレーション)の直接の結果として、現在私たちから観測可能な宇宙全体は因果関係で結び付いた 小さな領域から始まったこととなるそうです。

そして、この微小な領域の中に存在した量子ゆらぎが宇宙サイズにまで引き伸ばされ、現在の宇宙に存在する構造が成長する種となったとのことです。

このインフレーションに関与する粒子は一般にインフラトンと呼ばれるようです。

そして、ビッグバンが起きる前には、宇宙に急激な膨張(インフレーション)があったと考えると、ビッグバン宇宙論の問題点をある程度補足することが出来るようです。

 

インフレーション宇宙論によって、ビッグバン宇宙論の問題点のいくつかが解決される

インフレーション宇宙論によって、ビッグバン宇宙論の問題点として指摘されていたいくつかの点が解決されるようです。

これらの問題の中には、観測される宇宙が極めて平坦であること(平坦性問題)、因果律的に結びつきを持たないほど大きなスケールにわたって宇宙が極めて一様であること(地平線問題)、多くの大統一理論(GUT)のモデルで存在が予言されている空間の位相欠陥が全く観測されないこと(モノポール問題)などが含まれているといいます。

ビッグバン宇宙論の問題点の一つとされる、宇宙の地平線問題とは、次のようなものだといいます。

 

宇宙の地平線問題とは

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宇宙の地平線問題とは、次のようなものになります。

宇宙の地平線とは、宇宙の膨張速度が光速に達したところを言いますが、光速よりも速いものは存在しないとされているので、宇宙の地平線より先からはどんな情報も伝わって来ないということになります。

一方、「宇宙マイクロ波背景放射」は、どの方向からも絶対温度3度で一様にやって来るのですが、これは奇妙なことだということになります。

ある方向から来た「宇宙マイクロ波背景放射」は、「宇宙の晴れ上がり」以来約百数十億年宇宙空間を進んで、今やっと地球に届きました。

それと正反対の方向から来た「宇宙マイクロ波背景放射」も、やはり約百数十億年かかって地球に届いていますので、それはつまり、一方の「宇宙マイクロ波背景放射」は、もう一方まで届いていない筈だということになります。

つまり、それら二つの「宇宙マイクロ波背景放射」は、物理的に関連がなく、無関係である筈なのに、何故、同じ温度なのでしょうか?

同じ温度になるということは、熱が高い方から低い方へと流れたということであり、最初から偶然同じ温度になるということは考えにくいことになります。

そして、これがどうしてなのかは、ビッグバン理論では説明出来ないということのようです。

また、古典的ビッグバン理論の問題点の一つとして、宇宙の平坦性問題というものがありますが、次のようなものだということです。

 

宇宙の平坦性問題とは

宇宙の平坦性問題とは、次のようなものだといいます。

宇宙はビッグバン以後ずっと膨張(インフレーション)を続けてきましたが、もし初期の膨張速度がわずかでも遅かったら、宇宙は誕生後すぐに重力によって収縮し、つぶれてしまったと考えられます。

また、逆に、初期の膨張速度がわずかでも速かったら、膨張する勢いが強すぎて、物質が集まって銀河や星を形成することができなかっただろうと考えられるようです。

そして、宇宙の膨張速度が速すぎず、遅すぎず、ゆるやかな膨張速度を維持していることを、宇宙は「平坦」であると表現するそうです。

そして、そのような「平坦」な宇宙が生まれるためには、始まりの時点で、10のマイナス60乗以下の精度で「平坦」でなくてはならないことが分かってきたそうですが、宇宙が偶然にそのような状態になる確率はほとんどあり得ないことを、「宇宙の平坦性問題」というとのことです。

古典的ビッグバン理論では、このような宇宙の謎を解くことは出来ないようです。

そして、ビッグバン理論を補足する理論として登場したのが、インフレーション理論になります。

 

ビッグバン理論とインフレーション理論をつなげたものが宇宙の標準理論

ビッグバン理論を補うためには、ミクロの世界を扱った量子論の考え方が必要になるとのことであり、そこで登場したのが、インフレーション理論のようです。

生まれた時の宇宙の大きさは、直径10のマイナス34乗センチメートルという超ミクロの大きさだったと考えられており、これは、原子や原子を形作っている素粒子よりも小さいサイズになるため、ミクロの世界を扱った量子論の考え方が必要になります。

量子論を取り入れたインフレーション理論では、原子や素粒子よりも小さかった宇宙が、誕生直後に急激なスピードで膨張(インフレーション)を起こし、その直後にビッグバンが起きたと考えます。

1980年に佐藤勝彦氏とアラン・グースによって独立に提唱されたこの理論は、ビッグバン理論が持ついくつかの問題点を始め、数多くの宇宙論の問題を解決し、大きな成功をおさめたと言います。

インフレーション理論とビッグバン理論をつなげた宇宙論は、実際の観測結果ともよく合うことから、宇宙の標準理論となっているようです。

ただ、宇宙の究極の始まりについては、まだよく分かっていないというのが実状のようです。

 

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