[記事公開日]2016/05/02

宇宙のダークマターの謎を解明するための未知の素粒子発見に向けた実験がCERNで開始

     スイス側から見たCERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)の全景

未知の素粒子発見に向けてCERNの巨大加速器で実験開始

人類にとって未知となる新しい素粒子を探そうという実験が、CERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)で今月から開始されることになりました。

これは、宇宙が誕生したビッグバン直後の状態を再現して、人類にとって未知となる新たな素粒子を探し、宇宙の96%を占めるダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の謎を解明する手がかりを探ろうとする試みになります。

これまでに人類が発見した物質は宇宙全体のたった4%にしか過ぎず、残りの96%はまだ謎のままです。

残りの96%はダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)とも呼ばれていますが、今回の実験で新たな粒子が発見されれば、その正体に迫れるのではないかと注目されています。

今回実験が行われるCERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)は、スイスのジュネーブ郊外にありますが、ここにはフランスとの国境をまたいで1周27kmもある世界最大の巨大な加速器である、大型ハドロン衝突型加速器「LHC」が設置されています。

1周27kmと言うと、東京の山手線くらいの大きさになりますが、この巨大な実験装置を使って、未知の素粒子を発見しようという試みなのです。

この巨大な実験装置の中で、物質のもとになる陽子を光に近い速さまで加速して正面衝突させ、宇宙が誕生したビッグバン直後の状態を再現して、生み出された様々な粒子の中から、人類にとって未知の新たな粒子を探し出す実験になります。

 

ヒッグス粒子に続く18番目の素粒子がダークマターの謎を解明する手がかり

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宇宙を構成する物質を巡っては、20世紀の物理学の「標準理論」では、物質のもととなる「素粒子」が17種類あると予言されていました。

「標準理論」とは、素粒子物理学において、強い相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用の3つの基本的な相互作用を記述するための理論の一つであり、「標準模型」、あるいは「標準モデル」とも呼ばれます。

そして、17種類あると予言されていた素粒子の中で、最後に1つだけ残っていたのが、「ヒッグス粒子」でした。

素粒子の質量は「ヒッグス粒子」との衝突で生まれると考えられており、「ヒッグス粒子」は「神の粒子」とも呼ばれていました。

そして、4年前の2012年に最後の1つ「ヒッグス粒子」が発見されて、その全てが確認されました。

「ヒッグス粒子」が発見されたのも、CERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)の巨大実験装置を使って発見されています。

「標準理論」で予言されていた17種類の素粒子の中で、最後に残っていた「ヒッグス粒子」が発見されたことにより、「標準理論」の正しさが証明されることになりました。

ところが、このようにして人類が発見した物質は、17種類すべてを合わせても宇宙全体のわずか4%にしか過ぎず、残る96%は謎のままであり、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)と呼ばれています。

『宇宙空間の約95%は謎の暗黒物質ダークマターとダークエネルギーが占めるという不思議』、こちらの記事の中でも書きましたが、宇宙の物質の4%くらいしかまだ解明されておらず、残りの96%くらいがまだ未解明で謎のままなのです。

宇宙全体のうち未解明の約96%の物質は、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)と呼ばれていますが、その違いは「質量の有無」によります。

ダークマター(暗黒物質)もダークエネルギー(暗黒エネルギー)も、「正体が分からない謎のもの」に違いはありませんが、質量があるとされているものをダークマター(暗黒物質)と呼び、質量が無いとされているものをダークエネルギー(暗黒エネルギー)と呼んでいます。

ダークマター(暗黒物質)が約27%、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)が約68%であり、合わせて約96%の物質が宇宙でまだ未解明ということになるようです。

 

CERNの大型ハドロン衝突型加速器「LHC」の実験での国際競争に日本も参加

こうしたなか、CERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)では去年、実験装置の性能を高めて、より大きな力で衝突実験を行ったところ、これまでに知られていない新たな未知の素粒子が存在する可能性を示すデータが得られたということです。

『宇宙の始まりの超ミクロの素粒子の世界を解明する試みとして大型加速器で原始宇宙を再現』、こちらの記事の中でも書きましたが、CERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)には、世界最大の大型粒子加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)があり、最先端の研究が進められています。

量子論では、素粒子は生成したり消滅したりするので、電子と陽電子は消滅して、すぐに(衝突エネルギーに見合った)全く別の素粒子が生成されますので、そうやって物質の性質を研究することになります。

こうしたなか、CERNでは去年、実験装置の性能を高めて、より大きな力で衝突実験を行ったところ、これまでに知られていない新たな粒子が存在する可能性を示すデータが得られたため、今月から未知の新しい素粒子発見に向けた実験を本格的に開始することになったようです。

今回の実験の中では、物質のもとになる陽子を光に近い速さまで加速して正面衝突させ、宇宙誕生直後の状態を再現して、生み出された様々な粒子の中から、人類にとって未知の新たな粒子を探しますが、なんと、数千兆回にも及ぶ実験データを解析することになるようです。

そして、今回の実験は国際競争であり、世界各国から約3000人の研究者たちがCERNに集まることになります。

日本からも、東京大学の浅井祥仁教授をリーダーとして100人くらいの研究者たちが参加し、新粒子の発見に挑戦することになります。

実験には少なくとも数か月かかる見込みで、発見されれば、宇宙の残る96%の謎に迫れると注目されています。

研究グループによると、新たな未知の素粒子が見つかった場合、その素粒子は、まだ正体が分かっていないダークマター(暗黒物質)や、私たちが知っている4次元を超える5次元や6次元の存在を示すものになる可能性があるとのことであり、世界の研究者がさまざまな仮説を立てて議論しているようです。

おそらく、超弦理論(超ヒモ理論)を構成するのに必要な粒子とされる「超対称性粒子」や、発生後すぐに蒸発すると言われている「マイクロブラックホール」のことではないかと考えられます。

「超対称性粒子」は既存の素粒子と「対」をなすのではないかと考えられている素粒子であり、CERNの大型加速器でも「超対称性粒子」の探索が続けられてきたようです。

日本の研究グループの代表を務める、東京大学の浅井祥仁教授は「新たな粒子が見つかれば、今後100年間の物理学の方向性を決めるくらいの大きな結果になると思う。」と述べられています。

ぜひ、日本の研究チームが、国際競争を勝ち抜いて、一番早く新しい未知の素粒子を発見してくれることに期待したいと思います。

 

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