[記事公開日]2015/11/28
[最終更新日]2016/04/11

宇宙で銀河が誕生した成り立ちや仕組みは観測不可能な「宇宙暗黒時代」により謎も多い

銀河の誕生理論とは

宇宙に無数に存在している銀河は、果たしてどのようにして誕生したのでしょうか?

宇宙における銀河の成り立ちの謎について見ていきたいと思います。

『宇宙が膨張しているのを発見したハッブルの法則がビッグバン理論に繋がった』、こちらの記事の中でも書きましたが、大天文学者ハッブルの宇宙膨張発見によって、どうやら宇宙には始まりがあったらしいと考えられるようになったようです。

そして、それが、ビッグバン理論(ビッグバン仮説)へとつながっていきました。

ビッグバン宇宙論では、今から約138億年前に、ビッグバンと呼ばれる、超高温・高密度の大爆発が起きて、今ある宇宙が出来たと考えているようです。

ただ、ビッグバンが起きる前に、宇宙が急激に膨張(インフレーション)していたとするインフレーション理論というものがあり、現在の宇宙論では、インフレーション理論とビッグバン理論が、宇宙の始まりを語る理論として正しいだろうと考えられているようです。

そして、銀河の始まりについては、1970年代においては、トップダウン説とボトムアップ説の2つの説があったようです。

銀河の誕生理論としてのトップダウン説とボトムアップ説の2つの説

銀河の誕生を物語る理論としては、1970年代からトップダウン説とボトムアップ説という2つの理論がありました。

両者について簡単に説明すると、以下のようになります。

★トップダウン説

トップダウン説では、まず巨大な構造が出来て、それがどんどん小さく分裂して、銀河が出来たと考えます。

まず大規模構造となる巨大なガスの塊が出来て、そこから超銀河団の元となる塊が分かれ、さらに銀河団→銀河群→銀河という順に小さい構造が生まれていったと考えるのが、トップダウン説になります。

★ボトムアップ説

トップダウン説とは逆に、ボトムアップ説では、小さな天体、銀河などから始まって、それがだんだん成長・合体して、銀河が集まった銀河団などの大きな宇宙の構造になったと考えます。

まず銀河が生まれ、その中でも密度の高いところで銀河群や銀河団が出来、さらにそれらが集まって超銀河団や宇宙という大規模構造が出来たと考えるのが、ボトムアップ説になります。

トップダウン説は、途中でパンケーキ状の構造があらわれることから、パンケーキ説とも呼ばれることがあるそうですが、宇宙年齢の半ばになって、やっと銀河が出来上がる計算になることから、観測結果とは合わないようです。

そこで、現在では、宇宙ではまず無数の銀河が生まれ、それらが重力によって集まって銀河群や銀河団をつくり、さらにそれらの集合体としての超銀河団や宇宙の大規模構造が出来たとするボトムアップ説が有力な説となっているようです。

ボトムアップ説が有力な理論となっているものの、実際のところはどうなのでしょうか?

実は、最初の銀河が誕生する頃、つまり原始銀河の形成時は、「宇宙暗黒時代」という、私たちがまだ観測出来ていない真っ暗な闇の時代が立ちはだかっています!

 

立ちはだかる宇宙暗黒時代

宇宙誕生後38万年後から10億年後までの期間は、観測が難しい真っ暗な時代が立ちはだかっており、「宇宙暗黒時代」と呼ばれています。

約138億年前に、超高温・高密度のビッグバンが起きたと考えられています。

ビッグバンが起きた時、光はプラズマ状態の電子、つまり電離して自由に飛び回っている電子に邪魔されて、真っ直ぐに進むことは出来ませんでした。

その頃の宇宙は光のもやの中にあるような状態だったと考えられており、この頃の宇宙を観測することは出来ないようです。

宇宙が観測可能になるのは、宇宙誕生後38万年後であり、これを「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。

★宇宙の晴れ上がり

ビッグバン理論において、宇宙の始まり以来、初めて光子が長距離を進めるようになった時期を指し、これはビッグバンからおよそ38万年後であるとされています。

ビッグバンからおよそ38万年後、宇宙の温度の低下にともない電子と原子核が結合して原子を生成するようになると、光子は電子との相互作用をまぬがれ長距離を進めるようになりました。

これを宇宙が放射に対して「透明になった」、あるいは「宇宙が晴れ上がった」と表現するようです。

同様に、「宇宙の晴れ上がり」以前の状態は、宇宙が放射に対して「不透明である」、あるいは宇宙が「霧がかかっている」と表現します。

ビッグバンから約38万年後に、光が直進出来るようになったと考えられているようです。

宇宙誕生38万年後、「宇宙の晴れ上がり」の時の宇宙の姿は、衛星COBEや衛星WMAPによって観測されています。

この「宇宙の晴れ上がり」の時期のマイクロ波は、「最後の散乱面」あるいは「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれ、ビッグバン理論について現在得られる最も良い証拠であると考えられているようです。

そして、宇宙誕生38万年後、「宇宙の晴れ上がり」の時から10億年までは、現在の観測技術では観測出来ない時期が続き、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれています。

そして、観測することが難しい「宇宙の暗黒時代」というものが、銀河の誕生を解明する上において、立ちはだかっているということになるようです。

一応、今のところ考えられている銀河誕生の理論は、だいたい次のようになるようです。

 

ダークマター(暗黒物質)の10万分の1の”ムラ”から銀河が誕生?

宇宙誕生38万年後、「宇宙の晴れ上がり」の時の姿を衛星WMAPが観測したところ、宇宙にダークマター(暗黒物質)と呼ばれる未知の物質が約23%あること、当時の宇宙には温度にして10万分の1度程度のわずかな”ムラ”があることが分かったそうです。

この”ムラ”というのは、物質密度にほんのわずかな違いがあったことを意味しており、この”ムラ”が成長して銀河が出来ると考えられているようです。

このわずかな物質の”ムラ”、物質の”かたより”から今ある宇宙の姿が出来上がったようです。

 

原子銀河雲は物質の”かたより”から誕生した

「宇宙の暗黒時代」と呼ばれる、観測がおぼつかない”ダークな”時期に、最初の星々や原始銀河が誕生したようですが、理論的には、次のように考えられているようです。

理論計算によれば、宇宙誕生10万年後くらいから未知の暗黒物質(ダークマター)の”ムラ”が先行して出来始め、この”ムラ”に引きずられて物質の”ムラ”の成長も進み、宇宙誕生38万年後の「宇宙の晴れ上がり」の時には、温度にして10万分の1程度の”ムラ”が現れたようです。

物質のこの”ムラ”は、衛星WMAPによって観測されていますが、”ムラ”は間接的に、物質の分布にかたよりがあることを示しています。

暗黒物質(ダークマター)を含む物質密度の濃い部分は重力を生じ、物質を集め、銀河の言わば”種”が出来たようです。

暗黒物質(ダークマター)を含む物質密度の濃い部分が重力を生じ、物質がたくさん集まった場所が、原始銀河雲と呼ばれる場所になります。

そして、原始銀河雲の中で最初の星が輝くためには、原始銀河雲を冷やす何らかのシステムが必要となるようです。

 

原始銀河雲を冷やすシステム・仕組みとは

暗黒物質(ダークマター)を含む物質密度の濃い部分が重力を生じ、物質がたくさん集まった場所が、原始銀河雲と呼ばれる場所になりました。

重力は物質を集め、原始銀河雲を収縮に向かわせますが、その一方で、収縮が進むと中心部には熱が生まれます。

この熱は重力と対抗し、原始銀河雲を膨張させる方へと働きますが、重力に対するこの反発力があまり強いと、物質はうまく収縮することが出来ず、星が誕生出来ないようです。

そのため、最初の星が原始銀河雲の中で輝くためには、原始銀河雲を冷やすための何らかのシステムが必要となるそうです。

原始銀河雲を冷やすための何らかのシステムについては、まだ確定していないものの、その仕組みの一つとして考えられているのが、宇宙に最も多く存在する水素原子が、分子となることだそうです。

宇宙に最も多く存在する水素原子が、分子となることで、熱エネルギーを放射出来るため、原始銀河雲を冷やすことが出来るということになります。

水素全体の10万分の1ほどが分子となることが出来れば、水素分子は原始銀河雲を100kまで下げることが出来ると言います。

このシステム以外にも、原始銀河雲を冷すために、水素やヘリウムの原子核が電子と再結合することや、あるいは、自由に飛び回っている電子が原子核の影響で進路を阻まれる時に放出する電磁波などが、システムの候補として提案されているようです。

ただ、いずれにしても、今のところは、原始銀河雲を冷すための仕組みについては、まだはっきりと確定されていないようです。

理論によって求められた原始銀河雲の質量は、太陽質量の約1億~1兆倍の範囲で、大きさは半径が30万光年以内だそうです。

これ以上大き過ぎても、小さ過ぎても、重過ぎても、軽過ぎてもダメで、星は誕生しないそうです。

そして、原始銀河雲の中で最初の星々が輝き始めた時が、原始銀河の誕生となります。

 

原始銀河雲の中で最初の星々が輝き始めた時が、原始銀河の誕生

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原始銀河雲の中で最初の星々が輝き始めた時が、原始銀河の誕生となりますが、だいたい次のように考えられているようです。

宇宙の初期に誕生した恒星の多くは、太陽の100倍以上の質量を持つ、重い星であり、宇宙の初期には、水素とヘリウムしか原材料がなかったようです。

重い星ほど、華やかで短い一生を遂げるそうで、宇宙初期の恒星内部の「熱核融合反応」は重い元素まで進み、100万年もしないうちに「超新星爆発(スーパーノバ)」と呼ばれる大爆発を起こしたと考えられているようです。

そして、太陽質量の30~40倍以上の爆発は、その規模の大きさから「極超新星爆発(ハイパーノバ)」と呼ばれており、宇宙最初の銀河である原始銀河の中で、無数に誕生したと考えられているそうです。

衛星WMAPの観測結果から、その時期は宇宙誕生後約2億年と推定されており、重い星が一斉に誕生し、一気に大爆発という死を迎えたようです。

そして、その大爆発が宇宙空間に重力的なかたよりを作り、さらなる恒星の誕生へと繋がっていったようです。

この頃の時代は、「宇宙の暗黒時代」と呼ばれて観測が出来ないため、実態がよく分かっていないとのことです。

そのため、銀河形成にはいくつもの仮説がある状態ですが、現在の宇宙によくあるような銀河がどのように形成されたのかについて、次のようにも考えられているようです。

 

楕円銀河や円盤銀河が形成されるシナリオ

最初の銀河は、「宇宙の暗黒時代」に形成されたようですが、観測が出来ないため、銀河形成にはいくつもの仮説があるようです。

その中で、現在宇宙によくあるような銀河がどのように形成されたのかについて、一つの仮説は次のようなものだそうです。

宇宙誕生後38万年~3億年までの間に誕生した原始銀河雲は、宇宙初期に誕生した星々が発する紫外線の影響をあまり受けないようですが、この紫外線というものが、水素分子の形成を妨げるのだと言います。

紫外線の影響をあまり受けることなく、水素原子は原始銀河雲を冷やすように働くため、原始銀河雲はうまく冷えて、星が次々と誕生することになります。

こうした星々は、重力で引き合い、丸い星の糸、即ち、楕円銀河を作るのではないかと考えられています。

大きな原始銀河雲からは楕円銀河が生まれ、小さな原始銀河雲からは矮小楕円銀河が誕生したとする説もあるようです。

楕円銀河の形成には、円盤銀河が衝突して出来たとする説もあります。

円盤銀河とは、渦巻銀河やレンズ状銀河など銀河円盤をもつ銀河のことであり、この円盤銀河が衝突合体して、円盤部が壊れ、楕円銀河が出来たとも考えられているようです。

星形成が進み、星々が発する強い紫外線の時代に誕生した原始銀河雲は、紫外線の影響によってガスが上手く収縮出来ず、星がなかなか形成されないとのことですが、その中でも比較的大きな原始銀河雲は、ガスのまま収縮が続き、やがて回転を始めるようです。

そして、原始銀河雲は回転に伴って円盤を作るようになり、この頃までにはガスの密度も増して星がやっと誕生できるようになり、こうして円盤銀河が出来ると考えられているようです。

この仮説は、遠くの銀河では、大きな銀河に円盤銀河が多いという観測と一致しているとのことですが、いずれにしても、「宇宙の暗黒時代」が観測されていないため、銀河の形成に関しては、現在のところは、はっきりしたことはまだ分からないということになります。

「宇宙の暗黒時代」という観測出来ない時代があるため、宇宙において銀河が誕生した仕組みについては、まだまだ謎が深いと言えそうです。

 

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