[記事公開日]2015/12/01
[最終更新日]2016/04/09

宇宙の始まり(誕生・起源)はビッグバンからという理論的背景と問題点・矛盾点

宇宙の始まり(誕生・起源)についてのビッグバン理論(ビッグバン仮説)という定説

現在、宇宙の始まり(誕生・起源)については、ビッグバンによる大爆発によって宇宙が誕生したという説が定説のようになっています。

ビッグバン理論(ビッグバン仮説)では、「この宇宙には始まりがあって、宇宙の最初期に超高音・高密度の状態から爆発のように膨張して現在のようになった」と説明されています。

このようなビッグバンモデルが出てきた理論的背景と、定説のようになっている根拠、そして、古典的ビッグバンモデルが抱える問題点・矛盾点についても振り返ってみたいと思います。

 

20世紀初頭までは、宇宙は定常的なものと考えられていた

20世紀の初頭までは、宇宙は定常的なものと考えられていたようです。

その当時は、宇宙は永遠に不変であり、永遠不滅のものだと考えられていたのです。

ほとんどの人たちは、宇宙は定常的なものだと考えており、天文学者たちの中にすら「宇宙には始まりがなければならない」などという考えを口にするような者はいなかったと言います。

柔軟な考えを持っていると評価されているアインシュタインですらも、「宇宙に始まりがあった」などという考えはまるっきり馬鹿げていると考えていたそうですし、ハッブル宇宙望遠鏡の名前の由来にもなっている、大天文学者ハッブルも宇宙は定常的なものと考えていたようです。

しかし大天文学者であるハッブルが発見したハッブルの法則が、ビッグバン理論へとつながっていくことにもなります。
(ただし、ハッブルは宇宙は定常的なものと考えていたようですが。)

大天文学者であるエドウィン・ハッブルがハッブルの法則を発見したのは、1929年のことになります。

ハッブルは、銀河が地球に対してあらゆる方向に遠ざかっており、その速度は地球から各銀河までの距離に比例していることを発見しました。

この事実が現在、ハッブルの法則と呼ばれるものであり、後のビッグバン理論にもつながっていくことになりました。

そして、ハッブルがハッブルの法則を発見した1929年よりも2年前に、ルメートルが発表した「宇宙は原始的原子(primeval atom) の“爆発”から始まった」とする理論に対して基礎付けを与えることになったと言います。

 

ハッブルの発見した法則が、ルメートルの「宇宙は原始的原子の爆発から始まった」とする理論の基礎付けとなった

1927年に、ベルギーの司祭で天文学者のジョルジュ・ルメートルが、一般相対論のフリードマン・ロバートソン・ウォーカー計量に従う方程式を独自に導き出し、渦巻銀河が後退しているという観測結果に基づいて、「宇宙は原始的原子(primeval atom) の“爆発”から始まった」という宇宙モデルを提唱したそうです。

そして、この2年後の1929年に、大天文学者のハッブルが発見したハッブルの法則により、ルメートルの理論が基礎付けされることになりました。

アメリカのウィルソン山天文台で銀河までの距離を測定していたハッブルは、観測していた銀河のほとんどのスペクトルが赤方偏移していることに気づいたそうですが、これは、銀河が地球から遠ざかっていることを意味していました。

しかも、さらに詳しい観測によって、私たちから遠い銀河ほど、速い速度で遠ざかっているということが分かりました。

このことは、宇宙が膨張しており、言わば、進化していることを表していました。

ハッブルの発見した法則によって、それまでの「宇宙は静止している」という考え方、定常宇宙論というものが、根底から覆されることになります。

そして、宇宙が膨張しているということは、時間を過去に遡れば、宇宙はどんどん小さくなるということになりますが、時間を過去に遡ると、どうなるのでしょうか?

 

膨張している宇宙を逆回転して過去へと時間を遡っていくとどうなるのか?

ハッブルの大発見によって、宇宙が膨張しており、進化していることが分かった訳ですが、この膨張している宇宙を逆回転して、時間を過去へと遡っていくとどうなるのでしょうか?

宇宙が膨張しているということは、時間を過去に辿れば、ビデオ映像を逆回しするように宇宙はどんどん小さく収縮していく筈だということになります。

膨張している宇宙を逆回転して過去へと遡っていくと、宇宙はどんどん収縮していき、離れていた銀河同士は次第に近づき、物質が過密な状態になり、温度がどんどん上がって高温になっていきます。

そして、やがては銀河も星もない超高温のプラズマ状態になり、最後には原子もバラバラになった超過密の素粒子の状態になるようです。

この宇宙で物質の量は変わらないので、時間を過去へと逆回転して遡っていくと、宇宙という空間が収縮していきます。

そのため、物質は小さな範囲に押し込められ、超高密度の、超高温の、まるで火の玉のような世界の始まりとなります。

これが、ビッグバンと呼ばれるものになります。

そして、この理論を本格的に提唱したのが、ロシア出身の天文・核物理学者ジョージ・ガモフでした。

 

ビッグバン理論を本格的に提唱したジョージ・ガモフ

1929年にハッブルが発見したハッブルの法則によって、宇宙が膨張していることが分かったものの、ハッブルの観測結果を説明することに本気で立ち向かい科学的に捉えようという気になっている科学者は皆無だったようです。

しかし、その数少ない例外が、ロシア出身の天文・核物理学者ジョージ・ガモフでした。

ガモフは、ジョルジュ・ルメートルが提唱したビッグバン理論を支持し発展させた人物です。

1946年、ジョージ・ガモフは、宇宙は超高温・高密度の状態から爆発によって誕生した、と発表しました。

ガモフは、初期の宇宙は全てが圧縮され高密度だったうえに、超高温度だったとし、宇宙の膨張の始まりを、熱核爆弾の火の玉と捉え、創造の材料(陽子、中性子、電子、ガンマ放射線の高密度ガス。これらの材料をガモフは「イーレム」と呼んだ)が爆発の場で連鎖的に起きる核反応によって、現在の宇宙に見られる様々な元素に転移したのだ、と説明したようです。

これが、後にビッグバンと呼ばれるようになる宇宙誕生の瞬間の大爆発ということになります。

ただ、当初は、宇宙に始まりがあったというガモフの考えはなかなか受け入れられず、ビッグバンという言葉も、イギリスの物理学者フレッド・ホイルがガモフの理論をからかって口にした言葉が、そのまま定着してしまったようです。

ハッブルの法則を発見して、宇宙が膨張していることを捉えたハッブルでさえ、宇宙に始まりがあったという考えを受け入れず、宇宙は定常であると考えるのが自然だとみなしていたようです。

しかしやがて、宇宙が高温高密度の状態から進化したというアイデアを支持する観測的な証拠が挙がってくるようになりました。

1965年に発見された「宇宙マイクロ波背景放射」は、ビッグバン理論が宇宙の起源と進化を説明する最も良い理論であるとする一つの証拠とみなされるようになりました。

 

「宇宙マイクロ波背景放射」はビッグバンの証拠として理論的背景となる

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1965年に発見された、「宇宙マイクロ波背景放射」は、ビッグバンの証拠として、ビッグバンモデルの理論的背景ともなっています。

1965年、アメリカのベル研究所の研究者ベンジアスとウィルソンは、人工衛星との交信の研究をしているうちに、宇宙のあらゆる方向から電波がやって来ることに気づきました。

その電波は、絶対零度(マイナス273度)に対して3度の物質が放つ電波と同じであり、これは、宇宙の温度がマイナス270度だということを表しているそうです。

そして、この電波が、「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれるものでした。

「宇宙マイクロ波背景放射」を発見したベンジアスとウィルソンは、それが何の電波か分からなかったそうですが、後に、これが世紀の大発見とされたのは、この電波がビッグバンの証拠だったことが分かったからだということです。

誕生した直後の宇宙は、非常に超高温・高密度であり、物質の元になる素粒子と光がスープのような状態だったため、光は素粒子に拡散され、まっすぐ進むことは出来なかったようです。

そして、宇宙誕生から38万年位経つと、宇宙の温度は3000度位まで下がり、大部分の電子と陽子が結び付いて水素原子が生まれました。

光の行く手を阻むものがなくなったので、宇宙は透明になり、光が直進出来るようになったそうです。

超高温の時は、光はランダムに飛び交う電子に邪魔されて進むことが出来ませんでしたが、温度が3000度以下になると、電子は原子内に落ち着き、光が進むためのすきまが出来るようになったということのようです。

宇宙誕生から約38万年後、宇宙が透明になり、光が直進出来るようになったことを、「宇宙の晴れ上がり」と言います。

ベル研究所の研究者ベンジアスとウィルソンが1965年に発見した「宇宙マイクロ波背景放射」は、この「宇宙の晴れ上がり」の時に解放された3000度の光が、ドップラー効果で引き伸ばされて、3k(絶対温度3度)のマイクロ波として観測されたものだったそうです。

そして、この「宇宙マイクロ波背景放射」が、ビッグバンの証拠として、ビッグバン宇宙モデルの理論的背景となったようです。

1965年の「宇宙マイクロ波背景放射」の発見以降は、ビッグバン理論が宇宙の起源と進化を説明する最も良い理論であると考える人が多数派になったようです。

ビッグバン宇宙論の分野では1990年代の終わりから21世紀初めにかけて、望遠鏡技術の大発展と COBE、ハッブル宇宙望遠鏡、WMAP といった衛星から得られた膨大な量の観測データとが相まって、非常に大きな進展が見られたそうです。

これらのデータによって、宇宙論研究者はビッグバン理論のパラメータを今までにない高い精度で計算することが可能になり、これによって宇宙が加速膨張しているらしいという予想外の発見がもたらされたとのことです。

現在の科学者による宇宙論の研究はそのほとんど全てが基本的なビッグバン理論の拡張や改良を含むものだということです。

現在行なわれているほとんどの宇宙論の研究には、ビッグバンの文脈で銀河がどのように作られたかを理解することや、ビッグバンの時点で何が起きたかを明らかにすること、観測結果を基本的な理論と整合させることなどが含まれているようです。

ただ、ビッグバンモデルは、宇宙論の中で堅固に確立しているものの、将来的には改良されるようです。

古典的なビッグバン理論だけでは、ミクロの世界は解明出来ないようです。

古典的なビッグバン理論では、ビッグバンが起きる前の特異点というものを想定しなければなりませんが、そこが問題となるようです。

 

古典的ビッグバン理論では特異点の問題を解決出来ない

ビッグバンモデルは、宇宙論の中で堅固に確立しているものの、古典的ビッグバン理論だけでは、問題があるようです。

特に大きな問題は、特異点の問題だと言います。

ビッグバン理論では、膨張する宇宙を遡ると、収縮に向かい、今ある物質の全てが狭い範囲に押し込められ、超高温・超高密度のビッグバン宇宙となります。

さらに、マクロな世界の物理法則でしか語られていないビッグバン理論では、宇宙の始まりが、極小の一点に凝縮されることになります。

この極小の一点は、特異点と呼ばれますが、その密度やエネルギーが無限大になり、物理学のどの法則でも適応出来ない大問題となってしまいます。

全ての物質が凝縮した特異点という、物理学のどの法則も成り立たない、大問題が生じてしまうと言います。

マクロな世界を語る物理法則では、宇宙の始まりのようなミクロの世界を解き明かすのは不十分だということが、20世紀に発見された新たな物理理論で分かってきたようです。

それが、量子論になります。

特異点の問題を解決するには、ミクロな世界を語る量子論と、マクロな世界の物理法則を合体させる必要があるようです。

そして、量子論を考慮してビッグバンモデルを説明しようとするのが、インフレーション理論になります。

インフレーション理論では、ビッグバンが起きる前に、宇宙では膨張(インフレーション)が起きていたと考えるようですが、ビッグバン理論を補足する理論として支持を得ているようです。

現在では、ビッグバン理論にインフレーション理論を加えたものが、宇宙の標準理論になっているようですので、インフレーション理論については、別の機会に書いてみたいと思います。

 

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