[記事公開日]2016/05/06

宇宙や時間・空間を科学的に考察したギリシャの自然哲学からプトレマイオスの天動説へ

プトレマイオスが体系化した天動説が1000年以上にわたり西洋キリスト教世界に広く浸透

宇宙や時間や空間を初めて科学的に考えたのは古代ギリシャの自然哲学者たち

宇宙や時間や空間というものについて、初めて科学的に考察したのは、古代ギリシャの自然哲学者たちだとされています。

紀元前6世紀頃の古代ギリシャの自然哲学者たちは、この世界と宇宙を科学的に考察しようとした最初の人たちだったとされています。

ソクラテス以前の古代ギリシャの哲学者たちは、自然哲学者と呼ばれていますが、彼らの多くは自然と宇宙を自ら思索の対象としました。

そのため彼らの思想は宇宙論あるいは自然学としばしば呼ばれています。

彼らは外界の現象についてそれまでの擬人的な神話による説明を排除して、より一般化された非擬人的な説明を求めたと言います。

たとえば雷は全能の神ゼウスが怒り雷撃を投げているのではなく、雨雲が空気の裂け目を生じてその裂け目から嵐が吹き出し光がみえているのだと説明しました。

この姿勢は盲信的な宗教から離れて、哲学、さらには科学へ至る考え方の転換点として世界史的にも画期的であったとされています。

古代ギリシャの自然哲学者たちは、今目の前にある物質は、なぜそこに存在するのか、そして物質の根源とはそもそも何なのか、物質が存在する空間とは何なのか、そしてそれは永遠に続くものなのか、また時間とはどういうものなのかなどについて、様々な議論を闘わせたと言われています。

古代ギリシャの自然哲学者たちの中で代表的な人物には、タレス、ピタゴラス、デモクリトスなどがいますが、少し後の紀元前4世紀に活躍したアリストテレスは”自然科学の祖”とも言われ、天動説を唱えたことなどでも知られています。

 

タレス、ピタゴラス、デモクリトスなどの自然哲学者たちと、天動説を唱えたアリストテレス

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古代ギリシャの自然哲学者たちの中では、タレス、ピタゴラス、デモクリトスなどがよく知られています。

また、少し後の紀元前4世紀に活躍したアリストテレスは”自然科学の祖”とも言われ、天動説を唱えたことなどでも知られています。

★タレスは万物の根源(アルケー)は”水”であると考えた

紀元前6世紀に活躍したタレスは、古代ギリシャの自然哲学者を代表する1人です。

紀元前625年頃から547年頃の自然哲学者であるタレスは、西洋哲学において、古代ギリシアに現れた記録に残る最古の(自然)哲学者と言われています。

タレスは、イオニアに発したミレトス学派の始祖であり、また、ギリシャ七賢人の一人とされています。

タレスは、万物の根源(アルケー)は”水”だと主張しました。

タレスが「最初の哲学者」とよばれる由縁は、それまでは神話的説明がなされていたこの世界の起源について、合理的説明をはじめて試みた人だという点にあるようです。

彼は万物の根源(アルケー)を”水”と考え、存在する全てのものがそれから生成し、それへと消滅していくものだと考えました。

タレスが考えた大地は円盤形であり、「オケアノス」と呼ぶ大海(”水”)の上に浮かんでいるとして、世界は”水”からなり、そして”水”に帰るという説を唱えました。

彼は多才な人物だったようですが、特に測量術や天文学に通じており、天体の運動を観測して日食を予言したと言われています。

タレスは、哲学よりも、中学校の数学の教科書に出てくる、「半円に内接する角は直角である」という「タレスの定理」として知られています。

★ピタゴラスは万物の根源(アルケー)は”数であると考えた

タレスと同じ頃の紀元前6世紀に活躍したピタゴラスは、万物の根源(アルケー)は”数”であると主張し、幾何学と数学に関する秘密結社「ピタゴラス教団」を設立しました。

「ピタゴラス教団」の戒律は厳しく、秘密をもらすと殺されたとも伝えられています。

ピタゴラスは、直角三角形の3辺の長さの関係を表す等式である「ピタゴラスの定理」でも知られていますが、地球が”球”であることに気付いたとされています。

『宇宙論は古代からエジプト・インド・ギリシャ・中国などで神話や宗教に残されている』、こちらの記事の中でも書きましたが、古代ギリシャの宇宙観では、大地は海に囲まれており、その周囲の山々が天を支えていると考えられていたようです。

しかし、ピタゴラスは、人間が住む地球が”球”状のものだと気付いたようです。

ピタゴラスは、輪廻転生についての思想も持っており、ピタゴラスの数学や輪廻転生についての思想はプラトンにも大きな影響を与えたとされています。

★デモクリトスは万物の根源(アルケー)を”アトム”だと考えた

古代ギリシャの自然哲学者たちの多くは、万物の根源(アルケー)を自然の中に求めたと言います。

例えば、タレスは万物の根源(アルケー)は”水”だと考えました。

古代ギリシャの自然哲学者たちの中で、より現代的な見方をしたのは、紀元前5世紀頃に生きたデモクリトスです。

デモクリトスは、万物の根源(アルケー)は、非常に小さくてそれ以上分けることのできない”アトム”だと考えました。

デモクリトスは、この”アトム”が何もない無限の空間の中を動き回り、並び方や運動の方向を様々に変えることで、この世界に存在する全てのものを形作ると考えたようです。

デモクリトスが万物の根源(アルケー)として考えた”アトム”は「原子」と訳されているようですが、むしろ現代物理学で言う「素粒子」という概念に近いと見ることができます。

★”自然科学の祖”とされるアリストテレスは天動説を主張

紀元前4世紀に活躍したアリストテレスは、”自然科学の祖”と呼ばれています。

アリストテレスは、プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンとともに、西洋における最大の哲学者の一人に数えられており、その多岐にわたる自然研究の業績から”万学の祖”とも”自然科学の祖”とも呼ばれています。

アリストテレスは、「時間」は”物質の動き”だと考え、万物の根源は「火、空気、水、土」の四大元素であると考えたようです。

そして、「火、空気、水、土」の四大元素の他に、天上界をつくる特別な物質”エーテル”を考えました。

アリストテレスの宇宙論は同心円状の階層構造として論じられており、世界の中心に地球があり、その外側に月、水星、金星、太陽、その他の惑星等が、それぞれ各層を構成しているとされています。

そして、これらの天体は、「火、空気、水、土」の四大元素とは異なる、完全元素である特別な物質”エーテル”から構成されると考えたようです。

そして、完全元素である特別な物質”エーテル”から成るがゆえに、これらの天体は天球上を永遠に円運動していると考えたようです。

アリストテレスは、地球が宇宙の中心にあり、その周りを太陽と惑星が回っていると考え、天動説を主張しました。

アリストテレスが唱えた天動説を引き継いで体系化させたのが、プトレマイオスです。

 

プトレマイオスが体系化した天動説は千年以上にわたり西洋社会に大きな影響力

アリストテレスが唱えた天動説を引き継いで体系化させたのが、プトレマイオスです。

紀元前4世紀に古代ギリシャの哲学者アリストテレスが考えた地球中心の宇宙モデルでは、中央にある地球の周りを8つの水晶球が同心円状に取り巻き、それぞれに太陽、月、惑星が張り付いて完全な円運動を続けています。

プトレマイオスは、この見方を引き継いで体系化させた古代ローマの学者であり、2世紀にエジプトのアレキサンドリアで活躍しました。

プトレマイオスは、彼が2世紀半ばに著した主著『アルマゲスト』(全13巻)で、地球が宇宙の中心にあり、太陽やその他の惑星が地球の周りを回っているという天動説を唱えました。

ただし、天動説そのものはプトレマイオスが初めて唱えた訳ではなく、『アルマゲスト』の内容は、アリストテレスや、古代ギリシャの最も偉大な天文学者とされるヒッパルコスなど、それ以前の古代ギリシャの天文学を集大成したものとなっています。

『アルマゲスト』はそれまでの天文学を数学的に体系付け、実用的な計算法を整理したことで、何世紀もの間天文学の標準的な教科書としての地位を得たと言います。

天体観測の方法や天体の軌道計算、太陽までの距離やその大きさといったあらゆる知識を一つにまとめたことが天文学におけるプトレマイオスの業績とされています。

主著『アルマゲスト』をはじめとするプトレマイオスの思想は、古代末期から中世を通して、ユーラシア大陸の西半分のいくつかの文明にて権威とみなされ、また、これらの文明の宇宙観や世界観に大きな影響を与えたとされています。

そして、16世紀にコペルニクスが主著『天球の回転について』で地動説を唱えるまでは、プトレマイオスによって体系化された天動説が、1000年以上にわたって広く信じられていました。

そして、『コペルニクスの地動説は17世紀に起こる科学革命の先駆けとなった』、こちらの記事の中でも書きましたが、コペルニクスが唱えた地動説が、やがて17世紀に起こる科学革命の先駆けともなりました。

 

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