[記事公開日]2015/12/04
[最終更新日]2016/04/09

宇宙に充満するニュートリノに質量があることはスーパーカミオカンデでの振動現象発見による

ニュートリノとはどんな素粒子なのか?

2015年10月6日、東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授は、ノーベル物理学賞を受賞されましたが、受賞理由として、素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、物質や宇宙の謎に迫る素粒子研究を発展させた功績が評価されたとされています。

ニュートリノは物質を構成する最小単位である素粒子の一つで、質量の有無をめぐる議論が半世紀にわたって続いてきたとのことです。

梶田氏は02年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏に師事された方で、ニュートリノに質量があることを観測で突き止め、素粒子研究の進展に大きく貢献されたとのことです。

東大助教授だった梶田氏は、岐阜県飛騨市神岡町の地下鉱山跡にあるニュートリノ観測施設「スーパーカミオカンデ」で、大気中で発生する「大気ニュートリノ」を観測し、平成10(1998)年、ニュートリノが質量を持つことの証拠になる振動現象を発見されました。

梶田氏がノーベル賞を受賞されることにもつながった、ニュートリノという素粒子とは、どんなものなのでしょうか?

 

ニュートリノは元々物理学者パウリが考えた仮想の粒子だった

ニュートリノは、素粒子の中の一つです。

全ての物質は、素粒子というとても小さい粒子からできていますが、素粒子にはいくつかの種類があり、働き方によってクオークとレプトンに分けられます。

ニュートリノはレプトンに属する粒子になります。

素粒子ニュートリノは、元々は、1930年に物理学者パウリが考えた仮想の粒子だったと言います。

パウリは放射性物質の実験で、当時研究者を悩ませていた難解な問題を解決するために、目に見えず電気的な性質もない、非常に軽い粒子が、検出器をすり抜けて飛び出していると考えたそうです。

そして、これが、ニュートリノの存在の予言となったとのことです。

このとき、パウリはこの粒子を「ニュートロン」と呼んでいましたが、これが今日のニュートリノであり、ニュートリノは本物が発見される前に、科学者の頭の中で生まれたということになります。

パウリが考えた仮想の粒子に、ニュートリノという名前が付いたのは、それから3年後の1933年になります。

イタリアの物理学者フェルミは、パウリの考えた粒子について研究しベータ崩壊の理論を構築していました。

1932年に現在のニュートロン(中性子)が発見されていましたので、幽霊粒子のほうを「ニュートリノ」と名づけ直したそうです。
「ニュートラル」は中性、つまり電気を帯びていないという意味、「イノ」はイタリア語で小さいという意味だそうです。

そして、実際にニュートリノが初めて発見されたのは、1956年になります。

1956年、ライナスとコーワンというアメリカの物理学者によって、原子炉から出るニュートリノが初めて観測され、ニュートリノは実在の粒子であることが分かったそうです。

命名から20年以上経って、やっとニュートリノは発見されたということになります。

命名から20年以上経って、やっと発見されたニュートリノとは、レプトンに属する素粒子だということですが、改めて、どのような素粒子なのかを、見てみたいと思います。

 

ニュートリノは中性の(電気を持たない)素粒子

ニュートリノは、中性の(電気を持たない)素粒子だと言いますが、そもそも素粒子とは何でしょうか?

宇宙を構成する全ての物質は、クォークとレプトンという素粒子の仲間から形成されているそうです。

例えば水素原子の場合は、クォーク3つからできる陽子1つと、レプトンの仲間である電子1つを組み合わせて作られているようです。

このクォークとレプトンは,それぞれ,自分とペアになる粒子を持っており、ペアになる粒子は電荷が1つ異なるという特徴があります。

レプトンの場合、1つは電子で、そのペアとなっているのがニュートリノです。
電子の電荷は-1であり,ニュートリノの電荷は、それから1つ分異なった0となっています。

つまり、ニュートリノは電荷を持たないということになります。

ニュートリノは電荷を持たないため、他の物質とほとんど反応せず、地球すら容易に貫通してしまうほどだと言います。

そのためニュートリノの観測は非常に難しく、長年その性質は謎に包まれていたようです。

ニュートリノは宇宙で最も豊富な素粒子の一つで、身の回りを光速で飛び交っており、私達の体を1秒間に約1兆個も突き抜けていくそうですが、ニュートリノは他の物質とほとんど反応しないので、私達がそれを感じることはないそうです。

宇宙はニュートリノで溢れているようです。

 

宇宙はニュートリノで溢れている

ニュートリノはこの世に膨大な数が存在しており、宇宙はニュートリノで溢れているようです。

太陽からはいつも1平方センチメートル当たり1秒に660億個ものニュートリノが放出されており、空からも宇宙放射線で作られたニュートリノが地上に降り注いでいるそうです。

また、地球の内部からもニュートリノが放出されているようです。

それでも、私たちが何も感じないのは、ニュートリノがあまりにも小さく、電気的に中性なので、物質と反応する強さが弱く、私たちの体や物質を通り抜けてしまうからだと言います。

宇宙で超新星爆発が起こると、ごく短時間のうちに超新星のエネルギーが膨大なニュートリノとして放出されるそうです。

そして、超新星爆発によって放出されたニュートリノが世界で初めて観測されたのは、日本であり、岐阜県神岡町にあるカミオカンデにおいてのことになります。

 

1987年、岐阜県神岡町のカミオカンデにて超新星爆発からのニュートリノを初観測

スポンサーリンク

1987年1月、カミオカンデグループが太陽ニュートリノの観測を開始しました。

カミオカンデとは、岐阜県神岡町にあるニュートリノ検出装置であり、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士をセンター長として運用されていました。

そして、カミオカンデで太陽ニュートリノの観測が開始されたわずか1ヶ月後の、1987年2月23日、超新星から放出されたニュートリノが、世界で初めて観測されました!

私たちの銀河系から16万光年離れた超新星1987Aからやって来たニュートリノを捕まえることに成功したようです。

私たちの銀河系から16万光年離れた大マゼラン星に出現した超新星からは、太陽が約100億年(一生)かけて放出する分の約100倍のエネルギーが、約10秒という短い間に大量のニュートリノとして放出されたようです。

この時の超新星爆発では、10兆個を超えるニュートリノが、地球や私たちの体を通り抜けて、宇宙に飛び去ったと考えられているようです。

そして、ここから「ニュートリノ天文学」という新しい学問が始まったのだそうです。

2002年に小柴昌俊博士がノーベル物理学賞を受賞されたのは、「ニュートリノ天文学」という新しい研究分野を開いたことが高く評価されて決まったものだと言われています。

また、現在ニュートリノの研究は、1996年に出来たスーパーカミオカンデで続けられています。

 

1998年、ニュートリノに質量があることをスーパーカミオカンデグループが発見

1996年、4年以上の歳月をかけて、世界最大、世界最高精度のニュートリノ観測装置スーパーカミオカンデが完成しました。 そしてニュートリノ研究の新世代が始まったのです。

そして、その2年後の1998年、スーパーカミオカンデグループは、ニュートリノに重さがある、ということを世界で初めて、発見しました。

それは、素粒子物理学上の基本的な理論の見直しを迫る、たいへん重要な発見だったと言います。

ニュートリノに重さ、即ち、質量があるということの発見は、ニュートリノ振動を発見したことからきているようです。

 

ニュートリノに質量があることはニュートリノ振動を発見したことからつながっている

ニュートリノは、「粒子」であると同時に「波」としての性質を持つそうですが、ニュートリノが質量を持ち、かつ、ゼロではないニュートリノ混合があるときに起こる現象として、ニュートリノ振動と呼ばれるものがあるそうです。

このニュートリノ振動は、1998年にスーパーカミオカンデにおける実験で発見されたそうですが、ニュートリノ振動の発見により、ニュートリノがわずかながら質量を持つことが証明されました。

それまではニュートリノの質量は0だと考えられていたので、その発見は素粒子の枠組みを説明する「素粒子標準理論」に見直しを迫る、画期的な結果だったようです。

そして、このことが、今年2015年10月月6日、東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授が、ノーベル物理学賞を受賞されたことにつながったとされています。

そして、スーパーカミオカンデでは、宇宙が誕生してから1分後の様子が分かるようなニュートリノの観測も行われているようです。

 

宇宙の始まりから飛んでくる粒子、ビッグバンの名残のニュートリノも観測中

ビッグバンの直後の宇宙がまだ小さかった頃、宇宙は粒子と光がぶつかり合うスープのような状態で、光は直進することができませんでした。

しかし、ニュートリノは宇宙誕生直後から、自由に宇宙空間を飛び回っていたようです。

そこで、このビッグバンの名残のニュートリノ、宇宙の始まりから飛んでくるニュートリノが観測できれば、宇宙が誕生して1分後の様子が分かると考えられているそうです。

ぜひ、日本が誇るスーパーカミオカンデで、ビッグバンの名残のニュートリノ、宇宙の始まりから飛んでくるニュートリノの観測に成功することを期待したいと思います!

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ