[記事公開日]2016/01/23
[最終更新日]2016/04/09

宇宙に存在する4つの力を一つにまとめる挑戦としての「超大統一理論」は未完成

宇宙に存在する4つの力は重力・電磁力・強い力・弱い力

宇宙には4つの力が働いており、4つの力が存在するとされています。

相対性理論や量子論によると、ビッグバン以降の宇宙の構造には次の4つの力が関係しているといいます。

4つの力とは、重力・電磁力・強い力・弱い力になります。

☆宇宙に存在する4つの力

★重力
質量を持つ全ての物質に働く力で、その強さは距離の2乗に反比例します。
媒介粒子はグラビトンになります。

★電磁力

原子どうしを結び付けて分子を作ったり、原子核と電子を結び付けて原子を作る力です。
媒介粒子はフォトン(光子)になります。

★強い力
クオークどうしを結び付け、陽子や中性子を作るのが強い力です。
その強い力を媒介するのがグルオン粒子になります。

★弱い力
中性子、原子核のベータ崩壊を起こす力です。
この力の媒介粒子はウィークボソンと呼ばれています。

自然界に4つの力が存在することが明らかになると、物理学者たちはその一元化を探求し始めたといいます。

 

統一理論とは4つの力を1つの原理で説明しようとする試み

自然界に4つの力が存在することが明らかになると、物理学者たちはその一元化を探求し始め、統一理論の構築へ向かっていくようになります。

物理学には、なるべく少ない原理や法則でなるべく多くの現象を説明しようとする傾向があるといいますが、1つの理論で各種の多様かつ複雑な物理現象を鮮やかに説明できるような「エレガント」な理論を求める物理学者たちが、4つの力は元々は1つで、それが何かしらの理由で4つに分かれたのではないかと考えたようです。

それ以降、物理学者たちは、宇宙に存在する4つの力(重力・電磁力・強い力・弱い力)の統一、いわゆる、「統一理論」の構築においてしのぎを削るようになっていったといいます。

宇宙に存在する4つの力(重力・電磁力・強い力・弱い力)を最終的に1つの原理に統一して説明することができれば、それがベストだといえます。

ただ、別々のものに見える4つの力を最終的に1つの原理に統一するということは、いきなりは難しいことです。

そこで、当然考えられたのが、4つの力のうち、統一しやすいものだけでも取り敢えず1つにまとめてしまおうという方向だったようです。

そして、電磁力と弱い力を統一する「電弱統一理論」は、「ワインバーグ=サラム理論」として完成されているといいます。

 

「ワインバーグ=サラム理論」は電磁力と弱い力を統一する「電弱統一理論」

1967年、アメリカのスティーブン・ワインバーグとパキスタンのアブダス・サラムは、電磁力と弱い力の2つの力を統一する「電弱統一理論」を完成させ、「ワインバーグ=サラム理論」として世に真価を問いました。

★「ワインバーグ=サラム理論」は「電弱統一理論」

素粒子間に働く力は、特殊相対性理論を基礎にした場の理論(物体の運動をその周辺空間の特性から説明する理論)の一種「ゲージ理論」で説明されますが、ワインバーグとサラムは、「ゲージ理論」を一段と発展させることを思いついたようです。

彼らは、力を媒介する「ゲージ粒子」は、エネルギーが低い時には異なったものとして存在し、異なった様相を見せているけれども、エネルギーが高くなるにつれて同じ性質を示すようになると考えたようです。

異なって見えるゲージ粒子も高エネルギー下では個別差がなくなって同じ様相を示し、その結果、力の強さや到達距離も同じになると推定したようです。

低エネルギーではゲージ粒子のウィークボソンとフォトン(光子)とは性質が異なっているために、それぞれの粒子が媒介する「弱い力」と「電磁力」とは強さも到達距離も異なって見えます。

しかし、高エネルギーになると、ウィークボソンとフォトンとの区別がつかなくなり、その結果、2つの力も同じもの、すなわち、統一されて「電弱合一力」になるだろうと予言したのだといいます。

彼らの予言は、1983年ヨーロッパ合同原子核研究機構の加速器でW粒子とZ粒子が発見されたことによって証明されました。

その際の1000兆度Kという高温は、現在の地球と大陽間の距離にほぼ等しい1億5000万kmの直径を持つ頃の宇宙の温度に相当しているそうですが、それは、ビッグバンからわずか100億分の1秒後の宇宙だといいます。

「ワインバーグ=サラム理論」によると、今からはるか昔宇宙の温度が1000兆度以上だった頃、弱い力を伝えるウィークボソンの質量は0(ゼロ)で、電磁気力を伝える光子との区別がつかなかったといいます。

つまり、弱い力と電磁気力の区別が付かなかったということになるようです。

「ワインバーグ=サラム理論」によって、「電弱統一理論」が一応完成すると、続いて、電磁力、弱い力、強い力の3力を統一しようという動きが起こったようです。

それが、「大統一理論」と呼ばれるものになります。

 

「電弱統一理論」から「大統一理論」(GUT)へ

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「ワインバーグ=サラム理論」によって、「電弱統一理論」が一応完成すると、続いて、電磁力、弱い力、強い力の3力を統一しようという動きが起こり、「大統一理論」を目指すようになりました。

1974年、シェルドン・グラショーらによって、電磁力、弱い力、強い力の3力を同じ力の3側面とみなす「大統一理論」が提唱されましたが、この理論は略してGUTとも呼ばれています。

電磁力、弱い力、強い力の3力が統一される段階では、当然、フォトン、ウィークボソン、グルオンという3種のゲージ粒子は融合、一体化した状態(X粒子)になっていると考えられます。

そして、ゲージ粒子が1つになってしまうということは、このレベルではクオークが電子やニュートリノなどのレプトンに変化し、逆に、レプトンがクオークに変化することも可能なことを意味しているということであり、要するに、クオークとレプトンの明確な区別がなくなってしまうということになります。

「大統一理論」は、これまで絶対安定とみなされてきた陽子のような素粒子も崩壊を起こし、フォトン(光子)やニュートリノ、電子などに変わると予言します。

ただ、陽子崩壊が起こる確率は、仮に陽子が1000×1000兆×1000兆個あったとしても、年平均でその中の1個が崩壊を起こす程度の低さであるといいます。

「大統一理論」には 幾つかのモデルが作られていますが、今のところは未完成の理論だといいます。

そして、電磁力、弱い力、強い力の3力を統一する「大統一理論」を超えて、電磁力、弱い力、強い力、重力の4力を一つの理論で説明しようとするのが「超大統一理論」だといいます。

 

「超大統一理論」は電磁力・弱い力・強い力・重力の4力を統一する理論

「電弱統一理論」と違って、「大統一理論」の検証をサイクロトロンの力を借りて人工的に行うことは不可能に近いようです。

「大統一理論」が成り立つとされるのは、1000兆度Kのさらに10兆倍という超高温、超高エネルギーの世界のことであり、そのようなエネルギーを生むサイクロトロンを現実に作ろうとすれば、理論上、太陽系と同じくらいの大きさになってしまうといいます。

そのため、「大統一理論」の正しさを実証する研究は今、困難かつ絶望的な壁に突き当たっているようです。

しかし、その一方で、宇宙創成の核心に肉迫するためには、宇宙に存在する電磁力、弱い力、強い力、重力の4力を1つの理論で説明し尽くさなければなりません。

「統一理論」においては、ビッグバン直後は1つであった力が宇宙の膨張によって温度が低下するにつれて分化したと考え、最初に重力が分化し、次に強い力が分化し、最後に弱い力と電磁力が分化したと考えるようです。

自然界に存在する4つの力を1つの理論で説明し尽くさなければ、ビッグバン以前の宇宙創成の核心に迫ることは出来ません。

宇宙に存在する電磁力、弱い力、強い力、重力の4力を統一しようとする理論は、「大統一理論」を超えるという意味を込めて、「超大統一理論」と呼ばれますが、まだ未完成の理論になります。

「超大統一理論」の完成には、一般相対性理論と量子力学の融合、すなわち、量子の働く場と重力の働く場とを統合する必要があるために、「量子重力論」とも呼ばれます。

ただ、水と油の一般相対性理論と量子論を融合させることは予想以上に困難な上、実験的にそれを検証することは初めから不可能な世界なので、物理学者たちにとって困難を極める挑戦のようです。

 

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