[記事公開日]2015/12/18
[最終更新日]2016/04/09

宇宙エレベーターは軌道エレベーターとも呼ばれロケットより安全に低コストで物資を輸送

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)とは

宇宙ロケットが次々と開発される一方で、ロケットを使わずに人や物資をもっと安全に安く輸送しようという壮大な計画があります。

それが、宇宙エレベーター、または軌道エレベーターと呼ばれるものになります。

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)は、惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びる軌道を持つエレベーターのことであり、地上から静止軌道以上まで延びる塔、レール、ケーブルなどの構造物に沿って運搬機が上下することで宇宙と地球の間の物資を輸送できるようです。

そして、動力を直接ケーブル等に伝えることで、噴射剤の反動を利用するロケットよりも安全に、かつ遥かに低コストで宇宙に物資を送ることができるといいます。

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)を最初に構想したのは、ロケットを考案したロシアのツィオルコフスキーだといいますが、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)という構想は、どのような歴史を持っているのでしょうか?

 

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)構想の歴史

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)を最初に構想したのは、ロシアのコンスタンティン・ツィオルコフスキーだといわれています。

ツィオルコフスキーは、ロシアの科学者・ロケット研究者であり、ロケット理論や、宇宙服や宇宙遊泳、人工衛星、多段式ロケット、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)などの考案者としても知られています。

現代ロケット工学の基礎的理論を構築した業績により、「宇宙旅行の父」、「宇宙開発の父」、「ロケット工学の父」などとも呼ばれています。

ツィオルコフスキーは、赤道上から空に向かって塔を建てていくと、だんだん遠心力が強くなり、静止軌道で重力と遠心力が釣り合うと考えたそうです。

ツィオルコフスキーの死後1959年に刊行された著書の中で、赤道上から天に向って塔を建てていくと、次第に遠心力が強くなり、ある点(静止軌道半径)で遠心力と重力が釣り合うと述べているようです。

そして、同じ年の1959年、ユーリ・アルツターノフが、逆に静止軌道上からその上下にケーブルを伸ばす軌道エレベーターの構想(天のケーブルカー)を発表しました。

現在考えられている建造方法は、このアルツターノフが考えた方法で、静止軌道上の衛星からケーブルを少しずつ降ろし、重心がずれないように上方にもケーブルを伸ばすというものになります。

軌道エレベーターを構築する上で一番の問題は、静止軌道まで約36000kmも伸ばしたケーブルが自重によって切れてしまうのを防ぐことであり、遠心力と重力に引っ張られて強い力が加わるので、材料や構造などの問題で実現が難しいと言われていたようです。

1975年、ジェローム・ピアソンが、軌道エレベータの材料に関する研究を行った結果、一様な重力場で一様な太さのケーブルを4960km下に伸ばすまで切れない物質が必要なことがわかったとのことであり、現実の物質と比較してみると、実現が難しいような数値だったようです。

そのため、長い間、軌道エレベーターは空想上の素材や未来の工学として概念的なものとして扱われてきたといいます。

しかし、1982年に、破断長約1000km で、理論的にはテーパー構造の軌道エレベーターを建造できる強度のグラファイト・ウィスカーが発見され、さらには1991年に極めて高い強度を持つカーボンナノチューブが発見されたことにより、実用化可能と言われるようになったそうです。

1999年にNASA(アメリカ航空宇宙局)の二つのグループが初めて、続いて2000年に援助を受けた研究により元ロスアラモス国立研究所員のブラッドリー・C・エドワーズ博士がそれぞれ軌道エレベーターの理論的な実現性に関して報告しているようです。

カーボンナノチューブの発見後、現状の技術レベルでも手の届きそうな範囲にあるため、実現に向けた研究プロジェクトが日本やアメリカで始まっており、宇宙空間への進出手段として構想されているといいます。

 

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)はロケットより安全に低コストで物資を輸送できる

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気象衛星「ひまわり」のある静止軌道上にある静止衛星は、地球の自転と一緒に24時間で地球を一周する赤道上空の軌道に乗っているので、地上からは止まっているように見えます。

気象衛星「ひまわり」のある静止軌道と地球の間にエレベーターを建設しようという宇宙エレベーター(軌道エレベーター)は、地球から3万6000km上空の静止軌道までケーブルを伸ばし、そこをリニアモーターカーなどの昇降機を走らせ、物や人を宇宙へ運ぼうという考え方になります。

現在のロケットを使った物資の輸送は、地球の重力に逆らって宇宙にまで飛び出すので、莫大な燃料がかかることになります。

また、莫大な燃料がかかるだけではなく、燃料が有害物質であったり、燃焼するときに有害なガスを発生するなど、地球環境を汚染しています。

これに対して、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)は、電気を動力とするので環境を汚さず、ロケットよりも安全に、低コストで物資を輸送することができるといいます。

このため、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)の実現に向けた動きが、アメリカだけではなく、日本などにおいても、行われています。

 

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)実現に向けた動き

全米宇宙協会などは、1メートル幅のカーボンナノチューブでできたリボンを、赤道上の海上プラットフォーム上から10万キロ上空まで伸ばすプロジェクトを進めており、当初は、2018年4月12日の開通を予定していたようです。

しかし現在は2031年10月27日の開通を目指しているとのことですので、当初予定より遅れてはいるものの、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)実現に向けて、着実に歩みを進めているようです。

また、カナダの宇宙開発企業「ThothTechnology」社が、空気注入式のセグメントを組み立ててつくる宇宙エレベーターの米国特許を取得したそうです。

この宇宙エレベーターは、「ThothXTower」という名前で、高さ約20kmの成層圏からロケットを発着させるという大胆なアイデアだといいます。

「ThothXTower」という宇宙エレベーターが実際に建設されると、地上から約20kmの高さまでそびえ立つことになります。

現在世界で最も高いビルは、ドバイの「ブルジュ・ハリファ」であり、最頂部で828.9mの高さですから、世界一高いビルの20倍以上の高さの宇宙エレベーターがそびえ立つことになります。

静止軌道の3万6000キロには遠く及ばないものの、成層圏には十分に達することになります。

カナダの宇宙開発企業「ThothTechnology」社によると、宇宙飛行士たちは、電動エレベーターで地上20㎞の高さまで上がり、タワーの頂上から発進する宇宙往還機で、多段式ロケットを必要とせずに軌道に乗ることになるそうです。

そして、給油や再飛行のときには、タワーの頂上に帰ってくることになるといいます。

同社の試算では、この宇宙エレベーター(軌道エレベーター)によって、宇宙船の打ち上げ費用を燃料費だけでも30パーセントほど節減できるだけでなく、一部の人工衛星の機能を肩代わりすることも期待できるようです。

また、日本においても、2012年2月には、大林組が建設の視点から、宇宙エレベーター(軌道エレベーター)の可能性を探る構想を広報誌『季刊大林』に載せ、2050年の実現を目指すと報道されていますので、実現に向けた着実な歩みを期待したいところです。

 

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