[記事公開日]2015/12/25
[最終更新日]2016/04/09

宇宙の始まりの超ミクロの素粒子の世界を解明する試みとして大型加速器で原始宇宙を再現

巨大な宇宙とミクロの世界(小さな素粒子)の深い関係

宇宙は広大であり、とてつもなく大きいと言えます。

今現在の科学では、宇宙は約137~138億年前に誕生したと考えられているようです。

ですから、137~138億光年というのが、人類が宇宙から集めることのできる情報の範囲であり、言わば宇宙の地平線の大きさだと言えます。

137~138億光年という宇宙の地平線の大きさがどれくらいなのかをイメージするために、地球と太陽との距離を参考にすると良いかも知れません。

1光年というのは、光が1年間に進む距離のことであり、光速は約30万キロメートル毎秒ですので、60秒で1分、60分で1時間、24時間で1日、365日で1年ですので、だいたい10兆キロメートルにもなるようです。

1光年は、約10兆キロメートルですので、今現在考えられている宇宙の大きさは、そのさらに137~138億倍という、気の遠くなるような大きさになります。

宇宙の地平線の大きさをイメージする為に、地球と太陽との距離をものさしとして使うと、その広大さが少しイメージできます。

地球と太陽との距離は、約1億5000万キロメートルで、それを「1天文単位」と呼ぶそうです。

1光年は、地球と太陽との距離(1天文単位)の6万3240倍にもなります!

そして、さらにそれを137~138億倍した距離が、宇宙の地平線の大きさだということになります!

気の遠くなるような広大な宇宙が膨張を続けて今のような形になる前は、137~138億年前に遡ると、宇宙の大きさはほとんどゼロだったと考えられているようです。

そして、宇宙の始まりについては諸説ありますが、例えば、ある説では、10のマイナス33乗センチメートル程度だったと考える人もいるようです。

この大きさは「プランク長さ」と呼ばれていますが、水素原子の大きさがだいたい10のマイナス8乗センチ程度で、原子核の大きさも10のマイナス11乗程度なので、「プランク長さ」がいかに小さいかが想像できます。

そして、現在の技術水準で実験的に測定できるのは、ほぼ10のマイナス17乗センチメートル程度だといいます。

宇宙の始まりを解明する為には、超ミクロの世界も関係してきます。

宇宙論の中には、「超ひも理論」や「量子重力論」という仮説的な理論もありますが、「超ひも理論」で唱える超ひもの大きさは、だいたい「プランク長さ」くらいだと考えられているようですので、超ミクロの世界を抜きにしては宇宙の始まり・誕生を解明することはできないようです。

宇宙の始まりは超ミクロの世界ということになるようですが、ではどうやってミクロ状態の宇宙を解明していくのか、という問題が出てきます。

結論から言うと、理論的には答えはとてもシンプルであり、宇宙の初期状態を人為的に作り直せば良いということになるそうです。

もっとも現時点ではその試みはまだ始まったばかりのようですが、そこで登場するのが、大型加速器になります。

 

大型加速器で原始宇宙のミクロの世界を再現する

宇宙の始まりの超ミクロの世界を解明する為には、宇宙の初期状態を人為的に作り直せば良いということになり、その試みはまだ始まったばかりですが、この分野で主役になるのが、大型加速器になるようです。

加速器は1929年にアーネスト・ローレンスにより発明された機械です。

アーネスト・ローレンスは、アメリカの実験物理学者であり、1939年にサイクロトロンの開発および人口放射性元素の研究でノーベル物理学賞を受賞しています。

また、超ウラン元素ローレンシウム(原子番号103)はローレンスの名にちなんで付けられたといいます。

加速器とはどのようなものなのか、加速器の原理と種類についてみてみたいと思います。

★加速器の原理

加速器の原理は簡単であり、円形のトンネルの中で電子や陽子といった電荷を持つ素粒子を電場により加速してやるのだといいます。

加速器の原理はリニアモーターカーと同じ原理だそうです。

ただし、速度が大きくなると電子や陽子の軌道半径も大きくなってしまうので、それを防いで同じトンネル内に留める為に、上下方向に磁場をかけてやるのだといいます。

つまり、電場で加速して磁場で粒子線の軌道半径を一定に保つのだそうです。

粒子に運動エネルギ-を与えて、速度を上げる為の装置が加速器というものであり、粒子を光の速度近くまで加速して、高いエネルギー状態にするのが高エネルギー加速器になります。

そして、粒子の加速には電場を用い、電荷をもった粒子は電場の中で、エネルギーをもらいながら速度が高くなるということになります。

この加速器の原型はサイクロトロンと呼ばれており、アーネスト・ローレンスが開発したものになります。

マイナスの電荷を持つ電子とプラスの電荷を持つ陽電子とは電場により反対方向に動かされるので、円形のトンネルをグルグルと廻りながら加速されていき、最後には正面衝突させられることになります。

加速器の原型であるサイクロトロン以外にも、加速電圧のかけ方と粒子ビームの扱いによって、次のような代表的な加速器の種類があるようです。

★加速器の種類(加速粒子)、加速電場、ビーム軌道

☆コッククロフト・ウオルトン型加速器(陽子、イオン)・・・静電場、ビーム軌道は直線

☆バンデグラーフ型加速器(陽子、イオン)・・・静電場、ビーム軌道は直線

☆サイクロトロン(陽子、イオン)・・・高周波、ビーム軌道は螺旋(らせん)

☆ベータトロン(電子)・・・高周波、ビーム軌道は円

☆シンクロトロン(電子、陽子、イオン)・・・高周波、ビーム軌道は円

☆線形加速器(電子、陽子)・・・高周波、ビーム軌道は直線

さらに、加速したビームをどのように使うかということから、リングの中で電子ビームを蓄積して出てくる光を実験に使う放射光実験用加速器とか、粒子同士を正面衝突させる衝突ビーム型加速器(コライダー)などがあるといいます。

そして、世界最大の大型粒子加速器は、ヨーロッパ素粒子共同研究所(CERN)が管理する大型ハドロン衝突器(LHC)であり、スイスのジュネーブ郊外にあります。

 

世界最大の大型粒子加速器はヨーロッパ素粒子共同研究所(CERN)の大型ハドロン衝突器(LHC)

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量子論では、素粒子は生成したり消滅したりするので、電子と陽電子は消滅して、すぐに(衝突エネルギーに見合った)全く別の素粒子が生成されますので、そうやって物質の性質を研究することになります。

初期の加速器は、かなり規模が小さかったようですが、エネルギーが大きくなるにしたがって加速器の直径も大きくなり続けてきています。

現在、世界最大の大型粒子加速器は、スイスのジュネーブ郊外にありますが、なんと直径8.5km(円周27km)で、地下100メートル地点にトンネルがあるそうです。

この世界最大の衝突型円型加速器は、高エネルギー物理実験を目的としてヨーロッパ素粒子共同研究所(CERN)が建設したものであり、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)と呼ばれています。

スイス・ジュネーブ郊外にフランスとの国境をまたいで設置されています。

2008年9月10日に稼働を開始しており、2013年2月からの2年間に亘る改良工事を終えて、2015年4月5日からは以前に比べて約2倍の13兆ボルト(13TeV)の高速エネルギーを備えて運転を再開しています。

宇宙初期の超ミクロの世界の高エネルギー状態のシュミレーションに素粒子加速器は欠かせませんが、エネルギーが高くなるにつれて直径が大きくなるのでは、いつか建設の限界がきてしまいます。

そこで、最近では、単純な電場ではなく、サーフィンの原理を応用した「波乗り型」の加速器が検討されているようです。

 

高速加速器で宇宙の始まりの高エネルギー状態を再現できるかも知れない

宇宙の始まりを解明する為の試みとして、高速加速器を使った実験が行われている訳ですが、いったい何故、高エネルギー加速器が宇宙論と関係してくるのでしょうか?

実は、宇宙が誕生して間もない頃、宇宙は熱い溶鉱炉のような状態であり、宇宙全体が高エネルギー状態にあったと考えられているようです。

今現在の私たちの科学技術・テクノロジーでは、宇宙そのものを創り出すことはできませんが、その一部を再現することは可能であり、それが素粒子高速加速器における衝突実験だということのようです。

現在、宇宙の質量の大部分を占めるとされているダークマターの正体は不明ですが、もしかしたら、素粒子高速加速器の実験によって、新しい素粒子が検出できるかも知れないという期待も寄せられています。

そして、1つ注目すべき点としてあげられるのが、既存の素粒子と「対」をなすのではないかと考えられている「超対称性粒子」と呼ばれる素粒子の存在だといいます。

現在、世界の素粒子高速加速器において、「超対称性粒子」の探索が続けられているといいますから、今後の新しい発見を期待したいところです。

 

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