[記事公開日]2015/12/07
[最終更新日]2016/04/09

宇宙食で飛行士が栄養や食事を安全に摂れるようにNASAはハサップ(HACCP)を考案

宇宙食とは何か?

宇宙食とは、何でしょうか?

宇宙食とは、宇宙において食事が出来るように作られている食品のことを言いますが、主に国際宇宙ステーション(ISS)など宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物のことを言います。

最初に宇宙食を食べたのは、1961年に人類で初めて宇宙飛行をした旧ソ連のユーリ・ガガーリンだそうです。

この時は、わずか1時間48分の飛行で、空腹を満たすというよりは、宇宙で人がものを食べたらどうなるのか、きちんと胃まで届くのか、ということを確かめるための実験でもあったようです。

宇宙食は、主に宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物ですので、概ね無重力状態にある宇宙船の居住スペースが狭く、設備的にも限られることから、これを有効活用する上で様々な工夫が凝らされてきたようです。

そして、宇宙食が満たすべき要素というものが、色々あるようです。

 

宇宙食が満たすべき要素とは?

宇宙食は、主に無重力状態にあり、居住スペースが狭く設備的にも限られた宇宙船の中で、宇宙飛行士が食べる食事になりますので、宇宙食が満たすべき要素が色々とあるようです。

宇宙食が満たすべき要素は大きく分けると次の通りになるようです。

★長期保存が可能であること

宇宙空間での物資補給は不可能であるか、または、限られた回数しか行えないため、長期保存が可能な食事が必要となります。

★できるだけ軽量であること

宇宙船の積載貨物の重量は限られているため、できるだけ軽量であることが望まれます。

また、スペースシャトルなど宇宙への輸送コストは、大変な金額が掛かるそうなので、輸送コストを下げるためにも、軽量性が重視される一因となっているようです。

スペースシャトルでは燃料電池を用いており発電の際に副生成物として水が発生することから、この水を加温して調理に用いるのが最も効率的だったようです。

そのため加水調理に適しており保存性・栄養・食感の面でも優れたフリーズドライ食品は、多くの宇宙食に採用されているようです。

そして、フリーズドライなどの技術は民生技術としてインスタント食品に広く用いられるようになったそうです!

★強い臭気を伴わないこと

宇宙船内は密閉されており、換気が出来ないだけではなく、脱臭装置の能力にも限界があるため、強い臭気を伴わない食事が必要となるようです。

臭気については、魚などは今も嫌忌される傾向にあるようです。

★飛散しない

宇宙船内では、周りがミッション達成や生命維持に必須の精密機器だらけです。
このため、砕けたり、汁が飛ぶようなものは、これらの精密機器にトラブルが生じたり、後片付けが大変になる恐れがあります。

それを防止するためには、飛散しない食事が必須となるようです。

水分の多い料理は粘り気を持たせて飛び散らないようになっており、またスープやジュースはパックからストローで直接飲むようになっているそうです。

★栄養価が優れていること

宇宙食のみを飲食することになるため、栄養のバランスには細心の注意が払われるようです。
また狭い宇宙船内で心理的なストレスを被らないよう、デザート等の娯楽要素も宇宙食には求められるようです。

★温度変化や衝撃に耐えること

★特別な調理器具を必要としないこと

現在では宇宙船内で電気オーブンレンジが利用できるため、レトルト食品等はこれを使って温めることができるようです。
しかし、電子レンジは缶詰やアルミ包装のレトルト食品に使用できないほか、電磁波の各種機器への影響も懸念されるため、採用されていないとのことです。

 

宇宙食の歴史と変遷

初期の宇宙食は喉に食べ物がつまるのではないかとの不安から、チューブに入ったものやトレイに充填されたペースト状のものが多く、離乳食に近いものでもあったため、宇宙飛行士からの評判も悪かったようです。

初期の宇宙食と言えば、一口サイズの固形食やクリーム状、あるいはゼリー状の食べ物が中心でした。

しかし、その後、人間は無重力状態でも問題なく食べ物を飲み込め、消化出来ることが分かり、現在の宇宙食は種類も豊富になり、その種類も千種類ほどもあるそうです。

現在は、ボイルしたロブスターや、フライドチキン、シュリンプカクテルといった、バラエティーに富む数百種類もの宇宙食が用意されており、その中からあらかじめ試食して選ぶことができるようにもなっているようです。

宇宙食の歴史と変遷は、だいたい次のようになります。

★マーキュリー時代の宇宙食(1962~1963年)

初期のマーキュリー時代には、宇宙食は一口サイズの固形食やクリーム状、あるいはゼリー状の食べ物でした。

宇宙飛行士たちは、一口サイズの固形食や練り歯磨きのチューブに似た容器の先にストロー状のパイプを付けたものを使用して、クリーム状、ゼリー状の食べ物を摂取していたそうです。

この頃の宇宙食はチューブ式の離乳食のようなものですから、宇宙飛行士たちには評判が良くなかったようです。

★ジェミニ時代の宇宙食(1963~1968年)

初期のマーキュリー時代に不評だったチューブ式の宇宙食はなくなりました。

そして、一口サイズの食品、中程度の水分を含んだ物、そして乾燥食品が使われるようになったようで、牛肉やビーフサンドなども登場するようになりました。

この時代には、包装を開くためのはさみや乾燥食品に水を加えるためのウォーターガンなどの器具が登場したそうです。

★アポロ時代の宇宙食(1969~1972年)

お湯が使えるようになったり、食品を水で戻して通常のスプーンで食事ができるようにもなり、食事のメニューも増えたようです。

当時の宇宙飛行士に必要なカロリーは、1日1人あたり2800kcalで、初期の頃のチューブ入りの宇宙食では一日分で重量2kgもあったものが、600gと約3分の1の重量になったそうです。

★スカイラブ時代の宇宙食(1973~1974年)

約半数は、まだ水で戻す方式の加水食品でしたが、残りの半数は、地上の食事に近いもの(温度安定化食品、自然のままの食品、あらかじめ料理された凍結された食品)になったようです。

容器はフタ付きのアルミ缶になり、加熱用のトレーの上にのせて暖めました。

また、スカイラブには冷凍冷蔵庫やダイニングテーブルがあり、ナイフ、フォーク、スプーンを使うようになって食事環境はかなり向上したそうです。

また、この頃には、生医学実験なども行われたため、食事内容も綿密にコントロールされていたようです。

★現在の宇宙食

現在ではより地上の食事に近いものとなり、メニューの種類もさらに増えているようです。

一般に売られている食品をそのまま利用するものや、温度安定化食品(レトルト食品)加水食品(スープ、ライス、スクランブルエッグなどのフリーズドライ食品)、半乾燥食品(乾燥フルーツ、乾燥肉など)、自然形態食(ナッツやクッキーなど)、新鮮食品(リンゴ、オレンジ、バナナ、ニンジン、セロリ、ロールパンなどの新鮮な果物や野菜)など、100種類以上のメニューがあるそうです。

スペースシャトルの宇宙食はプラスチックの容器に入っており、水やお湯を加えて元に戻すもの、オーブンで加熱することができるものなどがあったようです。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙食のメニューは、スペースシャトルなどの短期ミッションでのメニューの他に、国際宇宙ステーション(ISS)用の長期ミッションでのメニューとに分かれているようです。

そして、短期ミッション用と長期ミッション用のそれぞれにおいて、180種類以上の食品がメニューに載っているそうです。

また、ロシアの宇宙食のメニューも100種類以上あって、ボルシチなどのロシア名物料理もメニューに含まれていますが、NASAの宇宙食と比べて缶詰食品が多いとも言われています。

また、決められたメニュー以外にも、専門家のチェックを受け、条件を満たせば、市販品や既存の食べ物を持ち込むことも可能だと言います。

日本人の宇宙飛行士が持ち込んだ宇宙食では、スペースシャトルに搭乗した若田光一氏が持っていったカレーライスや、土井隆雄氏の日の丸弁当などが有名です。

また、宇宙飛行士が宇宙で食中毒になったりしたら大変なので、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、食品の安全性を確保する方法として、ハサップ(HACCP)を考案しました。

 

NASA(アメリカ航空宇宙局)は食品の安全性を確保する方法として、ハサップ(HACCP)を考案

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宇宙飛行士が宇宙で食中毒になったりしたら大変なことになります。

そこで、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、食品の安全性を確保する方法として、ハサップ(HACCP)を考案したようです。

ハサップ(HACCP)は、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード;Hazard)を分析しそれを最も効率よく管理できる部分(CCP;必須管理点)を連続的に管理して安全を確保する管理手法だと言います。

これは、最終的な製品の検査で安全性を保証するのではなく、製造の重要な工程を連続的に管理することによって、製品の安全を保証しようとする衛生管理の手法になります。

調理過程のどこで食中毒菌による汚染、増殖が起こるかなどを調べる「危険の分析」を行い、それを防ぐにはどういう手段があるかを考えるものとなります。

また、注意を払うべきポイントを「重要管理点」と呼び、正しい調理法が守られていることを常にチェックしています。

この手法は、アメリカやヨーロッパはもちろんのこと、日本においても導入され、施行されています。

日本では1996年5月から、食品衛生法において導入、施工されており、厚生労働省が「危険分析重要管理点」と訳していますが、海外の事情に詳しい専門家は「危害要因分析(に基づく)必須管理点」と訳しているようです。

 

日本の食文化を取り入れた和食の宇宙食も楽しみ

宇宙食は、単に栄養を摂り、食欲を満たすためだけではなく、心理的なストレスを解消するための楽しい食事である必要性が重要視されているそうです。

国際宇宙ステーション(ISS)では、様々な国の様々なクルーが生活することから、各国の料理に関連した宇宙食が開発されており、各国の宇宙機関で開発した宇宙食が持ち込まれるようになったそうです。

日本人宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗する際には、日本食も搭載されることになります。

これまでに搭載された日本食には、たこ焼き、赤飯、味噌汁などの他、宇宙ラーメンとも呼ばれる「スペース・ラム」というインスタントラーメンもあります。

搭載される料理が、実際に公募で選ばれたこともあったそうです。

日本ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)が認証基準の制定と認証作業を行っており、2007年6月には第一回目の認証が行われたそうです。

これにより日本製宇宙食「宇宙日本食」はどのミッションでも供給出来ることとなり、今後は各国のバラエティ豊かな食事を宇宙でも楽しむことができるようになるようです。

今後、日本人宇宙飛行士が長く宇宙に滞在するようになれば、和食の宇宙食の開発もますます大切になってくると考えられます。

 

宇宙食を自給自足へ

今日の宇宙食は、地球上で作られた食材を地球上で加工し、それを宇宙船に積んで打ち上げています。

ただ、今後は、宇宙食を自給自足する必要も出てくるので、自給自足へ向けた試みも大切になります。

人類が長期間宇宙に滞在するようになれば、宇宙食は地球から運搬するのではなく、宇宙で自給自足する必要が出てきます。

そのため、宇宙空間で生物や植物を育てる試みは宇宙開発の初期から行われてきているようです。

いずれは、宇宙食を自給自足できるようになり、人類が長期間宇宙に滞在できる時代も来るものと思われます。

 

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