[記事公開日]2015/12/26
[最終更新日]2016/04/09

宇宙誕生38万年後の「銀河の種」をNASAの観測衛星COBEとWMAPが発見

宇宙誕生38万年後の「宇宙の晴れ上がり」とは

宇宙誕生38万年後は「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれています。

何故、このように呼ばれているかというと、この時初めて、光が直進できるようになったということであり、この時の光は「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)として、観測されています。

ビッグバン直後の宇宙は、「1兆度の1兆倍の1億倍」という想像を絶する高温状態だったようであり、陽子や中性子が誕生した頃には、約1兆倍まで下がっていたようです。

その後も宇宙はどんどん膨張していきますので、それにつれてその分温度は下がっていきます。

ビッグバンが起きてから3分くらい経つと、宇宙空間の温度は約10億度になり、陽子や中性子がくっついて原子核が形成されたようです。

ただ、この時に作られた原子核は、水素・ヘリウム・リチウムといった軽いものばかりだったようです。

ビッグバンからわずか3分くらいで、素粒子が生まれ、陽子や中性子ができ、それらが合体して原子核が誕生しました。

ここまでは、一気に進んだのですが、次の段階に行くまでにはしばらく時間が掛かり、約38万年の時間が掛かったようです。

というのも、ビッグバン発生時に比べると、宇宙はだんだん冷めてきましたが、まだまだ充分に高い状態だったので、光が真っ直ぐに直進することはできませんでした。

この頃の宇宙には、プラスの電気を持った原子核とマイナスの電気を持った電子が無数にありましたので、両者はお互いに引き合って、くっつこうとしますが、エネルギーが高すぎて、なかなかできません。

実はこの時、宇宙空間にはビッグバンの時に放射された光もたくさんありましたが、それらの光は電気を持った原子核や電子にあたって、真っ直ぐに進めなかったといいます。

光は真っ直ぐに進みたいのに、原子核や電子がジャマで真っ直ぐに直進できない状態が、約38万年続いたようです。

やがて、宇宙の温度が約3000度にまで下がってくると、ようやく原子核と電子がくっつき原子ができます。

そうなると光は遠くまで真っ直ぐに進み始め、直進できるようになったのですが、これが「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれるものになります。

ビッグバンから約38万年が経ち温度が約3000度まで下がった頃、宇宙の物質は原子(そのほとんどが水素原子)となり、物質は光の支配から解放され、光は物質と衝突することなく、宇宙を直進できるようになった訳です。

これが「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれるものになりますが、その光(電磁波)は宇宙膨張とともに波長が伸び、現在では「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)となっています。

「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた観測衛星COBEとWMAPによって観測されています。

 

「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)を観測したNASAの衛星COBEとWMAP

「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)は、1990年代と2000年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた観測衛星COBEとWMAPの二つの衛星によって観測されています。

COBEは1989年に、WMAPは2001年に打ち上げられ、それぞれ「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)を全天にわたって観測しました。

COBEは、「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)が絶対温度2.75度のプランク分布をしていることや、温度に10万分の1程度の揺らぎがあることを発見し、宇宙の初めに「インフレーション膨張」という急膨張が起きたことを強く示唆したようです。

また、WMAPは、温度揺らぎを精密に測定し、それによって宇宙の幾何学的性質や歴史に厳しい制限を付け、宇宙に暗黒エネルギーが存在することを強く示唆したようです。

NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた衛星COBEとWMAPの観測は、現代宇宙論を支える最も重要な観測の一つとなっているそうです。

「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)が存在し、それがプランク分布している筈であることは、ビッグバン理論が提案された1940年代後半には予想されていたようです。

超高温・超高密度状態では、電磁波は物質とエネルギーを頻繁にやり取りし、温度で決まる特徴的なスペクトル、すなわちプランク分布を示しますので、「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)のスペクトルがプランク分布であることを確かめれば、宇宙初期が超高温・超高密度状態であったことの証拠になるといいます。

COBEはまさにこれを確認するために打ち上げられ、見事にこれを証明したということになります。

さらに、COBEは、宇宙誕生38万年後の「銀河の種」を発見したようです!

 

COBEが発見した宇宙誕生38万年後の「銀河の種」

COBEは、温度に10万分の1程度の揺らぎがあることを発見した訳ですが、これは、宇宙が誕生して38万年後の時点で物質密度に10万分の1程度のでこぼこが存在することの証明ともなりました。

物質密度の高いところは重力が強く、そこから出てくる電磁波は重力に逆らってやって来るのでエネルギーが失われ、温度が低くなります。

また密度揺らぎの中心部分では物質が圧縮されて高温になっていますので、こうして温度に揺らぎ(平均からのずれ)があると、それは物質の密度のでこぼこの存在を意味することになります。

そして、物質密度のでこぼこは、現在の宇宙に存在する銀河など構造物の「種」であるということができます。

物質が周囲より密な地域では、重力が強いためにまわりの物質を引きつけて、密度がどんどん高くなり、ついには銀河にまで成長するといいますので、物質密度のでこぼこは、現在の宇宙に存在する銀河など構造物の「種」であったという訳なのです。

こうして、COBEは、宇宙誕生38万年後にあった「銀河の種」を発見したということになります!

ただ、COBEが発見した「銀河の種」だけでは銀河はできないようです。

 

COBEが発見した「銀河の種」だけでは密度揺らぎが小さすぎて銀河はできない

COBEは、宇宙誕生38万年後の「銀河の種」を発見した訳ですが、「銀河の種」だけではなかなか成長せず、銀河はできないそうです。

「宇宙の晴れ上がり」以前、電磁波と物質粒子は頻繁に衝突を繰り返していたので、密度揺らぎ(密度のでこぼこ)があっても、密度の高いところほど衝突が激しいので、揺らぎがすぐにならされてしまいます。

したがって、COBEが発見した「銀河の種」は、「宇宙の晴れ上がり」までは成長できていなかったようです。

では「宇宙の晴れ上がり」以後であれば、密度揺らぎがどんどん成長して銀河ができたかというと、そうではなく、宇宙が膨張すると物質密度が薄くなるので、密度揺らぎはゆっくりとしか成長できないといいます。

宇宙が10倍膨張すれば10倍に、100倍膨張すれば100倍に、という程度の成長であり、「宇宙の晴れ上がり」から現在までに宇宙は約1100倍に膨張したので、密度揺らぎも1100倍成長していることになります。

ただ、COBEが見つけた物質の密度揺らぎは10万分の1という微小なものだったので、成長したとしても100分の1程度にしかなっていない筈です。

ところが、現在の銀河の中の物質の平均密度は、宇宙全体の平均密度の優に100万倍を超えているので、これは矛盾だということになります。

別の言い方をするならば、宇宙誕生から38万年後の時点で10万分の1という小さな密度揺らぎしかなければ、それが1100倍に成長しても銀河はできないということになります。

そして、銀河を作った秘密は、「見えない種」にあり、それが、銀河の「種の種」である暗黒物質だといいます!

 

銀河を作った「見えない種」が暗黒物質であり、暗黒物質は銀河の「種の種」

COBEは、宇宙誕生38万年後の「銀河の種」を発見した訳ですが、「銀河の種」だけではなかなか成長せず、銀河はできないということであり、銀河を作った秘密は、「見えない種」にあるといいます。

銀河を作った「見えない種」が暗黒物質であり、暗黒物質は銀河の「種の種」になるようですが、次のように考えられています。

水素などの普通の物質は原子でできていますが、原子は正の電荷を持つ原子核と負の電荷を持つ電子からできています。

「宇宙の晴れ上がり」以前には、電荷を持つ原子核や電子が電磁波と衝突するため、密度揺らぎは成長できませんでした。

だが宇宙には電荷を持たず、電磁波と衝突しない別の物質も存在しており、それが暗黒物質になります。

暗黒物質に対して、原子からなる普通の物質をバリオン物質といいます。

暗黒物質に密度揺らぎがあっても、電磁波つまり「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)にほとんど影響を与えないので、COBEやWMAPでは発見できないということになります。

そして、「宇宙の晴れ上がり」の時点で暗黒物質の大きな密度揺らぎが存在し、それが「見えない種」になったと考えられているようです。

暗黒物質がある場合と無い場合で、密度揺らぎの成長の仕方を簡単に比較すると次のようになります。

★暗黒物質が無い場合

「宇宙の晴れ上がり」の時点では10万分の1の密度揺らぎしか存在しない。

したがって、そのまま宇宙が膨張した場合、現在の宇宙には100分の1程度の揺らぎしかできないので、「銀河の種」にはならない。

★暗黒物質がある場合

「宇宙の晴れ上がり」以前に暗黒物質の大きな密度揺らぎが作られていた。

それにより、暗黒物質の密度揺らぎの中でバリオン物質(普通の物質)の揺らぎが急激に成長して、「銀河の種」になった。

銀河を作った「見えない種」が暗黒物質であり、暗黒物質は銀河の「種の種」であるということになります!

そして、銀河を作った暗黒物質の塊のサイズは、様々であったようです。

 

銀河を作った暗黒物質の塊のサイズは様々

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「宇宙の晴れ上がり」時点には、暗黒物質の密度揺らぎがあった訳ですが、これは色々なサイズの暗黒物質の塊があったということであり、どんなサイズの塊がどのくらいあったのかは、暗黒物質の性質によっているといいます。

現在考えられている暗黒物質は、サイズが小さな塊ほどその数は多いという性質をもっているようです。

暗黒物質の塊の重力によってバリオン物質(普通の物質)が引き付けられ、塊の中心部に集まります。

高密度になったバリオン物質(普通の物質)が自分の重力でさらに成長して、最終的に銀河ができる訳ですが、それにはある程度以上の質量が必要だといいます。

暗黒物質のサイズが小さいと大量の物質を引き付けることができませんが、サイズの大きな暗黒物質は数が少ないので、結局、その中で銀河ができる暗黒物質の塊は、あまり大きくも小さくもないものであったであろうと考えられているようです。

理論的にはそうした暗黒物質の塊は、大きさが15光年程度、質量が太陽質量の100万倍程度だったと考えられています。

 

原始星から巨大な星が誕生し、銀河が形成されたのは、宇宙誕生から約3億年後

暗黒物質の塊の中心部に落ち込んだバリオン物質(普通の物質)の主成分は水素原子ですが、密度が高くなると水素原子同士が結合して水素分子を作ります。

圧縮されたバリオン物質(普通の物質)は小さな塊に分裂し、自分自身の重力によってさらに収縮して中心部の温度が上がりますが、そのまま高温状態が続くと熱の圧力によって収縮が妨げられてしまいます。

しかしこの場合は水素分子が高いエネルギー状態(振動や回転)になり、その状態から低いエネルギー状態に移ることによってエネルギーを効率的に逃がし、急激な温度上昇を抑えて、収縮が引き続いて起こります。

こうして最初は小さな質量の原始星ができることになります。

そして、そこに莫大な質量が落ち込み、最終的に太陽質量の100倍程度の星ができるといいます。

こうして暗黒物質の塊の中に巨大質量の星の集団ができたのが、宇宙誕生から約3億年後のこととされており、これが銀河形成の第一歩ということになります。

この最初の星は「種族Ⅲ」の星と呼ばれていますが、その後に生まれた星とはだいぶ違っているといいます。

太陽のような年齢100億年程度以下の比較的若い星を「種族Ⅰ」の星、年齢100億年程度以上の古い星を「種族Ⅱ」の星と呼ぶようです。

そして、最初の星である「種族Ⅲ」の星は、太陽の100倍程度の大きさを持ち、非常に明るく輝く星であり、水素とヘリウム、そしてごくわずかの軽元素しか含まない「きれいな」星だと言われています。

 

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