[記事公開日]2016/04/06

X線観測衛星「ひとみ」が通信途絶から復活できるかは太陽光発電の電力回復が鍵

             天体観測衛星「ひとみ」

3月26日に通信が途絶したX線観測衛星「ひとみ」

『X線観測衛星「ひとみ」は地球を回る軌道からの電波が通信不能でトラブルや分解した可能性』、こちらの記事の中でも書きましたが、地球を回る軌道に投入された天体観測衛星「ひとみ」が、3月26日の午後4時40分頃から地上側との通信が途絶えたままになっています。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は対策本部を設け、およそ40人の態勢で原因の究明と復旧にあたっていますが、依然として通信は途絶えたままであり、原因もはっきりと突き止められた訳ではなく、復旧のめども立っていないとのことなので、気がかりなところです。

X線観測衛星「ひとみ」は、ブラックホールなど宇宙の謎に迫ろうと、今年2月に打ち上げられた、日本の天体観測衛星です。

天体観測衛星「ひとみ」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、NASA(アメリカ航空宇宙局)などの協力を得て、およそ310億円をかけて開発した、日本が世界に誇る「宇宙の天文台」であり、その名前が示すとおり、「宇宙を見る新しい目」として、世界の天文学者から大きな期待が寄せられていました。

X線観測衛星「ひとみ」は、地球上では大気に吸収されて観測できない「X線」を、これまでの衛星よりもおよそ100倍の感度で捉えることができると言います。

ブラックホールや、超新星爆発を起こした星など、宇宙空間で起きている様々な天体現象からは、強い「X線」が放出されていますが、それを観測できれば宇宙の謎に迫ることができると考えられています。

X線観測衛星としては、世界でも、「ひとみ」ほどの高い能力を持つ衛星は他になく、世界の天文学者から大きな期待が寄せられていますので、「ひとみ」の状態が気になるところです。

衛星「ひとみ」は、今年5月から本格観測を行う予定でしたが、通信が途絶えたままになっており、JAXAをはじめ、世界中の関係者や多くの人びとが、その状態を心配しています。

衛星「ひとみ」は、今どのような状態に陥っているのでしょうか?

 

通信が途絶しているX線観測衛星「ひとみ」の状態は?

衛星「ひとみ」からの通信が途絶えた頃、アメリカの宇宙機関からは、「ひとみ」の周辺で複数の物体を確認したという情報が寄せられており、JAXAは、今回の「ひとみ」のトラブルと何らかの関連があるとみて調べていました。

衛星「ひとみ」からの通信が途絶えた後、地上からさまざまな指示を送っていますが、「ひとみ」からの明確な反応はないようですが、ただ、通信が途絶えたあとも、「ひとみ」からの電波が数分間から数秒間だけ届いたことが、3月29日までに4回確認されています。

その電波の中には、衛星の状態などが分かる、意味のあるデータは含まれていなかったとのことですが、これまでの地上からの観測により、2つのことが分かってきたようです。

☆ 衛星「ひとみ」の現状

★「ひとみ」は回転している
 「ひとみ」が明るく見えるときと薄暗く見えるときが、およそ7秒おきに繰り返されていることが地上の望遠鏡から観測されており、「ひとみ」が回転し、太陽の光を反射したりしなかったりしている状態が捉えられているようです。

★「ひとみ」はいくつかの部分に分かれている
JAXAが岡山県にある宇宙関連施設の望遠鏡で観測したところ、本体とみられる物体と、大きさがおよそ1メートルほどの物体の合わせて2つの物体が確認されたとのことであり、「ひとみ」がいくつかの部分に分かれていることが分かったようです。

さらに、今月に入り、「スペースデブリ」とも呼ばれる「宇宙ごみ」などを監視しているアメリカ軍の機関からは、「ひとみ」の周辺に10個の物体があるのを確認したという新たな報告が日本側に伝えられており、この報告について、JAXAは破損した「ひとみ」から分離したものとみられるとしています。

 

「ひとみ」に何が起きたかは不明だが「宇宙ごみ」にぶつかった可能性は低い

アメリカ軍の機関からの報告について、JAXAは破損した「ひとみ」から分離したものとみられるとしていますが、「ひとみ」からはトラブルが起きたあともごく短時間、電波が届くことがあることから、衛星の機能はある程度、残されているのではないかとみて、状況の把握を急いでいると言います。

「ひとみ」に何が起きたのか、そして、どうしていくつもの物体に分かれたのかはまだはっきりとは分かっていませんが、「ひとみ」で何かの「衝撃」が発生したと考えられているようです。

そして、「衝撃」の原因として考えられることは2つだと言います。

☆ 「ひとみ」の「衝撃」の原因として考えられること

★「スペースデブリ」とも呼ばれる「宇宙ごみ」にぶつかった可能性

衛星「ひとみ」に、「スペースデブリ」とも呼ばれる「宇宙ごみ」がぶつかった可能性があります。

ただ、10センチ以上の「宇宙ごみ」が近づく場合は、アメリカ軍の機関が地上からのレーダーによる観測で見つけ、衛星の管理者に警報を出すことになっていますし、今回、「ひとみ」に近づく物体は、事前には確認されていませんので、JAXAは、「スペースデブリ」とも呼ばれる「宇宙ごみ」にぶつかった可能性は低いとしています。

★衛星「ひとみ」の中で破裂や破断が起きた可能性

JAXAは、「宇宙ごみ」にぶつかった可能性よりも、衛星「ひとみ」の中で破裂や破断が起きた可能性の方をより大きく考えているようですが、何が破裂したり破断したりしたのかは、全く分かっていないと言います。

JAXAが、「宇宙ごみ」にぶつかった可能性よりも、衛星「ひとみ」の中で破裂や破断が起きた可能性の方をより大きく考えているのは、これまでの調べで、「ひとみ」との通信が途絶える直前の状況が分かってきたことも関係しているようです。

 

衛星「ひとみ」に起きたトラブルの原因と、「ひとみ」復活への可能性

JAXAが、「ひとみ」の通信が途絶えたのは3月26日の午後4時40分ごろより以前に地上に届いていたデータの内容などを詳しく調べた結果、次のようなことが分かったと言います。

通信が途絶えるおよそ12時間前の3月26日の午前4時10分ごろ、まず、機体の姿勢に異常が発生したとみられることが分かりましたが、その後、電力が低下し、機体の温度にも異常が現れたようです。

そして、機体の姿勢が乱れておよそ6時間後の午前10時37分ごろ、機体の一部が分離したとみられるとのことであり、JAXAは、3月26日の午前4時すぎから午前10時半すぎにかけての6時間余りに衛星「ひとみ」の中で何らかのトラブルが起きていたとみて、さらに詳しく調べています。

そして、一番に気になるのは、やはり、果たして衛星「ひとみ」は、復活できるのか、ということになります。

 

衛星「ひとみ」が復活できるかどうかは、太陽光発電の電力が鍵となる

スポンサーリンク

日本が誇る天体衛星「ひとみ」が復活できるかどうか、復旧の鍵となるのは、電力が回復するかどうかだと言います。

『「はやぶさ2」の目的はイトカワと同じ地球近傍小惑星「リュウグウ」への着陸とサンプルリターン』、こちらの記事の中でも書きましたが、小惑星探査機「はやぶさ」は、トラブルを乗り越えて、地球重力圏外にある天体の固体表面に着陸してのサンプルリターンに、世界で初めて成功しました。

また、『金星探査機「あかつき」は失敗後の軌道再投入での試験運転に成功し4月中旬から本格観測』、こちらの記事の中でも書きましたが、金星探査機「あかつき」は、メインエンジンのトラブルで軌道への投入に失敗した後に、見事、復活し、軌道への再投入に成功しました。

4つのエンジンがいずれも停止するという絶体絶命のピンチを乗り越えた小惑星探査機「はやぶさ」、そして、メインエンジンが壊れ金星を回る軌道に入れなかった金星探査機「あかつき」は、いずれも苦境から見事に復活しましたが、幸い電源は入ったままでした。

一方、今回の「ひとみ」は、回転しているとみられ、太陽光発電を十分に行えずに電源が落ちてしまっているとみられていますので、「ひとみ」が復活できるかどうかの最大の鍵を握るのは、電力が回復するかどうかということになるようです。

JAXAは、今後、「ひとみ」の回転のしかたが変化し、太陽光パネルに太陽が当たる時間が長くなれば、再び発電が進む可能性もあり、場合によっては数か月かけて電力が回復することもあるとみて、長期戦の構えで、復旧の可能性を探ることにしていると言います。

日本が誇るX線観測衛星「ひとみ」が、何とか復活してくれることを期待したいと思います。

 

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ